第17話 街に戻って……

 師匠の言う通り、俺達は一端地上へ戻った。道中、幾度となく魔物と遭遇したのだが、〔励声叱咤〕というヘイトを集めるスキルを使って攻撃を俺に集めることで何とか脱出することが出来た。


 が、外に出たらそれで終わりというわけには行かない。俺達は冒険者ギルドへ向かって状況を報告したのだが、事が事だけになかなか帰してもらえず、結局家についたのはかなり遅くなってからだった。


「お兄ちゃん、大変だったね」


 そう言って手料理を出してくれたり、マッサージをしてくれるリィナはマジで天使だ。


「でも、明日から大丈夫なのかな?」

「大丈夫だろ。ギルドが何か考えるさ」


 リーマスにはAランクの冒険者もいる。道中で得た魔物の情報も全て渡したし、十分な準備と作戦があれば何とかなるだろ。


「そうだね。お兄ちゃんがいっぱい調べてくれたんだもんね」


 ちなみに、今回はクエストを受けたわけじゃないが、情報料として銀貨三枚を受け取った。かなりの額だが、それだけギルドも今回の事態を重く見ているのだろう。


(また明日ギルドに顔を出してみるか)


 そんなことを考えながら、俺は休む支度を始めた。





 次の日、俺はまず師匠のところへ行くことにした。【黄昏の迷宮】であったことをまだ説明してなかったからだ。


「お兄ちゃん、これ、お弁当」


 可愛い笑顔と共にリィナがお弁当を渡してくれた。今日はギルドに寄ったついでに手軽なクエストを受けてくるつもりなのだ。


「いってらっし──」


 俺を見送るリィナが急によろめく! 俺は圧倒的なAgiでリィナの元に駆け寄り、細い体を支えた。


「大丈夫か、リィナ?」

「大丈夫だって。ちょっとよろめいただけだから」


 そうなのか? 何か顔色が悪いような……


「ちょっと、お兄ちゃん! そんな顔をしないで。別に大したことないから」


「でも……」


「本当に大丈夫。たいしたことないから心配しないでね」


 リィナが笑顔でそう言うが、大丈夫なのだろうか。……いや、本人が大丈夫だと言ってんだ。俺が勝手に不安になるわけにもいかない


「念のために今日はゆっくりさせて貰うし、大丈夫」


「……分かった。じゃあ、夕食は買ってくるから休んでてくれよ」


「うん。お土産、期待してるね!」


 再び俺に手を振るリィナは完全にいつものリィナだ。ちょっとよろめいただけで、大したことはないんだろう。


(さっさと用事を済ませるか)


 最短ルートを通って師匠の家に着いた俺はレイアに出迎えられた。


「フェイ、いらっしゃい」 


 随分丁寧に出迎えてくれるな。この間の件でちょっとは信頼関係が出来たのかな。


「何を騒いで──って、フェイか。ああ、律儀に話をしに来てくれたんだな」


 律儀にって……こうしないとそっちから押しかけてくるでしょうが!


「にしてもレイアがこんなに懐いているとは珍しい」


「なっ! 何言ってるの、お爺ちゃん!」


 レイアが慌てて手を降るが、師匠は気にした様子もない。


「美人なのにツンケンした性格のせいで友人さえ中々出来ないし、心配しとったんじゃ。良かったな、レイア」


「だから、フェイはそんなんじゃないの!」


 レイアはさらにテンションを上げるが、師匠はどこ吹く風。まあ、ちょっと気の毒ではある。


「まあ入れ。レイア、飲み物を頼む」

「……分かったわ」


 まあ、レイアもそんな師匠に慣れてはいるのだろう。しぶしぶ師匠の言いつけに従った。


 まあ、さほど部屋数があるわけではない中、俺は一番大きな部屋に通され、【黄昏の迷宮】であった出来事を話した。


「ふうむ……〔アイテム効果強化〕と託宣の聖印の組み合わせ、さらに〔アイテム再生〕か。まさかそんな手段があったとはな」


 ちなみに師匠はジーナさんやリィナとは違い、俺が突き落とされた下りにはあまり反応を示さなかった。


(今五体満足な姿で目の前にいるからだよな……)


 まあ、“油断したお前が悪い”くらいに思っている可能性が高いな。


「レイアのクラスが変わったこともこれで納得がいった。レイアは“フェイのおかげ”としか言わなかったからな」


「そうなの?」


 レイアにそう尋ねると、彼女は当たり前だと言わんばかりに頷いた。


「いくらお爺ちゃんでも、許可なくフェイの情報を話すわけにはいかないじゃない」


 へえー、意外と義理堅いところもあるんだな。


「昨日の帰りにも大分レベルアップしてたし、目的が叶うのも近いんじゃないか?」


「まだまだよ」


「………」


 『朝霧の鉱山』からの帰りでは高レベルの魔物と戦ったからかなりレベルが上がったんだけどな。ちなみにレイアのステータスは



◆◆◆


 レイア<ソードマスター>

 Lv  43

 Hp  5134 

 Mp  1179

 Str  796

 Dex  615

 Int  504

 Mnd  474

 Vit  763

 Agi  796

 luk  648

 

 〔二連刃〕

 〔六連刃〕new!

 〔飛刃〕

 〔飛刃∶三連〕

 〔疾風切り〕

 〔疾風切り:二連〕

 〔剣の舞〕 new!

 〔剣•刀攻撃力大〕

 〔剣•刀装備時回避率アップ〕


 スロット

 〔クリアウォーターボール〕

 〔アイテム複製〕

 〔アイテム効果強化〕



◆◆◆



 ちなみに俺はこんな感じ。



◆◆◆


 フェイ<パラディンロード>

 Lv  56

 Hp  12902 

 Mp  8135

 Str  3088

 Dex  3363

 Int  2918

 Mnd  3364

 Vit  2919

 Agi  2972

 luk  3253

 スキル

 〔グランドクロス〕

 〔クロスフラッシュ〕

 〔デュアシールドアタック〕

 〔デュアカバーガード〕

 〔励声叱咤〕

 〔デュアシールドカウンター〕

 〔ホーリーライト〕

 〔ターンアンデッドクロス〕

 〔ピュアヒール〕

 〔ピュアフレッシュ〕

 〔ピュアリカバリー〕

 〔アンデッド超特効〕

 〔聖属性攻撃超強化〕

 〔近接攻撃超強化〕

 〔盾防御超強化〕

 〔回復魔法強化:特大〕


 スロット

 〔アイテムボックス+〕 

 〔超鑑定〕

 〔アクロバット〕



◆◆◆

 


 レイアのパラメーターが凄く低く思えるかもしれないが、それは気のせいだ。既にレイアのステータスはB級冒険者以上になっている。要は俺のステータスがおかしいのだ。


「ところで師匠、こんなものを手に入れたのですが、使い道をご存知ではないですか?」


 俺はダンジョンコアを〔アイテムボックス+〕から取り出し、師匠に見せた。


「ダンジョンコアか。珍しいものを手に入れたな。特別なものが作れると聞いたが……何だったかな。調べておいてやろう」


 うーん、大丈夫かな。師匠の反応が微妙だ。師匠は興味があることしかしないからな……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る