YUMEOCHI FANTASY FUWAFUWA

浅倉 茉白

第1話 使い魔・フワフワとの出会い

 なんか人生、つまんないな。せめて夢くらい面白いのを見たい。


 いっそ、夢にちても——


「その願い、叶えよう」


 誰だ、その声。いや、この声は。


「この声は、そう」


 何だよ、早く言え。って、眠くなってきた。当たり前か、眠ろうとしているんだから。なのに閉じた目に映る暗闇が、だんだん白く、眩しくなってきた!?





「うっ」


 眩しい光の中、うっすらと目を開けると、そこは見晴らしのいい草原。


「ここはどこ。夢の中?」


(そう。ここは)


「わっ!」


 目の前に、たんぽぽの綿毛を大きくしたような謎の物体が、フワフワと浮かんで、こちらに話しかけてくる。いや、口はないから、話しかけてきているのかわからないけど。脳に直接声を届けてくる。こっちはそれに驚いて尻もちをついてしまった。でもあまり痛くはない。この草原のおかげか、夢の中だからか。


(ねぇ、お話続けてもいい? 私、フワフワ。見ての通り綿毛。これから使い魔の私が、この夢の世界を導く)


「夢? やっぱり夢か。でも夢って教えてくれる夢も不思議だ」


(それはね、悪夢の王が関係しているの)


「悪夢の王?」


(説明は後。ほら、こんにゃく!)


「こんにゃく? わっ!」


 目の前に突然こんにゃくが現れ、襲いかかってくる! 避けるのが遅く、顔にビタンと当たった。が、こんにゃくだからか? 夢だからか? これも痛くはない。少しヌメっとはしたかも。


(さぁ、その素手すでを使って!)


「え、素手? 剣とかは?」


(まだないから!)


「えぇ、仕方ない」


 攻撃をやめ、静止したこんにゃくをビタンと上から叩くと、こんにゃくは倒れ消滅した。なんかもったいない。


(やったね)


「うん。なんとも言えない感じはあるけど」


(これから一緒にがんばっていこう!)


「それはいいけど、何をがんばれば」


(さっき言った、悪夢の王。悪夢の王がこの世界を支配している)


「うん」


(悪夢の王が、この世界を夢に縛りつけている。キミが解放するんだ)


「うーん。よくわからないけど、とりあえずさっきみたいに倒せばいいんだね」


(そういうこと!)


——こうして、夢オチの冒険が始まった。

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