第65話 〔邪炎弾〕
◆◆◆
〔邪炎弾〕
◆◆◆
スキル名がポップアップすると同時に黒く禍々しい炎弾が飛んでくる。狙いがレイアではなく、俺なのはありがたいが……
“大丈夫です、マスター! リィナ姉様が!”
ミアがそう言った瞬間、炎弾の前に虹色の防壁が幾重にも現れる。それらは炎弾に破壊されていくがその都度威力は弱まっていく。
(これなら!)
最後の防壁が破壊された時、俺は逆に盾を構えて炎弾へと突っ込んだ。ここまで威力が下ればミアの盾で破壊しながら距離を詰められる。
(行くぞ、ミア!)
“はい、マスター!”
炎を裂いて迫る俺に中級悪魔(ミドルデーモン)が動揺し、距離を取ろうと脚に力を込める。が、次の瞬間……
ドカドカドカ!
「!!!」
リィナの虹色の防壁が三枚両脚に突き刺さり、中級悪魔(ミドルデーモン)の脚を拘束した!
“お兄ちゃん、カッコイイ!”
あ、やっぱり炎の中から現れるやつ、カッコよかった?
(いやいや、そんなこと考えてる場合じゃない!)
“とっても格好良かったですよ、マスター!”
ミアまで!
「くらえっ! 【ディバイド】!」
雑念はほんの一瞬だ。俺は斬撃と共にミアのギフトを発動し、中級悪魔の体を両断した!
◆◆◆
リィナのLvが上がりました
◆◆◆
◆◆◆
リィナのLvが上がりました
◆◆◆
◆◆◆
リィナのLvが上がりました
◆◆◆
·
·
·
中級悪魔(ミドルデーモン)を倒した瞬間に沸き起こるポップアップの嵐が収まった後、俺はリィナのステータスを開いた。
◆◆◆
リィナ<聖女>
Lv38
Hp 3208/3208
Mp 8229/8229
Str 763
Dex 841
Int 1150
Mnd 1150
Vit 998
Agi 882
luk 1111
スキル
〔ピュアヒール〕
〔ピュアウィッシュ〕
〔ピュアフレッシュ〕
〔ピュアリカバリー〕
〔聖光〕
〔七光壁〕
〔白陽の加護〕
〔赤陽の加護〕new!
〔紫陽の加護〕new!
〔回復魔法強化:特大〕
〔防壁魔法強化:特大〕
〔浄化魔法強化特大〕
〔MP時間回復:特大〕
スロット
〔 〕
〔 〕
〔 〕
◆◆◆
もう三桁を超えるパラメータがあるとか無茶苦茶だな。
“マスターもですよ”
(そうか?)
まあ、俺は何か慣れてしまったというか。
「お、終わったのか?」
ノルドさん達が脚を引きずりながら俺達のところへやって来る。ダメージは負っているが、あまり深い傷ではなさそうだ。
「傷を見せて下さい」
「すまないな」
「俺も治します」
リィナに続いて俺も治療に入る。Mpはたっぷりあるし、二人でやった方が早いからな。
「リィナは一瞬で全員を治療する魔法があったんじゃない?」
「あれはMpを結構消費するんです。だから、戦闘中でない時は別の魔法の方がMpを温存できるんです」
「なるほど。まだ先は長いもんね」
レイアは周囲を警戒しながら納得した顔をした。まあ、レイアは回復魔法が使えないからこの辺りのことはよく分からないのかも知れないな。
チチチッ! ギギギッ! ガガガッ!
だしぬけにいきなり聞き慣れない音が鳴り響く。これは一体?
“封印が軋んでいます。このままでは封印が崩壊します”
(第五封印が破られたのか!?)
“いえ、そうではありません。けれど、封印は既にボロボロなので補修が必要です、マスター!”
(ああ! 頼むぞ、ミア!)
俺は治療の手を止め、ミアに魔法力を込める。が……
“マスター、封印の綻びが今までよりもかなり酷いです。私に力をもっと込めてください!”
魔法力に余裕はあるけど……
“お気遣いは無用です。早くしないと手遅れになります!”
(分かった)
こうなったらミアを信じるしかない。行くぞ!
“あっ……あああッ!”
聖剣フェリドゥーンから白い光が広がり、封印内を照らす。光が収まった時、さっきの妙な音は聞こえなくなっていた。
(ミア、大丈夫か?)
“はい。リーマスに逃げ出した下級悪魔(レッサーデーモン)はいません”
俺はミアの体のことを聞いたんだけど……でも、ここで改めてまた聞いたらかえって気にするかな。
(お疲れ様。ありがとう、ミア)
“しかし、封印はもうボロボロです。補修はしましたが、もう長くは持ちません”
なっ……それって第五封印が破られなくてもいずれ封印は破られるってことか?
「どうしたの、アリステッド男爵?」
「実は……」
俺は皆にミアとのやり取りの内容を伝えた。
「とにかく破壊される前に第五封印まで行くしかない。急ごう」
「そうですね」
俺はそう言ってノルドさん達と共に歩き始めた。が……
(第五封印に着いた後、一体どうしたらいいんだ……?)
アバロンを止めるのはいい。だが、もはやアバロンを止めても封印はいずれ破れてしまうのだ。
「アリステッド男爵! 急いで!」
……とりあえず今は先を急ぐか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます