第3話 レベル上げ

「そうか、わかった」


(何が?)


「悪夢の王に負けると夢は繰り返す。でも記憶はリセットされない。つまり対策を練って挑めばいつか悪夢の王に勝てるってことだ」


(なるほど)


 でも、さっきの戦いで悪夢の王に何か隙はあったか? 何もできずに負けてしまった。このまま挑んだって攻略の糸口を見つけるのは難しい。ちゃんと自分のレベルも上げていかないとな。


「フワフワ。このままじゃ勝てないから強くなりたいんだけど、どうしたらいい?」


(うーん。どうして強くなりたいの)


「いやだから悪夢の王を倒すために」


(じゃあ、どうして倒したいの)


「はあ? 悪夢の王を倒して、この世界を夢から解放しろって言ったのはフワフワじゃないか」


(私が言ったのは「悪夢の王が、この世界を夢に縛りつけている。キミが解放するんだ」だよ)


「だから解放すればいいんだろ」


(じゃあ、そう言われたからやるの?)


「何」


(言われたからって、そうやりたいと思っているの?)


「どういうこと」


(キミが本当にしたいことは何)


 自分が本当にしたいこと……。そんなの、あれ、なんだっけ。流れで自然とこんにゃくを倒したり、悪夢の王を倒したいと思っていたけど。


 本当にしたいことって聞かれるとわからない。でもわからないから、とりあえず何かしたいという気持ちがある。


「ここは夢の中なんでしょ」


(そうだよ)


「やられたって、また繰り返せる。ならやっぱり、この世界を救ってみたい」


(そっか。夢中になれるって、いいよね)


「だからまずレベルを上げたい」


(わかった。じゃあ、レベルマックスになれ!)


 うぉぉぉぉ。体に力がみなぎってくる。でもこういうことじゃない!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る