第2話 繰り返す悪夢

 それにしても見渡す限り、原っぱ、原っぱ。たんぽぽすら生えていない。浮いている大きな綿毛はいるけど。


「何をすればいいんだぁ」


(さっき言わなかったっけ)


「いや、悪夢の王を倒せって言っても、こんな何もない原っぱじゃ目的地がないというか」


(じゃあ早速、呼び出そうか? いでよ、悪夢の王!)


「はあ? 何言って、あわわわわ」


 さっきまで晴れ渡っていた空に暗雲が立ち込め、土砂降りになり、雷が鳴る。そして、空よりも大きいと思えるほどの暗い影が覆い被さってくる。


「うわぁぁぁぁ」


 目の前が、眠るときと同じような暗闇になる。そしてまた、まばゆい光が差し込み、目を開ける。


「うっ、ここは」


(そう。ここは)


 見晴らしのいい草原と、浮かぶ大きなたんぽぽの綿毛。同じことを繰り返している? さっき悪夢の王に負けたから?


(今度は尻もちつかないんだね)


「ああ、ほんとだ。でもこれも同じ夢だよね」


(そう、この夢は何度も繰り返す。ほら、こんにゃく!)


「あ、やばっ!」


 またも避けることはできず、同じ夢で二回もこんにゃくにぶつかられてしまった。だけど今度はすぐさま素手で叩いて消滅させる。


(今度は剣、用意してたのに)


「え、そうなの」


 おもむろに手を開くと、光と共にそこに現れたのは、どう見てもゴボウだった。


「まぁ、夢だしね」


 ツッコむ気にもならなかった。

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