74.ギルド対抗イベント終了

 その後、俺たちはその場を離れるとすぐにボーンヘッドギルドのために750ポイントを稼げるモンスターの狩り場へと向かった。

 残り時間はまだまだある。ここからポイント稼ぎに精を出せれば問題はないはずだったのだが、そこは他のギルドも考えていることは同じだ。

 そこには多くのギルドが集まっており、モンスターの取り合いになっている。

 ボーンヘッドギルドでは太刀打ちできないようなレベルのギルドも存在していたが、そこは俺が一肌脱いでやった。


「はあっ!」

「く、くそったれ! 覚えていやがれ!」


 いや、俺はもうお前なんて覚えていないんだがな。ってか誰だよ。

 しかし、不意を突けばこうも簡単に倒せてしまうなんて、トップランカーからするとあり得ない話だ。

 この場に上位ギルドがいなかったことを感謝するべきかもしれないな。

 中にはそれなりに強いユーザーもいたのだが、その時だけはデスハンドと連携して倒していく。

 一緒に戦うのは今日が初めてだったが、デスハンドは相手に合わせて戦うのが相当に上手い気がする。

 実力者と組めば相当上のランクにまで上がれると思うんだが、どうしてPKギルドなんかをやっているんだろうか。

 ……まあ、こいつにはこいつなりの楽しみ方があるんだと思いたいな。


 しばらく戦闘をしていると周囲にユーザーの気配がなくなっていき、気づけば俺たちだけが狩り場に残っていた。

 他のギルドにはこう伝わっているはずだ。

 ボーンヘッドギルドが上位ユーザーと手を組んでいる、とかなんとか。

 まあ、実際は単に協力関係にあるだけなんだが、そんなこと俺にとってはどうでもいい。

 デスハンドとの約束を果たすことができればそれでいいのだ。


「おい、レヴォ! 本当にこんなところに750ポイントを稼げるモンスターがいるんだろうなぁ?」

「安心しろ。ちょうどそろそろリポップする……ほら、見ろよ」

「あぁん? いったい何が……って、おいおい、あれかぁ?」


 現れたのは魔法が一切効かない重装甲のモンスター、マテリアルホーン。

 トリケラトプスのような見た目のモンスターで、体を覆う鱗が光の反射で虹色に輝いている。

 その鱗が厄介で、魔法を全て反射させてしまうのだ。

 フィーが近接戦闘もこなせれば俺でも簡単に討伐することが可能だったが、魔法特化の霊獣ではどうしようもない。

 俺一人でも倒そうと思えば倒せるのだが、HPも多くて倒すのに時間が掛かることから、苦労して倒すほどではないと判断した。

 だが、近接戦闘ができる仲間がいれば話は別だ。

 魔法を弾く鱗と高いHPを有しているせいか、マテリアルホーンの攻撃手段の大半は突進である。

 それも一人に対してしか有効打にならないので、囮役と攻撃役に分かれてしまえば意外と容易く倒せてしまう。

 今回でいえば囮役を幹部が、攻撃役をデスハンドが担えば問題ないだろう。

 あとの奴らも三人以上で組んで攻撃すればどうにかなるはずだ。


「俺もダメージを削るのを手伝ってやる」

「よろしく頼むぜぇ」

「そんじゃまあ、さっさと1万位になれるだけのポイントを稼いで終わらせるとしますか」


 それからしばらくは狩りの時間となった。

 流れ作業になってしまったが、それでもボーンヘッドギルドがランキング1万位に獲得できるくらいのポイントを稼ぐことができたので良しとしよう。

 もしかすると、報酬のランクが上がる5000位以内もいけるんじゃないかというくらいのポイントまで引き上げたわけだしな。

 時間ギリギリまで狩りを続けていた俺たちだったが――ここでついにギルド対抗イベント終了の時刻となった。

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