98.新しい相棒
「……これが、暗殺者用の短剣――シンボル・オブ・ブラッド」
暗殺者にふさわしい真紅と漆黒を基調とした短剣は、神話級にふさわしい能力を持っている。
特にスキルが暗殺者に……いや、復讐を誓う俺にふさわしいと言えるだろう。
【シンボル・オブ・ブラッド:筋力+20、敏捷+50、知能+10、体力+10、精神力+10】
【アクティブスキル:シャドウウォーク 使用可能(影が続く限り、影の中を移動することができる。一度地上に出ると、次の使用まで1分のインターバルが必要)】
【パッシブスキル:暗殺者の肉体(状態異常になると、3分間で状態異常を無効化する。無効化中に回復することも可能)】
能力補正の合計が100と高いのもありがたいが、やはりシャドウウォークと暗殺者の肉体だろう。
特にシャドウウォークに関しては、黒閃刀の透明化の上位互換なので使いやすい。
影の中なら音を立てても問題ないし、何より見つかる心配が皆無だ。
透明化だと範囲攻撃の範囲内にいると解けてしまう可能性もあるが、シャドウウォークなら問題はない。
インターバルが短いのも使い勝手が良い。
次に暗殺者の肉体だが、これも俺にとっては最高のパッシブスキルだ。
シャドウウォークとの相性も良く、集団の真ん中で状態異常を広範囲で付与する道具を使い、すぐに状態異常を回復させて、あとは悠々と仕留めてしまえばいい。
一つの武器に二つのスキル付いている場合、相性が良いことが多いのだが、今回の二つは特に素晴らしいかもしれない。
「……ありがとう、エリザ」
「とんでもございません、レヴォ様! 私もコキュートスを手に入れることができましたし、お互い様です!」
そう口にしてエリザの腕の中には、コキュートスが抱きしめられていた。
……なんで抱きしめているのかはよくわからないが、まあいいか。
「まあ、コキュートスも剣士職からすると最高の武器だからな。能力補正も申し分ないし、何よりスキルが強力だ」
「はい。名前の通りのスキル、コキュートス。広範囲へ放つことができる氷魔法。それも魔法の威力は知力ではなく、最も高い数値が反映される」
「剣士にとっては筋力を上げたいが、魔法スキルを使うには知力も上げないといけない。そうすると、能力的には中途半端になってしまう」
それが最も高い数値が反映されるとなれば、筋力や敏捷を上げていても、その数値が魔法の威力となるので、中途半端な能力にならずに済む。
「コキュートスがあれば、メインキャラよりも強いキャラが作れるかもしれません!」
「シンボル・オブ・ブラッドも、俺の目的には最高の武器だ」
欲を言えばあと二つ……いや、一つでも神話級装備を手に入れておきたいところだが、そう簡単に手に入らないから神話級なのだ。
そう考えると伝説級装備が現実的な線なのだが、ゴールドとやり合うと考えるとそれでは足りない気がする。
神話級装備の素材を集めるのが一番確実ではあるけど、そうだと時間が掛かるんだよなぁ。
「……まあ、メインクエストを進めていけば、なんとかなるか」
「私もご協力いたします!」
「ありがとう、エリザ」
……あれ? この流れって、DRギルドへの加入が決まった、みたいになってないか?
「…………ぅぅ」
「「……ん?」」
急に変な呻き声が聞こえてきたので振り返ると、そこには両膝を地面につけて項垂れているリンの姿があった。
「……ど、どうしたんだ?」
「……あの、リンさん?」
「…………槍……全く、使えない……」
あー……うん、ドンマイ。
「こ、こうなったら! 何をしてでもDRギルドに入れてくれないと気がすみません!」
「は、はあっ!?」
「お願いします、レヴォさん! DRギルドに入れてくださいよー!」
「ちょっと、離せって、足にしがみつくなよ!」
「離しませんー! お願いしますー!!」
――結局、俺はリンに頼み込まれて振り払えず、エリザと合わせて二人のギルドメンバーの加入を認めたのだった。
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