41.暗殺者のための仮面
【暗黒竜鱗の仮面(伝説級):筋力+15、敏捷+20、知能+10、体力+15、精神力+15 ※職業が暗殺者職のユーザーのみ装備可能】
【アクティブスキル:暗黒竜のオーラ 使用可能(一度使用すると5分間前ステータスが25%上昇する。次の使用まで24時間のインターバルが必要)】
【パッシブスキル:暗殺者の一撃(弱点に命中するとダメージが五倍になる)】
【パッシブスキル:隠蔽(ステータスを隠蔽することができる。隠蔽する範囲は装備者が任意で決められる)】
……おいおい、こいつは規格外過ぎるだろう!
伝説級の装備は能力値補正の最大値が合計で75に設定されているが、暗黒竜鱗の仮面はまさに75まで補正されている。
加えて付属しているスキルが三つもあり、そのうち二つは非常に強力なスキルになっていた。
「暗黒竜のオーラもヤバいが、一番はやっぱり暗殺者の一撃だろう」
双剣の暗殺者になった時に手に入れた暗殺剣だけでも弱点への攻撃が三倍のダメージになっていた。
ワンアースではスキルによるダメージ増加はプラスになっていく。
つまり、暗殺者の一撃を加えた弱点へのダメージは合計で八倍になるということなのだ!
「……現時点で、ゴールドを倒せるんじゃないか?」
……いや、まだダメだ。
ゴールドのレベルはアカウントを奪われた時点で400を超えていた。それはつまり、一〇倍以上のレベル差があるということ。
多少ダメージが多くなったところで、敏捷が高いところで、ゴールドのステータスにはまったく及ばないのだ。
「すー……はー…………よし、落ち着いた」
「どうしましたじゃ? レヴォ殿?」
「いえ、なんでもありません。とても素晴らしい報酬をありがとうございます!」
「おぉ、喜んでもらえてよかったのじゃ。ガルフはいつでもレヴォ殿を歓迎いたします。また足を運んでいただければ幸いじゃ」
最後に村長と握手を交わして、俺は忘れられた村ガルフをあとにした。
村を離れていく時には門番の二人も手を振ってくれており、信頼を勝ち得たのだと改めて実感しながらの帰り道になったのだった。
アカジャ山脈を下山しながら、俺は周囲に誰もいないことを確認すると物陰に隠れた。
「どうしたのにゃ?」
「今のうちに暗黒竜鱗の仮面を装備しようと思ってな。それに……」
今回行われるギルド対抗戦で、俺はゴールドギルドに喧嘩を売りにいく立場だ。
このタイミングでステータスを隠蔽できるスキルを手に入れられたのは本当にありがたかった。
「……よし。どうだ、ニャーチ、フィー?」
「格好いいにゃー!」
「ご主人様、格好いいのー!」
光の飲み込んでいくかのような漆黒の鱗を削り作られた暗黒竜鱗の仮面。
これを装備してステータスを隠蔽すれば、ゴールドギルドのギルドメンバーを攻撃したところで、邪魔者がレヴォというユーザーだとはバレないはずだ。
それに、これから何度も乗っ取り野郎への復讐を果たしていくのだから、身バレだけは絶対に避けなければならない。
「あとは、アリスベルに戻ってギルドの設立。それと競売に爆炎の戦斧を出して借金返済に向けても動き出さないとな」
レッドドラゴンの討伐に、今回も丸一日を要している。
ということは、ギルド対抗イベントまで残り三日になっていた。
「ついにギルドを作るのにゃー!」
「やったなのー!」
「別に楽しいことじゃないぞ? ギルメンを増やすつもりもないしな」
ギルド対抗イベントに参加するためのギルド設立である。
今後、このギルドが活動する時といえば、今回のようにギルド専用のイベントが行われて、それにゴールドギルドが参加する時くらいだろう。
「それでもいいのにゃ!」
「私たちはご主人様についていくのー!」
「そうだな。ありがとう、二人とも」
俺はアカジャ山脈から暗黒竜鱗の仮面をつけたまま、ギルド対抗イベントに参加することにしたのだった。
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