第64話 中級悪魔(ミドルデーモン)
リィナがスキルを使った途端、ノルドさん達へと白金色の光が降り注いだ。
「おおっ! これはっ!」
身体に溢れる力にノルドさん達が歓声を上げる。リィナの〔白陽の加護〕は仲間のパラメータを無茶苦茶引き上げる効果があるのだ。
ドカドカドカ!
さらに虹色の防壁が下級悪魔(レッサーデーモン)を分断する。いまやノルドさん達の目の前にいるのは僅か一体だ。
「これならっ! 行くぞ、みんな!」
「「「「「オオオオ!」」」」」
溢れる力にノルドさん達が気勢を上げる! その勢いに怯んだ下級悪魔(レッサーデーモン)はあっという間に倒れた。
「傷を治しますね。〔ピュアウィッシュ〕」
「おおっ、傷があっという間に消えていく……」
俺の〔ピュアヒール〕とは違い、パーティ全員の回復が出来る上、状態異常まで治してしまうとんでもないスキルだ。
「次、いけますか?」
「勿論だ! 二匹同時でもいいぞ!」
ノルドさんはそう言って豪快に笑う。まあ、確かにそれくらいの勢いはあるな。
※
【第一封印 最終区画】
リィナの支援のおかげでノルドさん達は下級悪魔(レッサーデーモン)相手に危なげのない勝利を積み重ね、思った以上の早さで第一封印の最終区画にたどり着いた。
「まさか俺達がここまでこれるとは……」
「リィナちゃんの掩護、すげえな」
『金獅子』と『紅蜥蜴』のメンバーは口々にそう言うし、俺もその意見には賛成だ。
「ん? 先に何かいるぞ」
第一封印の終わりである今は壊れた石碑がある場所に何かがいるようだ。
「一匹だ」
「下級悪魔(レッサーデーモン)一匹なら余裕だぜ」
ノルドさん達が武器を構えて突進するが……
「駄目です! それは下級悪魔(レッサーデーモン)じゃありません!」
そう言いながらもリィナは〔白陽の加護〕を発動させる。ステータスがアップしたノルドさん達は隙だらけの敵に風のように迫り──
ドカッ!
ノルドさん達が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた!
「ノルドさん!」
「お兄ちゃん、ノルドさん達は大丈夫。それより!」
見ると、奴の拳の周りに虹色の防壁の破片が見える。ノルドさん達が攻撃を受ける前に虹色の防壁がダメージを抑えてくれたみたいだ。
(ん?……なんか変だな)
改めて相手を見ると、何だか今まで相手をしてきた下級悪魔(レッサーデーモン)とは様子が違う。具体的に言えば、体が一回り大きく、角や牙も大きい。しかも、簡素だが武具を装備している。
(こいつは……〔超鑑定〕!)
◆◆◆
中級悪魔(ミドルデーモン)
Lv ???
◆◆◆
こいつは下級悪魔の上位種か!
「アリステッド男爵、エーデルローズ! 気をつけて!」
リィナはそう言いながら虹色の防壁を手足に落とす。流石だ、リィナ!
「〔グランドクロス〕!」
聖剣が繰り出す白光の横斬りが身動きの取れない中級悪魔(ミドルデーモン)の胴を裂く!
(くそ、思ったより硬い! だけど、二撃目と最後の聖属性ダメージで倒せる!)
と思ったのだが……
パリィィィン!
四肢を拘束していたはずの虹色の防壁が突如砕け散った!
(なっ!)
だが、今更スキルは止められない。俺の縦斬りは回避され、代わりに中級悪魔(ミドルデーモン)の棍棒を脇腹に受ける。
(ぐっ!)
鎧越しでもまあまあ痛いな。
“マスター!”
(大丈夫だ、ミア)
ミアを励ましながら俺は体勢を立て直し、中級悪魔(ミドルデーモン)が放つ二撃目を盾で受け止めた。
ザシュッ! ザシュッ!
隙だらけの背中にレイアの〔疾風切り:二連〕が綺麗に入る。通常なら攻撃後には安全圏に避難出来ているのだが……
(コイツ、レイアが離れる前に攻撃するつもりだな!)
そうはさせるか!
「〔デュアシールドアタック〕!」
「ガッ!」
レイアに意識を向けた隙に盾での一撃を叩き込む。ダメージは大したことないが、動揺して動きが鈍るはずだ。
バッ!
が、予想に反し、中級悪魔(ミドルデーモン)はその場を飛び退き、俺達から距離を取った。
(追撃を警戒したか……知恵があるな、コイツ)
下級悪魔(レッサーデーモン)は強敵ではあるが、獣程度の知性しかない。だがら、戦況に関係なく暴れまわるだけなのだが……
(でも、中級悪魔(ミドルデーモン)は違う。コイツは状況を理解し、何が最善かを考えて行動してくる)
簡素とはいえ、武具を装備しているのもその表れなんだろう。
(さて、どうするか)
俺達から距離をとった中級悪魔(ミドルデーモン)は俺達を憎しげに睨むと大きく口を開けた。
◆◆◆
〔邪炎弾〕
◆◆◆
スキル攻撃か!
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