第8話 生物の吉田先生

理科準備室を開けると、

「吉田先生?今、大丈夫ですか?」私が声を掛けたら、


「今は忙しい。今朝から面白い事になっているからな。」


「それを聞きに来ました。」


「面白いと思わないか?性欲を動物みたいにぶつけ合っているんだぞ。」

(いや。先生。表現をもう少し包んで。)


「しかも、異性ではなく同性とだぞ!」

(そこなんだよね。生存競争の話なら…。)


「やっぱり、遺伝子異常とかが原因なんですか?」


「性欲と承認欲求の増幅だ。脳が原因なら異性と性行為に走るはずだ。」


「人の思いに反応して、LoveとLikeの違いが分からなくしてしまう。」


「つまり、これは呪いなどの心理的な心を犯すナニカ?だ。」


「心を許す同性の相手がいない場合は術に掛からない。」


「なるほど…。」光ちゃんが私を見てくる。

(確かに私はボッチだけど、その哀れみの目を向けないで。)


「実際に教員共は、ほぼ症状が出ないはずだ。信頼していない証拠だろう。」

(それは反対にショックだよ。先生たち、仲悪いってことじゃん。)


「つまり、北山さんは侑名ちゃんがかなり好きだけど、侑名ちゃんは北山さんの事はそうでも無いって言う事ですね。」(光ちゃん、核心を突かないで。)


「ごめん……。恵麻。」(たまに鬱陶しいって思ってた。マジでごめん。)


「お前らは大丈夫なのか?」吉田先生が聞いてくる。


「今川くんは男の子ですから。」

(異性は、問題無いと言うことか。)


「女装させて視覚情報を誤認させるのか、なかなか考えたな。」


「人は見た目ばかり気にする愚かな生き物だからな。」

(イケメンとか美少女とか、みんなやたら好きだもんな。)


「僕も言い寄られたりするから、あんまり男の子が得意じゃない。」

(光ちゃんカワイイし、男子から性的な目で見られてたんだね。)


「つまり、ここの三人はほぼ影響が無い。」

(先生と私はボッチで、光ちゃんは男性恐怖症。)


「治す方法は?」私が聞きたかった事。


「知らないよそんなもの。術者か呪いの原因を解明したらどうだ。」

(起こった事象にしか興味ないのね、先生は。)


「モテない童貞野郎が学校中を呪ったとか?」


「侑名ちゃん、言葉使いが汚ないよ。」(叱られた。)


「じゃあ、光ちゃんさ~、呪術なんてあると思う?」


「図書室で調べたらどうなの?」

(ダメ元で行くか。)


「吉田先生。図書室に行ってきますね。」


「辻占、影響が無いなら治す必要は無いのでは?」


「だって、見たくないし、グロいし、キモいじゃん。」


「侑名ちゃん。さっきから言葉使いが汚ないって。」

(普通は見れた映像とは思わないけど。)


「他にまともな人いるかな?光ちゃん。」


「探して協力してもらおうよ。」(光ちゃんは冷静沈着だね。)


「よ~し。がんばるよ~今日の私は。」


 テンション壊れ気味の私と光ちゃんは図書室に向かった。

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