第3話 キラキラ包み

『可愛いのが良い!』

『味は美味しいやつ』


子供の可愛らしい声が響く。


ガラスの器とグラス。透明なので層になった様子が見える。


気分を変えられるように、食べ物系にカナッペの上、色とりどりの野菜。星形にくり抜いて、ピンク色の塩を散らす。


グラスにマカロン盛りつけ、花を添える。黄色にピンク、紫と青色。

「お砂糖も結晶のようね。」


小さいお菓子を勢揃いさせ、ジュースはグラデーションになるよう。並べてみた。



妖精達が、庭園を雲で覆い星のように光りを浮かべる。

「夜が訪れたみたい」


ふんわり輝く光を眺めながら、食事をはじめましょう。


銀色のスプーン、星が描かれたカップとソーサー。

ふわふわのミルクを入れ、ちょっと濃い紅茶に乗せる。


キラキラの砂糖を塗して、渦巻く雲海のようなミルクティーをひと口。

机の上にあった花が、光を灯して夜と化した庭に色を付けていた。



タワーのように皿を浮かせる。

下の段から

『ここにケーキ、真ん中はマカロン。上はクッキー!』


「ええ。素敵な塔ができましたね!」


光の妖精王のお菓子タワーが作られた。妖精達がお皿を持ち上げているのだろうか。


『キラキラいっぱい、食べる!』


飴細工、果物のジャムをシフォンケーキに乗せた。野菜のジャムは好まれるかしら。妖精は好きな子は食べている。


丸いクッキーの上は、ジャムを星の形にした。アイシクルの明るい色と透明なジャムが消えていく。


クレープに重ねたのは甘い物だけじゃなく、薄く切った肉。米粉、蕎麦粉が使われた皮に用意した四角い野菜達を入れて包む。


点心と言われる、温かい包みは中からジュワッとスープが溢れ出した。

レンゲから滴る美味しい雫を丁寧に飲む。


これもキラキラ、口の周りがギラギラになってしまうかも。花柄の紙ナプキンは、大勢の妖精の元へ行き渡ったでしょうか。


花びらで口元を拭く猛者を見かけました。


花びらをパクリと一緒に食べる妖精も見かける。

こちらで用意したちょっと味を加えるソースも量を減らしている。野菜で作られているので、好んでもらえたのかもしれません。


賑やかに包まれたものが浮かび消えていく様は畑のようで。収穫は、上々でどんどん器の中がカラになっていく。



そして、夜の時刻はそろそろ終わりにしなければ。

「飴玉もあるのですがお土産に…。」

瓶詰めしてあったまんまるのカラフルな飴が、噴火のように瓶から飛び出て行くのを見た。


コロコロ転がった飴は地面に着くことなく、消えていく。机に広がった散らかってしまった。


『光る花は活火山のように裾野を広げて、お菓子の平原が広がる。飴の湖がキラキラ輝いて、お皿の森だ。』


「この国の地図のようですね。」


妖精王の見る世界は、こんな風に美しいらしい。ゆっくりとお茶をしながらもっとこの世界の色んな景色の話してくれるだろうか?


周囲では音楽のような旋律で、妖精達が踊り舞っていた。

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妖精王とのお茶会、食事はお気に召されましたか? BBやっこ @BByakko

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