第6話
次の日、休日。
私がベッドから出て顔を洗いに行こうとすると「うにゅ? お姉ちゃん……? 」と目をこすりながらひなのちゃんが起きる。
「眠かったら寝ててもいいよ? 私今顔を洗いに行くから」
「ううん、起きる……。私も一緒に行く」
そう言ってひなのちゃんはベッドから出て私の服をちょんと掴む。
朝から癒された。
朝の支度が終わると「お姉ちゃん、私の部屋の片づけ手伝って」と言われる。
「いいけどなんで? 」
「最近部屋の掃除してなくて」
そして私はひなのちゃんの部屋に行くと驚愕のあまり声が出なくなった。
壁一面に私の写真が貼られていて、ベッドには等身大の私の抱き枕が鎮座しており、窓際には大きく膨れた袋があったから。
かしわちゃんが『拗らせてる』って言った理由がようやく理解できた気がした。
「どうしたの? お姉ちゃん」
「いやなんでもない。まずは壁一面の私の写真をはがそっか」
「うん! 」
そう言うと画鋲を取って写真をはがしていく。
数時間後、やっとのことではがし終わった。
ちなみにはがした写真はシュレッダーで細かくした。
次は部屋の隅にある大きく膨れている袋に手を付ける。
「これは何かな? 」
「これはね、燃えるごみの前日にお姉ちゃんがお風呂に入ってる間に集めたゴミ3年分だよ♪ 」
「じゃあ捨てるね。ゴミだから」
「いいよ♪ 」
私はリビングから持ってきたゴミ袋に入れる。
ずっと燃えるゴミの日の前日に私の部屋のゴミ箱からゴミが消えていた謎が解けた瞬間である。
漆黒の嫌われ者とかが湧くからやめてほしい。
そして最後は私の等身大抱き枕について。
「これは捨てるね」
「ええええ?! 」
「当たり前だよ。もう必要ないでしょ? ずっと一緒にいるんだし……///」
私は照れながら言うがひなのちゃんは反論する。
「で、でもっ! 私1人の時に使うからダメッ! 」
「1人の時って? 」
「お姉ちゃんが修学旅行でいない時とか……」
あ~、なるほどね……、ってなるか!
危なかった。危うく納得するところだった。
そんな私の非公認のグッズはこの世に存在させちゃいけない。
「お姉ちゃんこれだけは見逃して! お願い! 」
ひなのちゃんが上目遣いで可愛く頼んでくるが私は心を鬼にして……
心を……鬼にして……
心を……
「もういいよ。好きにして」
無理だった。
あんな可愛い目で見つめられながら「捨てなさい」と言うことができなかった。
その後は掃除機をかけたりして掃除を終えた。
ちなみに私の等身大の抱き枕はクローゼットの中に封印した。
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