第66話 キロナイドの魔力

#スタートレック #プラトン人 #キロナイト #エンタープライズ #カーク船長


主人公 カーク船長  脇役 アレキサンダー

 

印象に残ったセリフ

カーク船長「アレキサンダー。ほかにきみのようなプラトン人は?」

アレキサンダー「あたしのような、とは……?」

カーク船長「精神操作力を持たないものだ」

アレキサンダー「わたくしは、この身体のことかと思いました。みんな、いつもこのことをからかうので。今のご質問ですが、持たないのはわたしだけです。道化として特別つれてこられ、使い走りから遊びの相手まで、毎日こき使われています」

スポック「どうやってあの力を身につけるんだ」

アレキサンダー「それは、ひとりでつくみたいですね。生まれてからしばらくして。わたしは出来損ないのままっこ、あなたがたもですね。いやどうも、失礼なこと言っちゃって」

カーク船長「(わらって)いや、構わんよ。なくて幸いさ」

アレキサンダー「ほ、本気でそう思ってるんですね! あなたがたどっから来たんです。そこにはあの力のない人はたくさんいますか。あたしのような小人も」

カーク船長「アレキサンダー。我々の世界では、身体の形や肌の色で差別されない。だれも力など持っていない」

アレキサンダー「ひとりも?」

カーク船長(うなずく)



ストーリー

救難信号を受け、ある惑星に赴いたカークたちはそこで驚異的な超能力を持つプラトン人に遭遇する。プラトン人の王ベルマンの病気を治療したマッコイだったが、そのためベルマンはマッコイを手放そうとせず返そうとしない。しかもエンタープライズ号乗組員を皆殺しにしようと謀り……。



感想(ネタバレ注意) 

自分を否定し、屈辱を当然のことと受け容れていた人が

たちあがって戦う話です。

つまり、いじめられっ子が、いじめっ子に復讐する話。

アレキサンダーのみじめさに、わたしは共感しましたし、

心のなかで涙が出て来ました。


アレキサンダーは、いわゆるドワーフ症候群で

おとなになっても背丈が伸びない病気の人です。

その病気のせいなのか、

同じプラトン人でも、この人だけパワーがない。


だから、人からいじめられて、しいたげられていました。

カーク船長が、自分のことをカーク自身よりも心配してくれているのを知って、

協力するようになります。

ところが……というところが、このエピソードのおもしろさです。


このエピソードの見どころは、

プラトンのユートピアを実現した、と標榜する王によって

カークとスポックが思うさま、操られるところでしょう。


カークとスポックがならんでおどけたダンスをするかと思うと、

仰向けに倒れたカークのまわりを

タップダンスするスポック。


そして、感情をあらわにし、

笑い転げたり、慟哭することになるスポック。

ヴァルカン人としてものすごく

屈辱的だろう。

このプラトン人たちに

烈しい憎しみを感じました。


ふたりがもてあそばれ、自由にならないからだを

よじらせたり、心にもない王への忠誠を誓わされたりしているのを

アレキサンダーは、見ていられないのです。


それにしても、ウラやクリスティンまで呼び寄せちゃって。

いたぶるのもいいかげんにしてほしい。

用意されたベッドに横たわるウラとクリスティンに

恋歌を歌うスポック……

うた、じょうずね。(レナード・ニモイは、ブロードウェイミュージカルにも

出たことがある)。


意外なところでスポックの特技を知りましたが、

この屈辱に怒りを感じつつも、

プラトン人を罰しないカーク船長はえらい。

効果的な罰し方を知っているからですね。


最後に見せた、アレキサンダーの嬉しそうな顔がすてきすぎて、

わたしは胸が熱くなりました。

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