80.イベント報酬
「おっ! 予想通り、イベント報酬が届いたみたいだぞ!」
メールの通知音が鳴りウインドウを開くと、そこには運営からのメールが届いていた。
件名もイベント報酬の配布だし、まず間違いないだろう。
「早くみたいにゃ!」
「ご主人様! 私も見たいのー!」
「そうだな、俺も楽しみだ!」
二人に返事をしながらメールを開封してみると、そこには予想以上に豪華な報酬がずらりと並んでいた。
「おぉっ! 神話級装備の素材が手に入る選択BOXが一つとランダムBOXが三つ、それに伝承級以上が確定のランダムBOXが一つ入ってるぞ!」
「それはすごいのにゃ!」
「これでご主人様がさらに強くなるのー!」
他にも伝説級装備の素材が手に入るBOXに、高ランクのポーションが各種、他にも細々したものがいくつかあったのだが、何より俺が嬉しかったのがこれである。
「まさかこんなにも早く手に入るとはな! 選択スキルブック(伝説級)!」
こいつはスキルポイントなしにスキルを獲得できる優れものなんだが、最も重要なのが等級の部分だ。
スキル獲得に必要となるスキルポイントに違いがあるのは、スキルにも優劣が存在するからである。
当然ながら獲得するのに高いポイントが必要なスキルは優秀であり、高い等級が設定されている。
このスキルブック(伝説級)は、スキルを獲得できるだけでも優れものなのに、優秀なスキルを獲得できるというものなのだ!
「伝説級ランダムBOXも確かにありがたいが、やっぱりスキルだよな~」
素材はすぐに使えるものではないし、装備も技術を駆使すれば意外とどうにかなるものだが、スキルに関してはどうしようもできないものが多くある。
それをタダで獲得できるのだから、今回のイベント報酬は大当たりだ。
「……ん? もう一通、メールが来たな」
どうやらこちらも運営からのようだが、件名が先ほどとは少し違っている。
「……イベントにおける不正へのお詫びと補填配布?」
まあ、大々的にニュースにまで取り上げられていたのだから、当然と言えば当然か。
「だけどまあ、補填ってことだからそこまで良いものではないだろうな」
先に届いたランキング1位の報酬から見てしまった分、補填への期待がだいぶ薄れてしまったなぁ。
「どれどれ……ん?」
「どうしたのにゃ、ご主人様?」
「どうしたのー?」
これは、予想外だな。
当然ながらランキング1位の報酬より良いってことはないんだが、これを参加者全員に配ったってことなのか?
「……ランダムスキルブック(希少級)」
等級は希少級と低いものの、スキルブックというだけで貴重なアイテムになってくる。
もしかすると、小銭稼ぎで競売に大量のランダムスキルブック(希少級)が並ぶ可能性だって出てくるだろうに。
「……いや、もしかして、それを狙っているのか?」
ランカーたちはそんなことしないだろうけど、下のユーザーたちは十分に考えられる。
そして、今回配ったランダムスキルブック(希少級)が大量に競売に並んだとしても、運営としては手数料として販売額の三割は回収できるわけだし、それを見越して配ったんだろうな。
「それに、これだけ大盤振る舞いをする運営だと思ってもらえれば、騒動で引退するユーザーも減るって考えたのかもしれないな」
俺としても自分が関わったことでユーザーが減り、ワンアースがサービス終了なんてことになるのは是が非でも避けたいところだし、運営には頑張ってもらいたいところだ。
「ご主人様! 早速アイテムを使うのかにゃ?」
「楽しみなのー!」
「目的地もすぐそこだし、戦力アップのために使っておくか!」
ここでダンジョン攻略に失敗する俺ではないが、なるべく楽に攻略できるならその方がいいに決まっている。
というわけで、俺は最初に伝説級ランダムBOXから使ってみることにした。
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