第4話 フワフワの真実

「フワフワ。なんか不本意だけど、これで本当にレベルマックスなんだよね」


(うん。そうだよ)


「じゃあ、悪夢の王にも勝てるよね」


(やってみる?)


 正直、体に力はみなぎっているけど、冷静に考えたら勝てる気はしない。そもそもモンスターでもない、あんな巨大な影に立ち向かう術なんかあるのか?


 そうだ! 今はこの手にゴボウがある。変な話だけど、もしかしたらこれは伝説のゴボウで、悪夢の王を倒せる唯一の武器なのかも。


「よし、やってみる!」


(じゃあ、いでよ、悪夢の王!)


 再び空に暗雲が立ち込め、やられたときと同じ風景が広がる。ただ一つ、さっきと違うのは、こちらの手にはゴボウが握られていること!


「よし、いくぞぉぉぁぁああああ」


 あっという間に目の前が、眠るときに見た暗闇になる。そして眩い光に目を開けると、いつもの草原。


「やっぱり、ダメだったのか」


(もう、レベルマックス後からコンティニューさせたよ)


 これもしかして、無理ゲーなんじゃないか。レベルマックスでも勝てないって、そうそうない。何か仕掛けでもあるのか……。


「フワフワ。どうしたらいい。これじゃ夢から解放なんてできない」


(そうかもね)


「そうかもねって。キミ、使い魔だろ」


(そうだよ)


「だったら何か策とか一緒に考えてよ」


(でも誰の使い魔かなんて言ってないよね)


「誰のって、今ここに一人しかいないじゃん」


(じゃあもう、教えちゃおうかな)


 フワフワがそう言うと、突然光を放ち、浮かぶ大きなたんぽぽの綿毛から、薄汚れた大きな綿ぼこりに変身する。ゲホッ、ゲホッ。


(私、実は悪夢の王の使い魔。キミを夢に堕とすために存在するの)


「なんだって」


(騙されたって思ってるかもしれないけど、この夢の世界では見たものなんだって真実になる。こんにゃくが敵に、ゴボウが剣になるようにね。だから私、ウソはついてない)


「そうか、わかった」


(やけに素直ね)


「好都合。望み通り。そういえばちょうど、夢に堕ちたいと思っていたんだった」


(なんとまあ)

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