113.素材からの制作

 ……はぁ。これは、報酬の確認をしておく必要があるな。

 クエストの報酬は神話級素材選択BОXだが、シェイルフィード討伐で手に入る別の報酬というものがある。

 これは一人ひとりにいきわたるものなので、俺だけではなくエリザやリンも受け取っているはずだ。

 それを確認しないで言い合っているとは……こいつら、暇人なのか?


「とりあえず、シェイルフィード討伐の報酬は……ん? おいおい、マジか、これ?」


 今の俺にとっては非常にありがたいものだが、こんなことがあっていいのか?

 シェイルフィード討伐の動画や攻略サイトの情報は見たことあったけど、ここまでの報酬は見たことがないぞ。


「……ここでも、神話級素材選択BОXだと?」


 以前に手に入れたものと合わせると、神話級素材選択BОXが三つ。

 そして神話級素材ランダムBОXが四つ。

 神話級装備を作るのに必要となる神話級素材は五つ。

 ということは、ランダムBОXから最低でも二つの暗殺者用神話級装備を作り出す素材が手に入れば、あとは選択BОXから三つの必要素材を手に入れればいいのだ。


「……もう一つの神話級装備が、手に入るかもしれない!」


 これは動画を撮影している場合ではないぞ!

 早速神話級素材ランダムBОXを使って……って、ん?


「……二人とも、どうしたんだ?」

「……もう神話級装備が手に入るのですか?」

「……たった一日で、二つも手に入るものなの?」


 二人とも、いつから聞いていたんだよ。


「ゴールド時代にも経験したことはなかったが、今回は神話級装備ランダムBОXが手に入ったのと、選択素材BОXとランダムBОXが大量に手に入ったからだな。だがまあ、確定じゃないんだけどな」


 肩を竦めながらそう口にすると、二人との会話で冷静になった俺は一つ息を吐き出した。

 そして、神話級素材ランダムBОXを選択すると、そのまま四つ全てを使用する。

 ここで二つの暗殺者用神話級素材が手に入らなければ意味がない。

 神話級素材ランダムBОXが虹色の光を放ち始める。

 目を見張るほどの光が一気に膨れ上がると――素材が四つ俺の目の前に現れた。


「……はは……おいおい、マジかよ」


 この結果、信じていいんだろうか。


「……出たぜ、暗殺者用神話級素材が二つ!」

「おめでとうございます、レヴォ様!」

「えぇー! また神話級装備なのー! 私も欲しいよー!」


 だが、喜んでいられるのもここまでだ。

 どの装備を作成するか、それを考えなければならない。

 現状の俺の装備は神話級装備のシンボル・オブ・ブラッド。

 伝説級装備の暗黒竜鱗の仮面。

 伝承級装備の隼の短剣、中級闇精霊の腕輪。

 あとの装備は全て希少級装備だ。

 希少級装備を全て伝承級装備以上にしたいが……いや、待てよ?


「そういえば、ゴールドギルドの奴らを倒したときの収奪アイテムの確認を忘れていたぞ」


 どうせクリアできるだろうと高を括っていたから、すっかり忘れていた。

 ……これ、シェイルフィードとの戦闘ももう少し楽ができたんじゃないか?


「まあ、今さらか」


 というわけで、収奪アイテムの確認を始める。

 エリザも自分で倒したユーザーのアイテムを収奪しているので、そちらの確認を始めた。


「……二人とも、普通は最初にやらないかなー?」

「「う、うるさい!」」


 そもそも、お前たちが朽ち果てたダンジョンを占領しようとしていたのが悪いんだろうが!

 ……いくつか使えそうな装備もあり、俺の装備は足元以外が伝承級以上に変更された。


「となれば、俺が作成する装備は靴ってことになるな」


 敏捷に大きく影響を及ぼす靴装備なので、この結果はありがたい。


「はは! こいつは楽しみだな!」


 俺は高揚する気持ちをなんとか抑え、神話級の靴装備作成に取り掛かった。

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