第3話 あばよ

 田原さんは光の速さで自由自在に宙を舞い、降り注ぐ岩石を、せいやっ! せいやっ!と全て打ち砕いていく。


「山の平和も、言論の自由も、好き勝手にさせねーよ!」


 決め台詞とともに、粉砕された岩石が遥か遠方に降り注ぐ。それはまるで、ダイヤモンドダストのようだった。


 きれい……。


 思わず、そう、ため息を漏らした。


 そして、全ての仕事をやり終えて、上空100メートルの地点から、田原さんが地上に舞い戻る。


 わたしの前に降り立ったその姿に目玉が飛び出そうになった。

 田原総一朗は――上半身が裸だった。

 あまりの激闘に、マンガみたいに筋肉が盛り上がり、その圧によって服がびりびりに破れてしまったみたい。


 わたしは恥ずかしさのあまり、きゃっと両手で顔を覆う。でも、しっかりばっちり指の間から、その雄姿をチラ見。筋肉むきむき。もちろん、お腹はシックスパックに割れていた。再び、下腹部に熱いなにかを感じてしまう。


 野次馬たちの大歓声とともに田原総一朗は、ふっと薄く笑った。


「いいかい、一番大事なのは取材と筋トレ。これだよ、コレ」


 やれやれといったアメリカンポーズで、わたしを見つめる。


「おじょーちゃん、そういえばカクヨムやってたよな」


「は、はい。WEB小説サイトですよね」


「小林勤務にメッセージ送ったか?」


「えっと……誰でしたっけ、その人」


「おもしれー小説書いてるカクヨムの無名作者だよ。ぶっちゃけ俺は、カクヨムでは勤務の小説しか読んでねーよ」


「あ、思い出した。メッセージ送りましたよ。応援してますって」


「★あげた?」


「はい、作者フォローもしましたっ!」


「そうか、ならいいや。ついでに、これも付け加えておいてくれよ。『田原総一朗』って名前使うならタブーはなしだ。タブーを無視した俺は、タブーに縛られるわけにはいかない。シャレぐらいわかるからよ。黒いアワビさんの二次創作でも読んで、勉強しとけよってな」


「は、はいっ!」


「あばよ」


「あ、あの、わたし、二度も助けられてお礼もなにも……」


「礼なんていらねーよ」


「で、でも、わたし……」


「何度も言うけど、俺が好きなのは********だけ。伏せ字の名前はあんたが推測してくれればいいや。実在の人物の名前は、田原総一朗以外はだめだしな」


「そんな……」


「そう言えば、あんたの名前訊いてなかったな。おじょーちゃん、あんた、何て言うんだい」


「かくえです」


「かくえ?」


田中 果久江たなか かくえですっ!」


「おいおい、まじかよ。こりゃあ、一本とられた」


「てへっ」




 劇終



 PART3 田原総一朗VS宇宙の脅威へとつづく


 https://kakuyomu.jp/works/16816927861807163139

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

田原総一朗VS山の危険生物。自然も言論も好き勝ってにさせねえ!超絶バトルの開幕~PART2~ 小林勤務 @kobayashikinmu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ