最新号を手にぼんやり歩いていたら曲がり角で同級生とぶつかった(↑の別視点)
マンガとアニメで日本語を覚えた。レイアースとベルばらはバイブル。
日本に来たら少女マンガ好きの仲間が欲しかったし、一緒に同人誌を作りたかった…はずなのに。
外見のせいでクールビューティーなお姉様キャラが定着してしまっている。本当は今月のちゃおの感想を言い合いながら恋バナしたいのに…。
***
母の祖国で生まれ、そこで育った。
自分を構成するもう半分、父の祖国に興味を持ったのは放送されていたアニメを見たからだ。正直言うと、ヤバかった……ヤバいしか言えない、日本語の語彙力が少ないとかじゃなくて、感情的な意味で語彙力がなくなった。
アニメは勿論、原作となったマンガにも熱中して、それらで日本語を覚えた。『ベルサイユのばら』と『魔法剣士レイアース』はバイブル。
仕事の関係で、父が祖国――日本で暮らすことになったと聞いて、これ以上ないほど興奮した。マジか!マジか!!森薫先生の原画展見に行ける!!と、無理を言って父についてきた。
気が付けば極度の少女漫画オタクになっていた私の目標は、日本で少女マンガ仲間を作ること。そして、少女マンガでプロデビューすること!
転校先の学校でマンガ仲間を見付けて、できれば一緒に同人誌を出せる仲間を作りたい。作りたかった……はずなのに。
「お姉様、今日も綺麗……」
「ただ窓際の席に座っているだけなのに、凄い絵になる~」
「日が差し込む窓際で優雅に読書したら絶対に素敵よ!」
「あたしたちが理解できない海外文学とか読んでそう」
どうしてこうなった?
まだ咄嗟な日本語が出て来なくて若干無口になっていたら、母譲りの容姿も相まってクールビューティーキャラが定着してしまった。今や私は、クールビューティーなお姉様だ。キャラが勝手に大暴走している。
どうしてこうなった?(二回目)
「本当は今月のちゃおの感想を言い合いながら恋バナしたいのに……」
ちゃおの最新号を抱えながら角を曲がったら、同級生とベタな展開になった。そして、彼は今、ベタを塗ってくれている。
「急げ! 新人賞の締め切りは、明日の消印有効だ! このままじゃまた原稿落とすぞ!」
「ふえ~ん!」
少女マンガのような出会いをした後に待っていたのは、スポ根マンガのような新人賞との戦いだった。
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