来週から海外遠征でアメリカ行って来る
自立した女が好きって言ってたから、我武者羅に仕事して稼いでマンションも買ったのよ。そうしたら、お前は俺がいなくても大丈夫だろですって。
ふざけるな!
分かる。私もね、強い女が好きって言うから、キックボクシング始めて世界選手権にも出場したのに、その脚は無理って言われた。
いやそれは違う。
***
「自立した女が好きって言ってたから、我武者羅に仕事して稼いでマンションも買ったのよ。そうしたら、「お前は俺がいなくても大丈夫だろ」ですって」
重い女だと思われたくないから、いくら疲れていても、寂しくて慰めて欲しくなっても、ぐっと耐えて涙を流しながら「自立した女」を演じていた。
彼に少しでも弱音を吐けば、「ウザい」と切り捨てられて愛想を尽かされるのではないかと怯えていた。
我武者羅に「自立した女」を演じ、使う時間がなかったために資産はどんどん貯まって、気が付いたら頭金に到達していた。
男に頼らない、自分の住処は自分で手に入れる。それこそ、「自立した女」……!
一括購入でマンションを手に入れた「自立した女」は、恋人に浮気された。浮気相手が妊娠したから別れてくれ。からの、上記の台詞である。
その浮気相手と言うのが、可憐な花のように華奢で、誰かに支えてもらわなければ生きて行けなさそうな可愛い年下の女。所謂、守ってあげたい系の女子。
おいお前、いつの間に女のタイプが変わったんだ。「彼女には俺が必要なんだ」って、どの口が言った。
「ふざけるな!」
「分かる」
久しぶりに会った友人は、随分なイメチェンをしていた。それもこれも、恋人の影響なのだろうか。
昔は、こんな子じゃなかった。もっと……そう、どちらかと言えば、あのクソ野郎が選んだ女子っぽい雰囲気だったはずなのに。
「私もね、強い女が好きって言うから、キックボクシング始めて世界選手権にも出場したのに、その脚は無理って言われた」
スポーティーなジーンズ越しでもはっきり分かる上質な筋肉。その脚から繰り出される蹴りで、一体何人もの対戦相手を蹴散らして来たのだろうか……並大抵の努力では、そこまで立派な筋肉は育つまい。彼女は昔から努力家で、小さな基礎をコツコツと積み重ねる子だった。
だけど、さあ……。
「いやそれは違う」
恐らく、肉体的な強さは求めていなかった。
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