第5話 社長就任からの

 僕は目が覚めた。いまだに何か頭に痛みが残っている。漫画によくある演出で殴られるとピヨピヨ小鳥が頭を回るが、実際なるもんなんだなーと思った。というか少し力入れすぎてなかったか⁉︎


「あ、楓起きたー」


「誠に申し訳ございませんでした。」

「同じくごめんな〜」

「強く殴ってごめんなさい」


 3人からの謝罪が起き上がってすぐに聞こえた。どうやら亞宮は何も話していなかったようだ。いい加減にしてくれと少し思いつつ、まあ頭を上げて、的なことを言う。

 

「自己紹介がてら、新海楓です。この状況を見ると亞宮が独断で僕を社長に推したということで、、、


「ちがいますっ‼︎‼︎」


 食い気味に僕の話に入ってきた。てっきり亞宮がメンバーに言わずに僕を誘ったから不審者に間違われたのかと思っていた。でもなんでメンバーが総意で僕を社長にしたのだろうか。そんな疑問が自分の中で湧いた。


「私たち、最近忙しくなり始めているんです。自営業なのであぐぅと奈絽で経営してたんですがお金の管理が大変になってきちゃって。そろそろいい人材を雇おうねって話もしてたんですけど、色々あって普通の人には頼めなかったんです。

 そこで頭のいい人で承諾してくれそうなのは誰かってなった時に楓さんの名前があぐぅから上がったんです。それ以外にも頼めなかったのと、話を聞いたら任せられそうだなって思って。」


「じゃあ僕のことは知ってて、、、なんで殴ったんですか?」


「そりゃあぐぅから聞いてた印象と全然違ったんやもん。引越し前の特徴だって言ってなかったからうちも分からんかったわー。」


 伽樹が答えてくれた。まぁしょうがないということでこの場は収めることとしよう。騒ぎ立てても何一つ良いことは無いし。


「ということで僕はこれから社長ということだと思うんですけど、スケジュールを確認したいです。誰か教えてください。」


「じゃあ私が。1週間後にリャ!ええっとライブがありましゅ、、、」

「ま⁉︎」


 沙々羅がいったのはどうやら本当らしい。メンバーの落ち込み具合が半端ない。まだ調節がうまくいっていないのだろう。亞宮も悩んでいる様子だったし。でもどうしよう。

 過去のライブ映像を見たらまだまだ改善点が山積みだった。特に気をひくために大事なのは


「挨拶と歌だ‼︎‼︎」


 彼女たちは少し驚いた様子を見せたが、納得している。


「まずはキャッチコピーから作ろうと思う。各自できますか?」


「できない!

 無理やなー

 無ぅ理です、、、

 できないですね。」


 またもや絶望的状況に立たされてしまった。本当に僕はこれからミラ女の社長を続けていけるのだろうか。

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またいつか君と会いたい ~彼女らは僕の愛(アイ)ドルです~ あおすい @aposutorofi

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