第3話 イケメンに恋された美少年は訳ありだった
いじめを受けなくなるという甘い誘惑に負けてしまった。
「どうしたの?侑名。」心配そうに恵麻が声を掛ける。
「高橋くんが恋人のふりをしてくれて私を守ってくれるって。」
(条件付きだけど。)
「歯切れ悪いよ。侑名。」
「まあ、ただじゃ無いからね。」
「どんな条件なの?」恵麻は聞いてくる。
「守秘義務です。悪い条件では無いけど。」
「いいな~私が高橋くんだったら侑名を彼女に出来るのに…。」
「ハハハ。」(私の周りはこんな人ばっか。もしかして私が変なの?)
「今川くん。話があるんだけど。」
「辻占さんどうしたの?僕になにかよう?」
「今川くんは拓真の事が好きだよね?」
「なんで分かるの。誰にも言っていないのに……。」今川くんは驚いている。
「分かるよ。なんとなく。だって…。」
「恋する女の子っぽい感じが出てるもん。」(核心をついた。)
すると観念したように答えてくれた。
「僕は辻占さんになりたいんだ。」(へっ私?)
「なんで私なの?」
「だって拓真くんの幼馴染の女子なんだよ。」
「私はそれが原因でいじめを受けてるけど……。」
「拓真くんは女の子好きだし、だから好きになってもらうには女の子にならないとダメなのかなって。」彼は悲しそうな顔をしている。
「じゃあ、女の子の制服を着てみるのはどうかな?」
「えっどういうこと?」彼は首をかしげる。
「もしかしたら、女の子のふりしたら口説いて来るかもって。」
(まるで悪魔の囁きだな。罪悪感が半端ないよ。)
「僕、女の子の制服なんて持っていないし。」
「そうだよね、私のは合わないだろうし。」
「ああ、そうだ。恵麻~。」私は恵麻を呼んだ。
「どしたの?侑名。」
「今川くんに恵麻の制服を貸してくれない?」
「どうして?」恵麻が聞いてくる。
「今川くんは拓真に口説いて欲しいらしい、から。」
「なるほど、あの変態なら女子なら全部に行くしな~。」納得している。
「それに…、今川くんの制服を恵麻が着てくれたら、私は恵麻の彼女のふりをしてイチャイチャするよ。」
(本日、二度目の悪魔の囁き。)+(私を身売りする。)
「やる。」(即答だよ。恵麻!どれだけ私とイチャイチャしたいの?)
「じゃあ、今川くん。制服交換しよ?…ついでにメイクしてあげる。」
「ありがとう二人とも。」今川くん嬉しそう。
私が身を売ることで、見事に全員の欲望が一致した。
そのあと、今川くんは衝撃的な美少女へ変貌を遂げていた。
教室に戻るとクラスから歓声が上がっていた。
クラスの女子は今川くんの所で美少女化した今川くんとじゃれあっている。
高橋くんは冷静を装っているが、内心は興奮しているだろう。
拓真は、そんなクールな高橋くんを見つめてうっとりしていた。
恵麻の男装はさほど気にされなかった。が、
「約束だぞ、侑名。」
「うん。分かっている恵麻。」と言い、密着する。
「好きだ。侑名。キスしたい。」と言い、襲ってくる。
「私も好き。恵麻。」と言いながら、ギリギリの所でキスを避ける。
「どうして拒否するの?」恵麻がガン攻めしてくる。
「人前では、恥ずかしいの。」と可愛く言ってみる。
「もう、我慢出来ない。侑名。」興奮状態だ。
「恵麻。放課後までお預けですよ。」とやんわり避ける。
(今日、無事に家へ帰れるかな……。)
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