第45話 冒険者ランク認定会

<フェイ視点>



 俺とレイアは再び変装してギルドを訪れ、ジーナさんに報告した。クエストとしては現状調査だったので、現れた魔物の種類や数を言えばよいのだが、今回はもう一つあった。


「えっ? タイクーン山脈に聖剣が!」


 後半部分はかなりの小声だ。こんな近くに聖剣があるなんて普通思わないもんな。


「じゃあ、これで」


 ふぅ、やっとこれでリィナの待つ家に帰れる。


「お待ち下さい、アリステッド男爵。ご不要かとは思いますが、一応ご案内します」


 ジーナさんが渡してくれたのは……ん? 冒険者ランク認定会?


(聞いたことないな)


 普通、冒険者ランクは冒険者がクエストをこなしていく中でギルドが決めていくもんだからこれをしたらCランクとか決まるものじゃないんだが……


「既にAランクのアリステッド男爵やエーデルローズ様には関係ない話なのですが、リーマスの全冒険者に伝えることになっているのでお知りおき下さい」


 Sランクは王都の冒険者ギルドが認定する決まりだから確かにアリステッド男爵には関係ない。


(いや、待て! でも俺には関係あるな!)


 冒険者ランクが上がれば受けられるクエストが増える。正直、今のランクだとLvアップがかなり難しいのだ。


「分かった。覚えておこう」

「それとこちらも宜しければ……」


 ジーナさんがもう一つ紙束を手渡してくれた。これは……クエストの受注書?


「特別な冒険者の方だけにご紹介しているクエストです。ご興味があれば」


 ああ、『金獅子』や『紅蜥蜴』じゃないとこなせないような危険なクエストだな。


「後で見てみよう。肩慣らしはもう十分だしな」


 ちなみにこう言うようにジーナさんから事前に指示されている……


(まあ、レベル上げには丁度いいか)


 結局、今回のクエストではレベルが上がらなかったし、良さそうなのがあったら受けても良いかもな。


(まあ、今はとにかく帰ろう)





 俺はゆっくり休んだ後、レイアと共に冒険者ランク認定会に参加していた。話を聞くと、レイアはノリノリで参加するといい、まるで遠足前の子どものように落ち着かなかった。


(おかげでBランクのクエストに行くハメになったな)


 まあ、レベルは上がったし、ミアの力も試せたし、悪いことはなかったけど。


 ちなみに今の俺のステータスはこんな感じ。



◆◆◆


 フェイ<パラディンロード>

 Lv  58

 Hp  13362  

 Mp  8425

 Str  3198

 Dex  3483

 Int  3022

 Mnd  3484

 Vit  3023

 Agi  3081

 luk  3369

 スキル

 〔グランドクロス〕

 〔クロスフィールド〕

 〔デュアシールドアタック〕

 〔デュアカバーガード〕

 〔励声叱咤〕

 〔デュアシールドカウンター〕

 〔ホーリーライト〕

 〔ターンアンデッドクロス〕

 〔ピュアヒール〕

 〔ピュアフレッシュ〕

 〔ピュアリカバリー〕

 〔アンデッド超特効〕

 〔聖属性攻撃超強化〕

 〔近接攻撃超強化〕

 〔盾防御超強化〕

 〔回復魔法強化:特大〕


 スロット

 〔アイテムボックス+〕 

 〔超鑑定〕

 〔アクロバット〕


◆◆◆



 化け物みたいなステータスだな。


(けど、これに過信したら駄目だ)


 何でもかんでも力技ではいつか絶対失敗する。それに何より目立ち過ぎる。俺は最強になりたいと思っているが、余計なしがらみに囚われるのは嫌なのだ。


(あ、そうだ。レイアのステータスは……)


 何かプライバシーを侵すようで抵抗があるのだが、本人は全く気にしてない……というよりむしろ“私がどれくらい強くなったのかきちんと見なさい!”と言ってくるので定期的に確認した方がいいな。



◆◆◆


 レイア<ソードマスター>

 Lv  46

 Hp  5554 

 Mp  1239

 Str  856

 Dex  643

 Int  534

 Mnd  504

 Vit  817

 Agi  856

 luk  693

 

〔二連刃〕

〔六連刃〕

〔飛刃〕

〔飛刃∶三連〕

〔疾風切り〕

〔疾風切り:二連〕

〔剣の舞〕

〔剣•刀攻撃力大〕

〔剣•刀装備時回避率アップ〕


スロット

〔クリアウォーターボール〕

〔アイテム複製〕

〔アイテム効果強化〕


◆◆◆



 すでにAランクに近いレベルのステータスだ。しかも、レイアの場合、スキルの使い方や体捌きが凄いのでステータス以上のことが出来てしまうのだ。


(だからこそもっと強い魔物と戦いたいっていうのは分かるんだけどな……)


 しかし、あんまりアリステッド男爵やエーデルローズの活躍が目立つようでは困るのだ。正体が俺とレイアだとバレたら困るからな。


「皆さん集まりましたね。では、冒険者ランク認定会の説明を始めます」

 

 おっ! 始まった!


「始まったわね、フェイ!」

「……ああ」


 一瞬返答に詰まったのは、やる気に満ちたレイアの横顔に一瞬見惚れてしまったからだ。いかんいかん、別のことを考えよう!


(まあ、今回はCランクくらいになれたらいいかな)


 Cランクになると実入りの良いダンジョンに入れたり、国外に出るようなクエストも受けられるようになるため行動範囲も広がるしな。


「冒険者ランク認定会ではこれから簡単な競技を行ってバラメーターを測り、暫定ランクを決めたいと思います」


 げっ……やり過ぎないようにしないとな。


(それにしても、普段は何が出来たかでランクを判断するのにガラッと方針を変えてきたんだな)


 まあ、それだけ高ランクのクエストがたまって切羽詰まっているんだろう。多少荒くても手早く全体の冒険者ランクを上げたいってことかな。


「まずはこれです!」


 ジーナさんが出してきたのは柔らかそうな素材で出来た人形だ。


「これはStrを測るための魔道具です。皆さんにはこれを全力で殴って貰います!」


 全力で殴って大丈夫なのか? 直ぐに壊れそうだけど……


「見た目より頑丈に作られていますから、手加減をすると正しく測れませんよ〜」


 そうなのか。まあ、とはいっても加減しないと目立ち過ぎるよな……

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