第13話 混迷する事件
理科準備室に戻った私たちは、
「吉田先生。なにか分かりましたか?」
「ああ、あれから何人か訪ねて来たよ。」
「誰が来たんですか?」
「生徒で名前は………。忘れた。」
「仕方ないですよ。吉田先生は興味無いですもんね。」
「お前らじゃどうも出来ないから、家に帰るように。と言っといたぞ。」
「ありがとうございます。」
「お前らはどうするんだ。」
「怪しいやつが見当たらないんです。表立って動いていないのかも。」
「そういう奴は普通のふり、もしくは被害者面している。気を付けろ。」
(サイコパスだな。もし、楓だったら、高橋くんが危ないな。)
「あとは、お前や私には接触しないだろう。勘が良い奴を嫌うからな。」
「吉田先生はどうするの?」
(この人も色々な意味でヤバいから。)
「何もしない。君とは違って武術に長けていないからな。」
「多分、この部屋に怪しい奴は入って来ないから大丈夫だ。」
(何もしないんだ………。まあ、その方が良いだろうな。)
「やっぱり、今回の事って生物兵器とかじゃないですよね。」
「少なくとも私はこんな兵器は知らない。新型兵器なら別だが。」
私は黙って聞いていた光ちゃんに、
「何度か体験してると思うけど、男性に興奮する時ってどうなったの?」
「うん。なんか、その人の事を考えてしまうと性的欲求が沸き上がって来る感じかな。近づいたらコントロールが効かなくなってしまうんだ。」
「脳の性的欲求を誤認させて異常にする何か。そんなものが人間に作れるのか。そうだとしたら………。」吉田先生の顔付きが変わった。
「バイオテロだ。空気中に漂って脳内に深刻なダメージを与える。」
「犯人を捕まえる。それは変わらない。」
(私は決めている。こんな狂った事をするやつを自分の手で捕まえる。)
「吉田先生。校長室に電話して警察へ連絡をお願いしてください。」
「完全武装で来ることと校内を封鎖して患者を隔離する。」
「まかせておけ。辻占。お前は優秀だよ。」
「光ちゃんは高橋くんに連絡をして私がこれから言うことを伝えて。」
「分かったよ!侑名ちゃん。」
(最初、私は一昨日に少しの異変があった。教室の一部の人から休日を挟んだ今日には学校中に異常が広がっていた。私より先に学校に来て教室に行った光ちゃんが大変な事になっているって言っていた。恐らく、早朝に犯人は教室に薬品みたいなやつを撒いた。他に、校庭などの複数ヶ所、同じことをした。それを吸引した人たちがおかしくなった。)
事件の概要はこんな所かな。
「あとは、アイツがどこにいるんだろうか。」
「侑名ちゃん。高橋くんに連絡したよ。」
「ありがとう。これで準備万端だね。」
「どうする?光ちゃん。ここで警察を待つ手もあるが、それとも最後まで私に付き合うかい?」
「最後まで侑名ちゃんと戦うよ!」
「男だね。カッコいいよ。光ちゃん。」
「じゃあ、犯人をやっつけに行こうか?」
(悪いやつがいるところと言えば……。)
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