第29話 危険な過去への旅

#スタートレック/宇宙大作戦 #マッコイ #時間旅行 #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 エディス・キーラー


印象に残ったセリフ


カーク船長「ふしぎな誘惑を感じる。一歩踏み込めば、自分が過去の世界へ行ってしまうんだ」


ストーリー


エンタープライズは、何百万キロ彼方の宇宙から、時間に歪みを与える障害波が出ているのをキャッチし、その原因調査に急行する。一方、劇薬コルドラジンを、誤って自分に注射してしまドクターは発狂し、カークたちが自分を殺そうとしていると思い込み、惑星上に逃げてしまう。カークたちは至急ドクターを追って問題の惑星に降りるが……




感想(ネタバレ注意) 


 エディス「なぜならば生きていなければ、やがて来る素晴らしい未来を見られません」

未来が予知できるエディス。しかし彼女の平和運動により、ナチスが勝利した暗い未来が待っている――。

彼女が死なねば、死ななくて済む何百万の命は助からない。

カークの取った行動は……



この話は、ネビュラ賞をもらった作品ですが、わたしとしては色んな意味で考えさせられてしまう作品です。


ひとつには、タイム・トラベルものとしてかなり説得力のあるエピソードで、時間旅行ものが好きなわたしのSFマインドを直撃しているという点です。

もし、過去に戻れたら――そして修正された過去が、もし未来をねじ曲げていたら。

そのために人は、どう行動するべきか。

時間旅行ものの真髄ですね。



しかし一方で、わたしは思うんです。

大きな犠牲のためには、小さな犠牲はやむをえない、それはかなり政治的な考え方だなと。

そんなことを言い出して、原爆投下を正当化しているアメリカ軍人のことを、考えたからです。


日本が抵抗を続けていたから、原爆を投下してやったんだ。

だからお互いに犠牲が小さかっただろ、という論説。

ほんとはソ連の侵攻を見て、早くカタをつけたかっただけ。



小さな犠牲――それは、なにを基準にしているのでしょうか。

カーク船長はエディスを愛していたけれど、よりよい未来のためにとエディスを見殺しにした。

しかしスタトレの未来は、決してよい未来とは言えない。

だって、クリンゴンやロミュランみたいな連中と仲良く出来てないもんね。



人類が団結するという夢が現実になったスタトレ世界。

いかなる思想のもとに、団結するのか。

敵を必要とする自由って、なんでしょうか。



素晴らしい未来を描くには、世界は大人になりすぎました。

だけどそれでも、未来は明るいとわたしは信じたい。

だってわたしたちは、生きているのだから。

生きていなければ、よりよい未来を見られない。


わたしは明日を信じてる。

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