第4話

「ハッタリだけでもいいんだけどねぇ」



 狐面の偉そうな男は、手下の前で笑っていた。



「飴売りがやられたって?」

「ええ、子供二人に気絶させられるとは……」

「アイツはもともとやる気が欠けてるから」



 ため息をつき、いかにも困ったという声を出し、偉そうな男は指示を出す。



「ま、駒は多い方がいい。家まで行ってきてくれよ」

「ええ……では」



 いかつい体に狐面をつけて、手下たちは四合院へと向かう。

ジャンボはあのまま車で運ばれ、貨物船のコンテナ内に転がっていた。

意識はあるが、話が通じてるか分からない狐面の集団に怒鳴ったせいで、手荒な扱いを受けたのだ。

こんなことで諦めるジャンボではない。

けれど、打開策は中々見つからなかった。

この船のどこかにチョコとバニラもいるのだろうか。


 ジャンボはなんとか立ち上がり、コンテナの扉に体当たりした。

ガシャンと大きな音で揺れるが、外からかけられた鍵は開かない。

それでもジャンボは体当たりをやめなかった。

こんなとこで、あんなくだらない奴のせいで、二人の未来を奪われてたまるか。

怒りとともにコンテナは揺れる。

見張りが気がつくまでに、ジャンボの腕はアザだらけになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る