第61話 ささやかな抵抗。そして……
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リィナが称号「聖女」を獲得しました
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う、ウソだろ。いきなり「パラディン」と同じ最上級クラスじゃないか!
(しかも、「聖女」って確か世界に数人しかいないと言われる超レアなクラス……
「聖女」のクラスを得た者は漏れなく歴史に名が残ると言われるようなとんでもないクラスだ。ちなみにそれほど特別視されるのは、得られるスキルが無茶苦茶凄いからだ。
(回復、バフは勿論、種々の防壁魔法に加えて破邪魔法まで使えると聞いてるけど……)
後方支援役としてはこれ以上ないといえるが、クソっ……まいったな。
「ねぇ、フェイ! リィナが得たのはどんなクラスだったの?」
…………
………………
……………………
俺は観念してレイアに事実を告げた。
「凄い! これならバッチリ戦力になるわね」
「待て! 戦闘では個々の力より連携が重要だ。リィナはまだ俺達の戦い方を知らないし……」
苦しい言い訳に見えるかも知れないが、嘘は言ってない。大体、本来は格下の相手に挑みながら徐々にお互いのスタイルに慣れていくもんなんだ。
「……まあ、確かに相手は下級悪魔(レッサーデーモン)なんだし、
「いや、練習っていうか……」
と言う訳で、訓練場でジーナさんに作ってもらった下級悪魔(レッサーデーモン)の幻体を想定した連携を試して見たのだが……
「完璧ね、リィナ!」
「ありがとうございます、レイアさん」
まさしくレイアの言う通り完璧だった。頭の回転が早いと分かってはいたが、まさかここまでとは……
(リィナにかかれば防壁一つで何でも出来そうだな……)
防壁で挟んで拘束したり、進路を塞いで分断して俺達が有利に戦えるようにしたりと何でもありだ。
(Lv1だけど、後衛としては何の不満もないな)
勿論、虹色の防壁を操るスキルがあってこそなので、リーマスの外ではこうは行かないだろうけど。
(はあ……連れて行くしかないか)
意地でも抵抗したいところだが、もはやなんの言い訳も思いつかない。腹をくくるしかないか。
(だけど、課題はまだある……)
リィナがパーティに加わることで──認めたくないが──戦力は増した。が、封印にどうやって入るのかという問題は解決していない。
(だけど、多分もう第五封印が破られるまで時間がないだろう)
第五封印だけは死守しなければいけないが、そのためには下級悪魔(レッサーデーモン)を倒しながらアバロンに追いつかなきゃいけない。
(あれこれ考えてる場合じゃないかも知れないな)
俺としては騒がれるのが嫌でギルドには色々隠している。だが、もはや全て話して協力して貰うしかないかも知れない。
「大丈夫よ、フェイ」
俺の顔色から何を考えているのかを悟ったのか、ジーナさんが俺にそう声をかけてきてくれた。
「全員に秘密という訳には行かないけど、今の生活への影響を最小限にすることは出来ると思うわ」
そう言うと、ジーナさんは自分の考えを話しだした。
※
【リーマス冒険者ギルド 緊急事態対策本部】
「……なるほど」
俺は冒険者ギルド長、ノルドさんにジーナさんの提案でレイアと共に隠していた事実を──正確にはその一部だが──を話した。
(俺達の正体がアリステッド男爵とエーデルローズであること、そして第一封印を突破して第二封印が破壊される現場に立ち会ったことを話す……か)
基本ステータスやスキルについてはギルドが冒険者に報告を強制することは出来ない。だから、何故そこまで強くなれたのかという点は黙っていてもいいらしい。そして……
(ここまで切羽詰まっていれば、多少交渉の余地はあるはず、か)
まあ、ちょっとズルい気もするけど……
「で、お前は俺に素性を黙ってほしいと。それが封印に挑む条件なのか?」
え? なんか微妙に違うな
「いや、条件というかお願いです。まあ、アリステッド男爵とエーデルローズが行くことにして頂き、ついでに疑われないで済むような知恵をお借り出来たら嬉しいのですが」
「つまり、俺が協力を断っても封印には行くつもりだと」
「そうですね。リーマスの住民として、封印が破られるのは黙って見てられないです」
これは俺の本音だ。例え、平穏な日常を失うとしてもこのまま黙っていることは出来ない。
「はあぁぁ……フェイ、お前な」
ノルドさんはため息をついた。
「無欲にも程があるぞ……正直、そんなの交渉でもなんでもねーよ」
そうかな?
「王都からの応援は最速でもあと五日はかかる。だが、アバロンはそれまでに第五封印まで破壊しちまうだろう。お前の話が本当なら、封印を守れるのはお前だけだ」
まさかそんなに切羽詰まっていたとは……
「それにお前がリーマスの住民として、リーマスを守るために封印に向かうなら、俺達の役目はお前達を全力で支援することだろ」
「ありがとうございます!」
「必要なものがあれば何でも言え! 今回の騒動、リーマスの住民総出で解決するぞ!」
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