幕間 創界の昔話
――むかしむかしのお話です。
昔、ひとりの神さまがいました。
神さまは、遠い、遠い何処か別の所からやってきました。
神さまは、ひとりぼっちでした。
周りには何もなく、辺り一面が真っ暗でした。
神さまは、寂しがり屋でした。
神さまは、一人が嫌いでした。
神さまは、誰かと一緒に居たいと思いました。
すると、神さまは、自分の身体を半分にわけて、自分に似た、でもちょっと違う別の神さまを創りました。
神さまは、喜びました。
神さまは、一人じゃなくなったのです。
―――――― ◆ ◇ ◇ ――――――
神さまは、二人で仲良く暮らしました。
ですが、辺りは今でも真っ暗で、何もありません。
二人の神さまは、もっと色々なものを創ろうと思いました。
二人の神さまは、自分の身体を使って、大地を創りました。
二人の神さまは、自分の血を使って、海を創りました。
二人の神さまは、自分の瞳を使って、空を創りました。
二人の神さまは、自分の心臓を使って、光を創りました。
二人の神さまは、自分の魂を使って、命を創りました。
そうして、二人の神さまは、自分の身体を全て使って、世界を創りました。
最後に、二人の神さまは、自分の心を使って、14人の子供たちを創りました。
二人の神さまは居なくなりましたが、14人の子供たちと、1つの世界がそこに残りました。
―――――― ◆ ◆ ◇ ――――――
14人の子供たちと、神さまが創った世界だけが残されました。
14人の子供たちは、二人の神さまが残してくれたものを、愛していました。
一人の子供は、幻想を愛しました。
一人の子供は、機械を愛しました。
一人の子供は、人じゃない生き物を愛しました。
一人の子供は、旅を愛しました。
そうして、14人の子供たちは、色々なものを愛しました。
しかし、14人の子供たちは、どれが誰のものか取り合って、大きな喧嘩を始めてしまいました。
そのうち、一人の子供は喧嘩することなく、何処かへ行ってしまいました。
もう一人、喧嘩をせずに、ただそれを見守る子供もいました。
そうして、14人の子供たちは12人で、喧嘩を続けました。
たくさんのものが壊れ、たくさんの命が失われました。
最後に、12人の子供たちは、喧嘩をやめました。
誰かがもうやめよう、と言ったのか、お互いにそう思っていたのかはわかりません。
12人の子供たちは喧嘩をやめました。
自分たちの愛するものだけをそのまま、自分のものにしました。
そして、世界をそれぞれに切り取って、別の場所に自分の世界を創るようになりました。
―――――― ◆ ◆ ◆ ――――――
そうして、12個の世界が創られました。
一人の子供は幻想を愛した、幻想の神さまになりました。
一人の子供は機械を愛した、機械の神さまになりました。
一人の子供は、人じゃない生き物を愛した、魔物の神さまになりました。
こうして、12の世界に、12柱の神さまが生まれました。
二人の神さまが創った世界は、12柱の神さまが切り取ったものと、切り取った後の残り物だけになりました。
12の世界はぐるぐると、残り物の世界を中心に回り続けているのです。
――おしまい。
――――――――――――――――――
これは世界が出来た時のお話(子供向け)です。
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