第128話 サウナで……
【大浴場】
という訳で行ってみたのだが、やはり大浴場は男女別々。ただ、“さうな”は個人で借りられるらしく、俺達はそこを使うことにした。
(こっちでは“さうな”も人気があるのかな)
ちなみに俺は下半身をタオルで覆っただけの格好。これが“さうな”に入る格好らしい。
「待たせたわね」
「ッ!」
レイアもタオルで体を覆っている。が、胸元はかなり深く空いてしまっているし、下の方もギリギリだ……
「タオルが小さかったみたい。まあ、いいけど」
良くはないだろ。っていうか、タオルのせいじゃなくて、胸を覆うのに面積が取られすぎてるんじゃないか?
(しかし、また大きくなったんじゃ──)
っていかん!
「どうしたの、フェイ?」
「……何でもない」
そう、何でも無いのだ。
「借りた“さうな”は……こっちね」
借りた鍵には「八」と書かれているからドアに「八」と書かれた“さうな”が俺達の使うものだ。
ガチャ
開けると既に暑い。ただ暑いだけじゃなく、湿気が凄いのだ。
「良いわね。いい汗がかけそう」
部屋の隅の方には暑い空気を送り出しているパイプがある。多分何処かで空気を温め、それをそれぞれの“さうな”に送っているんだろう。
「じゃ! 対決開始ね!」
そう言うと、レイアは鼻歌を歌いながら俺の向かいに座るのだが……
(目のやり場に困るな)
視線を真っ直ぐにすると、深い谷間がまで見えるバストに目がいくし、視線を落としたら落としたでもう見えそうなくらいまでギリギリだし……
(そうだ!)
起死回生の一手があった!
「……レイア、隣に来ないか」
隣なら視線を意識しないで済む! 我ながらグッジョブだ!
「エッ……あ、うん」
あれ、ちょっと顔が赤い? どうした?
「フェイがそう言うなら……」
ギュッ……
隣に座った瞬間、レイアは俺の手を握った。
(えっ……)
そっと様子をうかがうが、レイアは俺とは反対側に顔を向けているから表情が分からない。
(………)
どうしたものか……
………
……………
……………………
トン!
(え?)
レイアが俺に寄りかかってる。これってまさか……
「レ、レイア……」
返事がない。一体どうしたら……
(レイア、一体どういうつもりなんだ???)
表情は相変わらず見えないが、火照った体から立ち昇る甘い香りが意識を侵食して……
(ヤバい! しっかりしろ、フェイ!)
一体どうしたんだ、レイアは!
「お、おい……」
グラッ
軽く揺すると、レイアの体は俺の方へ崩れて来た!
「えっ……」
慌てて手を伸ばしてレイアの上半身を膝の上に留めることに成功する。が……
(な、なんだと!)
一難去ってまた一難。何と膝の上のレイアはタオルがめくれそうになっているのだ!
(直さないと……だが、それも危険じゃないか?)
タオルだけ摘めば良いのは分かる。が、それもそれで結構ヤバいような。だって、タオルを掴んでるときにレイアが意識を取り戻したら……
(だけどこのままじゃ……)
はだけたタオルからは大きなバストの半分が丸見えで、僅かに山頂だけが隠されてるだけ。
(だって、これ……見えちゃうぞ)
山頂が隠されてるとは言ったが、それだって辛うじてというレベル。少しでもズレたらその時は……
(あ、見なきゃいいんだ……)
ナイス、俺! バッと目を背けた先には……
「€$#℃§」
ヤバい! 下半身を覆っていたタオルはもう……
※
そんな波乱に満ちた夜が明けた朝、俺達はクロムウェルで必要な物資の調達を行うことになった。
「じゃあ、分担して買い出しをしましょ」
買い物をする店の位置などを地図で確認する前にジーナさんがそう提案してくれた。
(確かに全員で回ると大変だな)
ちなみに買ったものは宿まで運んでもらい、宿で俺が〔アイテムボックス+〕に詰め込むことになっている。
「ポーション類は鑑定スキルがあるフェイが最適ね。レイアさんは武具やその手入れに必要な道具をお願いしてもいいかしら」
「任せて。おじいちゃんの手伝いで詳しいし」
レイアが胸を張る。が、正直昨日の今日なので直視出来ない……
「リィナは食材関連をお願い出来るかしら」
「勿論! ついでに調理の仕方なんかも聞いておくわ!」
おおっ! 頼もしい!
「クロードさんはレイアさんのサポートをお願い出来ますか?」
「ああ、分かった。人間の武具に興味があるしな。引き受けよう」
ほっ……レイアは危なかっしいからな。
「私はその他諸々を担当するわ。じゃあ、クロムウェルの地理や店の場所について説明するから」
本当、ジーナさんの仕切りは凄いな。
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