40.特別な報酬
レッドドラゴンを倒したことでレッドリザードマンの統率が完全に乱れた。
意味のない奇声を発したり、レッドリザードマン同士で首を傾げていたり、その場からそそくさと逃げ出す固体まで現れている。
しかし、そんな統率の取れていないモンスターを……いや、経験値を逃がすほど俺は甘い男ではない。
「一気に叩くぞ、フィー!」
「はいなのー!」
すでに外へ逃げてしまった個体は諦めるとして、手の届く場所にいるレッドリザードマンには容赦しない。
ワンキル判定を狙うこともできるが、レッドドラゴンを倒したことでレベルが一気に上がっている。
ちゃんとステータスを確認できていないが、今の状態であればワンキル判定を狙うよりも素直に連撃を繰り出して倒した方が手間が掛からなくなっていた。
フィーに至っては細かく狙うことができないのか、魔法を片っ端からぶっ放している。
一撃では倒せないものの、二度、三度と魔法をぶつけることで十分に倒せているので遠くの個体は任せることにした。
こうしてレッドリザードマンも掃討したところで、俺はステータスを確認した。
「おっ! レベル35に上がっている! フィーもレベル20じゃないか!」
「フィーも強くなったのー!」
「二人とも、すごいのにゃー!」
ニャーチとも合流した俺は、次にレッドドラゴンからドロップしたアイテムを確認する。
「どれどれ? ……素材アイテムが各種と……おっ! 伝承級装備が出てるじゃないか!」
とはいえ、こいつは俺が装備することはできない。
「両手持ちの戦斧かぁ。……でもまあ、これなら競売でいい値段にはなりそうか」
【爆炎の戦斧(伝承級):筋力+20、体力+20】
【アクティブスキル:爆炎 3/3(穂先が地面に触れると、前方3メートルの範囲で扇状の爆炎を発生させて攻撃する。3回分のストックあり、3時間でストックが1回復する】
魔法が使えない職業の中堅ユーザーなら、喉から手が出るほど手に入れたいスキルのはずだ。
ステータスの補正値も高いし、いい値段で売れれば動画の広告収入と合わせて借金は一ヶ月で返済できるかもしれない。
「……な、なんとか生きていけそうだな。よかったああぁぁ~!」
「ご主人様、どうしたのにゃ?」
「どうしたのー?」
俺が膝を折って大きく息を吐き出すと、ニャーチとフィーが心配そうに顔を覗き込んできた。
「なんでもないよ。うっし! 気合いを入れ直してから、ガルフに戻るとするか!」
「わかったにゃ!」
「はいなのー!」
レッドドラゴンを討伐し、しっかりとドロップアイテムも獲得した俺たちは、洞窟をあとにしてガルフまで戻っていった。
ガルフに到着するや否や、俺たちは門番に連れられて村長の屋敷まで案内された。
その間、最初こそ困惑の視線を向けていたNPCたちだったが、今回に関していえば友好的な視線を向けてくれている。
俺がレッドドラゴンを討伐したことが村全体に伝わっているのだろう。
「おぉっ! よくぞ戻ってきてくださった、レヴォ殿!」
「レヴォ……殿?」
急に敬称が変わったことで困惑したが、まあ村の危機を救ったのだから呼び捨てにはできないよな。
「あなた様は儂らが村を守ってくださった英雄様じゃ! 本当にありがとうございますじゃ!」
「いえいえ。俺たちもレベル上げになったわけだし、お互い様ですよ」
「おぉっ、そう言っていただけると幸いですじゃ。そうそう、これが依頼を達成してくれたお礼の品ですじゃ」
そうして村長から差し出されたのは、宝石が施された真紅の宝箱。
「……おいおい、マジかよ!」
本来の発展クエストであれば、攻略サイトによると希少級、もしくは伝承級のアイテムが手に入ると書かれていた。
だが、目の前の宝箱は間違いなく伝説級の装備が確定した宝箱だった。
「どうぞ、お納めください」
「あ、ありがとうございます!」
村長から真紅の宝箱を受け取った俺は、その場で宝箱を開いた。
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