ハローハロー、この空のどこかにいる貴方へ
ハローハロー、聞こえますか?
遥か彼方、星の海へ旅立った貴方へ。貴方が旅立った日のことは鮮明に覚えています。
白い道が立ち上るように貴方は打ち上げられた。夢見た空へと旅立った。地上から見えるISSにいる貴方へ地球から言葉を送ります。
必ず私も、そこにいる貴方に誇れるような自分になります。
***
宇宙が好き!
たった一つの繋がりが、私と彼を引き合わせた。
私は、宇宙を舞台にしたSFファンタジー小説が書きたい。彼は、宇宙飛行士になって宇宙に行きたい。
好敵手のように2人で競い合い、高め合い、彼は先にゴールテープを切ってしまった。宇宙に飛び立つため、アメリカへと旅立つ。
私はどうだろうか。コンクールは落選ばかり、持ち込みをしても「SFは売れない」の一言で返される。Webで発表している小説は、誰も読んでくれない。
「異世界転生チート」か「悪役令嬢物」を書いたら?
そう言って原稿を戻した編集者に腹が立って、泣いた。
「……負けてたまるか」
大きく引き離された彼との距離。手の届かないほど遠くに……人間がその身一つで乗り込むことのできない宇宙へ、彼は行ってしまう。
負けない、負けたくない!
「先に行ってる。アメリカで待ってる」
待っていると言ってくれた彼に追いつきたい。ISSへ旅立った彼に誇れる自分に、なりたい自分になるんだ。
ハローハロー、聞こえますか?
遥か彼方、星の海へ旅立った貴方へ。貴方が旅立った日のことは鮮明に覚えています。
白い道が立ち上るように貴方は打ち上げられた。夢見た空へと旅立った。地上から見えるISSにいる貴方へ地球から言葉を送ります。
「必ず私も、そこにいる貴方に誇れるような自分になります」
私が綴る言葉が、彼を、まだ見ぬ誰かを奮い立たせるラブレターになりますように。
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