第7話

 種芋が無事育って、立派なジャガイモができていた。

 僕はお湯を沸かして、ジャガイモをふかす。

 たくさんのふかし芋をしっかりすりこぎですりつぶす。

 木の棒と木の器はいくらでもあるからね。

 特にぎざぎざを刻んでなくても、天然木で芋をすりつぶすのは簡単だ。

 最近、主食替わりにこの芋が大活躍。

 みんな、大好きなお芋さんです。


 何を作るかって?


 まずはスパムを取りだして。

 塊のままスライスします。

 すりつぶしたお芋をにぎり寿司のシャリ状に。

 スライスしたスパムをのせて、スパム寿司(シャリは芋)のできあがり。

 これは、スパムの香辛料だとか油が苦手な人にも大好評の一品なんだ。味付けしてない芋が、スパムのくせを柔らかくします。そもそも芋と肉って相性抜群だからね。


 同じ材料だけど、種から出来たキュウリを薄切りにして、スマッシュポテトにスパムと共に投入です。しっかりまぜて、均等に混ざったら、スパムポテサラ。本当は、ここにマヨネーズが欲しいけど、卵も油もないから、断念です。けど、スパムがしっかり味をつけてくれるから、ちょっとコロッケの中身みたいで、僕は好き。もちろん集落のみんなもお気に入り、です。


 そして同じくスマッシュポテトとキュウリに、今度はスパムじゃなくてシーチキンを投入します。さすがにマヨネーズじゃなくても味が欲しいよね。

 取り出しましたのは、実はかなりの数発見できたパイナップルの缶詰です。甘酸っぱい汁を適量。細かく切ったパイナップルも一緒に混ぜると、ちょっぴりデザート感もある、しっかりした一品になるんだよね。


 そして・・・


 最後の一品。


 かに缶、ってすごいです。

 普通の蟹より味が濃いと思うのは僕だけかな?

 これは献上された小麦粉を水に溶かし、その中に汁ごと投入。やっぱり卵もないし、ふわふわにするのは無理だけど、蟹風味のおせんべいみたいなパン?お好み焼き?そんな感じになるんだ。

 ソースが欲しい。そう思ってやってみたら案外あり?そう思ったのは焼き鳥です。甘辛い醤油のたれがお好み焼きもどきをしっかり味付けしてくれるんだ。ちょっぴりとろっとしているのも良い感じ。缶ごと湯煎して、肉も込みで蟹お好み焼きにぶっかけたらできあがり。


 缶づめだけのこんな料理だけど、使者の人達は、目を白黒させていたよ。

 集落のみんなは、みんな食べたことのある料理ばかり。普通に美味しい美味しいと言いながら食べていて、なんていうか、食べ慣れてるのはすぐにわかる。


 「これは、宴の特別な料理、というわけではないのですな。」

 なんか考え考え、そんな風に言う使者の人。

 「え?もちろん特別な料理だよ。いつもは1品か、せいぜい2品だもん。ねぇ?」

 小さな男の子がそんな風に答えるのを聞いて、使者さん、はぁ、ってため息をついたよ。


 「私たちが間違っていたようです。我々の町ではこれだけの料理を出すことは出来ない。氷人様、裕樹様。そして考古学者のお歴々。どうぞ、我らの集落と、善き関係を繋いでいただけますまいか。」

 そうして、深々と頭を下げたんだ。



 こうして僕は、この集落で、より快適な生活のため暮らしていくことになった。

 多くの集落とつながりが出来、遺物を使うだけじゃなくて、なんとか復元を試みつつ、この世界を少しでも発展させようと、頑張っている。

 その成果は・・・・後世の人が、判断してくれるんだろう。


 (缶・・・じゃなくて、完)

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目覚めれば、そこは未来の地球だった 平行宇宙 @sola-h

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