第4話誤解

「よっ、平松こんなとこで何してんだ?」

現場監督の五島だ!

しまった、中川と2人きりで飲んだ事をバレてはまずい。

しかも、入社したてだぞ!

まずい、非常にまずい。

「あらっ、めぐみちゃん。平松と一緒に飲んでたの?」

「はい、平松さんが強引に飲みに連れられて来ました。助かった~。わたし帰ります」

なんだ、この中川は!僕が誘われたんだ!

「ちょっと、メグちゃんっ!」

「気安く、メグちゃんって呼ばないで」

「平松~、ド新人がめぐみちゃんを誘うなんて、ふてえ野郎だ!説教してやる。こっち来い!」

僕は五島さんが連れてきた、若い衆に両脇を捕まえられて、焼き肉屋へ引き摺り込まれた。


「平松、めぐみちゃんかわいいよな?」

「は、はい」

「うちの若い衆はみんな交際を断られたんだ。な、伊藤?」

伊藤は高卒で二年目の作業員だった。肉体労働で作られた筋肉、そして顔がいい。

「平松さん、あの女飛んだ食わせ者ですよ!」

「何故です?」

「デートでは遅刻するわ、飲んで管巻くわ、最悪です」

僕は、その言葉がしっくりした。さっきの中川のセリフは明らかに僕を陥れるためのモノ。


「平松、分かったか?あの娘には気を付けろよ」

「はい」

「お、カルビ焼けたぞ、平松食え!」

「焼き鳥屋で食べてきたのであんまり……」

「じゃ、飲め!」

「はい、ハイボールをお願いします」

五島と、前田と言う若い衆と伊藤はがつがつ肉を食い、ライスをかきこみビールで流し込こんでいた。

これくらい食べないと、仕事にならないのだろう。

店を出たのは10時半過ぎであった。

「五島さん、ご馳走さまでした」

「いつでも飲んでやる。平松。めぐみには気を付けるんだぞ」

「はい」

僕は帰宅して、シャワーを浴びた。右足にはビニール袋を被せた。

実はかなり、痛いのだ。

ベッドに横になると、スマホをいじっていた。


ピンポン


と、LINE通知音が鳴る。

メグちゃんからだ。

【今夜はごめんね。いつか、穴埋めするから】


僕は、LINEを読んだだけで返信しなかった!

あの、くそ女!ま、五島さんと仲良くなれたからそれでいいや。

僕はそのまま眠りに付いた。


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