第6話

 コンテナの中で体当たりを続けていたジャンボは、ついに外の鍵を開けられて、扉が開くのを見た。

しかし、次の瞬間には怒声と暴力だ。



「大人しくしてろ!」



 ジャンボを中へ蹴り飛ばそうと、コンテナ船の見張りは足を上げた。

たったのその一瞬。

ジャンボは逆に体当たりをして、バランスを崩した見張りとともに倒れ込む。

腕の拘束は解けていない。

それにもう1人の見張りが油断したのもつかの間、ジャンボは体の反動だけで立ち上がり、思い切り見張りを蹴飛ばして、積み重なったコンテナから突き落とした。


 かなりの高さだ。

落ちていった仲間のことを想像したのだろうか。

怯んだもう1人の見張りにも、ジャンボは容赦なく蹴りを放った。

また一人、悲鳴とともに落ちていく。

すぐにほかの手下が集まってくるだろう。

ジャンボは、なんとか段差をつたって、地面へと着地する。


 そして血溜まりに倒れた見張りの持ち物を足で探り、ようやくナイフを見つけた。

これで拘束が解ける。ただそのことにジャンボは安堵していた。

血溜まりを作った二人の見張りが息絶えていることなど、露ほども気に止めていなかった。


 ロープがはらりと落ちる。

ジャンボの目には表情もなく、背後の影に取り憑かれ、鈍く底光りしていた。

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