第7話恐怖、中川の正体
僕は松葉づえを突きながら、賃貸マンションのエレベーターに乗った。
8階が自宅だ。
明日、ホントにメグちゃんは料理を作りに来るのだろうか?
僕は裸になり、右足をビニール袋に入れてシャワーを浴びた。
風呂上がり缶ビールを飲んだ。貰い物だが、
時計をみると11時過ぎ。
僕はベッドに横になり、夢の世界に落ち込んだ。
ピンポーン、ピンポーン
誰かが、インターホンを鳴らしている。部屋のインターホンの画面を見た。
メグちゃんだった。フロントのドアを解錠し、玄関の施錠を開けて立っていた。
「タカちゃん、おはよ!」
「うん、おはよう。ってまだ、5時半だよ!」
「朝ごはんはサンドウィッチ買ってきた。今から、昼食と夜ご飯のおかずつくるね」
「あ、ありがとう」
「じゃ、作るからタカちゃんまだ、寝てて」
メグちゃんは腕捲りして、料理に取り掛かった。
時間は早すぎだけど、僕は嬉しかった。
30分程横になり、台所を覗いた。
焦げ臭い。
「 メグちゃん、何作ってるの?」
「焼きナス」
「し、渋いね~」
「夜はハンバーグで、昼はオムライスと焼きナスね」
「う、うん。ありがとう」
部屋中がナスの皮が焦げた匂いがする。
後で、換気だな。
「出来たよ~、タカちゃん」
「ありがとう。助かるよ」
彼女はニコリと笑い、
「明日も作りに来るからね」
「悪いねぇ」
「わたしがケガさせたんだから」
メグちゃんは7時に会社に向かった。
僕は二度寝した。再び目を覚ましたのが11時。
昼飯を食べようと、焼きナスとオムライスをレンジで温めた。
焼きナスには醤油をかけて食べた。美味しい。
オムライスを食べた。口の中で、ぐちゅっとした。
……トマトだ!昨日、トマト嫌いって言ったのに。
でも、食べなきゃ悪い気がしたので完食した。
休みだから、青島ビールを飲んで口直しした。
ピンポン
LINEの通知音だ。メグちゃんからだ。
【完食した?トマト食べた?】
【うん、完食したよ!美味しかった、ありがとう】
彼女は確信犯だ。入社したら、飛んでもない展開だな。
二日目で労災ケガ。中川恵との出会い。
しかし、五島さん始め作業員が嫌ってる女の子。
どうなってんだ?
僕は化膿止めの薬を飲んで、パソコンの前に座り、ネット将棋を楽しんだ。
こんな生活が一週間続き、とうとう休み終わりの金曜日になった。
右足は良くなって、痛みが取れた。昼、病院へ松葉づえを返しに行った。
金曜日の午後6時。
インターホンを鳴らす者がいた。モニターで確認するとメグちゃんだった。
何の用事だろ?嫌な予感しかない。エントランスを解錠した。
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