第14話 犯人と目的

「やっぱりここにいた。探したよ。」


「無事だったのか?こんな状態でよく……。」


「私がほぼ最強なのはよく分かっているんじゃないの?」


「ああ、文武両道でまっすぐな性格だもんな。」


「私はずっとあんたが嫌いだった。拓真。」

(想定はしていたが、拓真が黒幕だった。)


「なんでそんなに嫌いだったのか、教えてくれよ。」


「浮気に罪悪感を感じない。人を人と思わない所かな。」


「今回はいつぐらいから気が付いていたんだ?」


「最初は高橋くんが好きだと言い出した昨日から」


「随分と早いな。何故だ?」


「接点が無いし、理由が曖昧過ぎだよ。」


「高橋くんは光ちゃんが、女の子だったら、良かったって言う理由があった。光ちゃんは拓真に振り向いて欲しくて女の子の格好までする大胆さがあったからね。」


「それに光ちゃんは惚れっぽい性格だったし。拓真が仕掛けたんでしょう?」


「それに比べて拓真は、見た目って言う心の繋がりを感じない理由だった。」


「かなりの女好きの拓真の変貌ぶりがとても怪しかったから。」



「俺は侑名が好きだったよ。すべてに優秀だからな。」


「侑名をぶち壊すために女子たちを焚き付けていじめさせたり、心の拠り所の北山を最初に壊してやった。」


「あと、高橋はお前が好きだったらしいから女装好きの男に壊した。今川もお前に優しかったから邪魔だった。だから俺を好きになるように誘導した。」


「とっても楽しかったよ、侑名。」


「だから、全部壊そうとしていたのに、侑名は俺に心を許さなかった。」


「俺は高橋と今川という。お友だちを作って上げたのに。」



「今回はその行動が仇となったね。異性だったから、高橋くんも光ちゃんも私を襲わなかった。」


「犯行理由を話してくれてありがとう。私が好きすぎて壊れるのを楽しもうとしていたんだね。」


「ようやく俺の愛に気が付いてくれたのか、嬉しいよ。」


「こんな状況で奮闘する侑名は最高に素敵だったな~。カッコ良かったよ。」


「ところで、ダメ元で聞いてもいい?」


「どうしたんだい、侑名。」


「治療方法、これの治す方法はあるの?」


「治す?必要無いだろ?壊れたんだから、捨ててしまえばいいんだよ。」


「お望み通り、拓真。私があんたを壊してあげる。」


「嬉しいよ。俺をこれ以上に、楽しませてくれるのか?」



「ダメだよ侑名ちゃん。」光ちゃんが止めに入ってきた。


「今川ぁ。俺と侑名が話している。邪魔するなら、さらにぶっ壊すぞ!」


「光ちゃん。下がって。なにされるか、分からないから。」


「でも。侑名ちゃん…。」


「私にまかせて。」


「うん。分かったよ。危険な事はしないでね。」



「拓真。楽しみを邪魔して悪かったわ。許して。」


「いいんだよ。侑名が分かってくれたなら。」


「拓真、何で戦う?素手、それとも武器?」


「そうだな。これなんかどうだろうか?」

拓真は真剣を用意していた。


「侑名ちゃん!ダメだよ!」光ちゃんが叫ぶ。


「刀で切り合いなんてクライマックスに相応しくないか?」


(さすがはお金持ち。考えが違うわ~。)

「いいよ。それで。」


「勝負は公平にしたいからな。両方、触ってから決めていいぞ。ほら。」

拓真は刀を二本とも渡してきた。


とりあえず、私は…持ったり振ったりして強度を確かめていた。

(すぐに壊れる事は無いのか。重さも変わらない。っか重!)


「侑名ちゃん!なに考えてんの!」光ちゃんが怒ってる。


「光ちゃん。刀って超重いよ。」


「そんな事、聞いてない!危ないよ!」


「振ってみる?ブンブン言うよ?」


「侑名ちゃん。ダメだよ。絶対ダメだよ!」


「今さら断って、菌を撒かれたらそれこそ終わるよ。」


「…だって、切られたら、死ぬよ。」


「私は、ほぼ最強なの。光ちゃん。」


「答えになってない。銃刀法違反で捕まるよ?」


「黙ってたらバレないし、これは拓真の所有物。問題ない。」


(楽しんでる?侑名ちゃん?)

「そうだった、侑名ちゃんは変態だったね。」


「そう言う事、信じて見てて。」


拓真とタイマンを張ることになった。

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