7節 後 二人だけの旅立ち

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 あっという間に俺は色々と着替えさせられ、何時間も馬車に揺られたのち王都セティアに連れてこられた。着くなり大きな城に連れていかれたのだからテレムティアというのはよほどの大事なのだろう。

「よくぞ参られた。ささ、どうぞこちらへ」

 入ってから白髪白髭をカールさせた男が俺を案内する。ほとんどが大理石のような白い石で作られた建物だった。上を見るとステンドガラスのようなものから光が入ってくる。まるで中世フランスの世界にでも巻き込まれたようだった。

 なんだかよくわからんが遠くに来たな。

 そう思うとため息が出た。

「どうされましたかな?」

 男は聞いてくる。

「いえ、なにも」

 言葉を返すしかできなかった。

 ようやく生き方を模索できたと思ったらいきなりそれを奪われた。この時ばかりは自分の運命というものを呪った。どうしてあの時死なせてもらえなかったのか。あの時死んでいればここでこんなに気苦労を重ねる事もなかっただろうに。

 もし死なせてくれないにしても、なんであの老婆たちのところで生を全うさせてもらなえなかったのか。あそこの爺婆と生活を共にし、気付いたときにはみんなと一緒に土に還っているような、原始的な生活に。

 もうそれでよかったじゃないか。それで何がいけないのだ。

 もう生きる事に疲れたのに、なんでまだ生きなければならない。

 生きる事が嫌になったから自殺を選んだっていうのに。

「……いかがされましたかな?」

 男はまた聞き返してくる。

 俺は黙って首を横に振った。


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「それにしてもロン」

「なんですか」

「やっぱり重いわ。休憩、もう一度どっかで入れてくれ」

 その言葉にロンは子供のようにけたけた笑った。

「構いませんよ。ただし山のふもとに小さな村があるのでそこまでは歩いてもらいますよ」

 そう言って山を見るが、とてもじゃないが近いものじゃない。

「うへえ。数時間は歩かなきゃならんな」

「ははは。ファイトですよマコト」

 従者に呼び捨てにされながら汗流しつつ歩く。決して気分悪くはなかった。

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