第9章 大航空時代前夜編

#126 帰ってからが忙しい

 はためく帆布の音が響く。風を受けて満帆の状態となり船は力強く前進していた。一〇隻はくだらないであろう、大船団である。

 眼下には鬱蒼と生い茂った木々の絨毯が広がっている。船――飛空船レビテートシップは空に浮かび、空を進む。

 進路を遮るものはなにもない。船団は順調に航空を続け、やがて森が終わる場所まで辿り着いた――。



 フレメヴィーラ王国、学園都市ライヒアラの一角にて。騒々しくはためく帆布の唸りを耳にして、学生たちが空を見上げていた。


「おう? 飛空船か。今日は定期便の日……でもないな。しかもなんか、やたら数が多いぞ」


 空を進む巨大な船の影を目にして、彼らは首をかしげていた。

 飛空船が上空を横切る、それ自体は珍しいことではない。飛空船がこの国にもたらされてよりそれなりに時はたち、驚きを抱かなくなる程度には慣れているからだ。

 しかしそれも空を覆わんばかりの大船団であるとなれば、話は別だった。


 普段目にする飛空船は定期便と呼ばれる、物資輸送のための船である。それですら二隻以上で進むことは珍しい。そもそも飛空船は未だ貴重な存在であり、船団を組めるほどの数があるなど初耳だった。


「おい、見ろよ。あの紋章……!!」


 そのうちに彼らは、中央にあるいっとう巨大な船を指さし始めた。他の船の倍はあるだろう船体に、これまたでかでかと描かれた紋章。翼を広げた銀の鳳の意匠を知らない者は、この街にはいない。


「……銀鳳騎士団! 還って、きたんだ!!」


 指をさし声を上げる、街の人間のざわめきを引き連れながら船はゆっくりと中心部へと進んだ。

 その時、船団の中央にある巨大な船から何ものかが飛び出した。おそらくは幻晶騎士シルエットナイトであろう存在。ソレは虹色の円環を生み出すと、光を足場にして空中を滑るように進み出す。


 街の一角を目指して、推進器の音も高らかに進んでゆき。近づくほどに露わとなる幻晶騎士の姿を見て、街の人間から悲鳴が上がった。それは、およそ幻晶騎士という存在定義に喧嘩を売っているかのような奇怪極まりない姿をしていたのだ。


 まるで怒れる人の顔をかたどったかのような、凶悪な面覆い。あちこちから生えた腕は合計で八本もある。半分は幻晶騎士のようであるのに、後ろ半分はまるで魔獣のような形をしていた。


 果たして本当に幻晶騎士なのであろうか、住人たちは確信を持てないままでいる。そんなものが、街のど真ん中に降り立ってきたのだ。住人たちは半ば混乱状態に陥り、口々に悲鳴を上げて建物の中へと逃げ去っていった。


 そんな騒ぎに逆らうように外に出てきた人影がある。

 セレスティナ・エチェバルリアが通りに出ると、彼女の下を目指すようにして異形の幻晶騎士が近づいてきた。

 虹色の足場は徐々に半径を狭め、それと共に機体はゆっくりと降下してくる。住宅街にある小さな広場に、無理矢理に巨体が降り立った。

 吸排気音が収まってゆき、虹色の円環は消滅する。長く伸びた腕を足のように地面につけ、異形の幻晶騎士は動きを止めた。


 祈るように手を組み見上げるセレスティナの前へと、小さな人影が飛び降りてくる。彼は石畳へと軽やかに着地すると、彼女に向かってぱたぱたと手を振った。


母様かあさま! ご無沙汰しています、ただいま帰りました!!」

「ああ……エル。お帰りなさい」


 銀鳳騎士団による第二次森伐遠征軍先遣調査。そのさなかに強力な魔獣と戦い行方不明となったはずの息子、エルネスティの無事な姿を見て。セレスティナは心底から安堵の吐息をついたのであった。

 送り出したときとまったく変わりなく元気なエルを、ふんわりと抱きしめる。


「本当に無事で良かった……。ボキューズで行方不明になったと聞いて、心配したわ」

「ごめんなさい、母様。少し無茶をしすぎました」

「いいえ、皆を護ったのよね? エルは騎士団長だもの、良く務めを果たしたのよ。それにこうして無事に帰ってきてくれたのだもの。それで十分よ」


 エルの髪をそっとなでて、セレスティナはふんわりと微笑む。彼もまた嬉しそうに微笑み返すと、それから背後に向かって指さした。


「銀鳳騎士団の皆が迎えに来てくれたのです。それに、帰ってきたのは僕だけではないですよ。ね?」


 マガツイカルガの操縦席から顔をだして、アデルトルートが手を振っている。セレスティナは微笑み、手を振り返した。

 そうしていると、エルが腕の中から離れる。


「母様。皆ともゆっくりと話したいのですが、僕にはやらねばならないことがあります」

「わかっているわ、陛下にご報告するのね? いってらっしゃい。騎士団長として、あなたの役目をしっかりと果たしてくるのですよ」

「はい!」


 エルは勢いよく頷くと、手を振りながらマガツイカルガへと戻っていった。

 再び空へと浮かび上がってゆく凶悪な幻晶騎士を見送りながら、セレスティナは心底から胸をなで下ろしたのであった。




 ――その日は、王都カンカネンにとって激動の一日となった。


「火急! 火急ー!! ぎ、銀鳳騎士団が……帰還いたしましたぁ!!」


 伝令兵が大慌てで駆け込んできたのを皮切りに、王城シュレベール城は大騒ぎに包まれる。

 国王リオタムスはすぐさま、その日の公務を全て中止することを決めてから、伝令へと問いただした。


「して、戻ってきたのは銀鳳騎士団だけなのか。飛空船はどれほど残っている?」

「はっ! 見たところ船団には相当数の船が残っております。それと、船より騎士団長閣下が降りられ、そろそろこちらへ……」

「なに、騎士団長だと!?」


 リオタムスをはじめとして、その場にいる全員が息をのんだ。銀鳳騎士団騎士団長がいる、それはつまり――。

 そうしてざわめき収まらぬ場に、主原因が現れる。

 エルネスティ・エチェバルリアは居並ぶ国王や貴族、騎士たちを前にしてゆっくりと一礼した。


「陛下におかれましては、大変にご心労をおかけいたしました。銀鳳騎士団団長エルネスティ・エチェバルリア、ここに戻りましてございます」

「お、おお。……まずは無事であることを喜ぼう。かのボキューズ大森海の奥より帰還するとは、さすがは銀鳳騎士団である……」


 堂々と現れた小さな騎士団長、エルの姿を目にして知らず吐息を漏らす。

 彼ならば生きていてもおかしくはない、とは思っていたものの。いざ本当に帰ってきたとなれば驚愕が心中にあふれかえるのを抑えきれない。


 ボキューズ大森海とは魔獣に溢れた場所。決して容易く生き抜ける場所ではないはずだ。その上報告で聞いていた範囲では、エルたちが出会った魔獣というのはフレメヴィーラ王国でも覚えがないほど強力凶悪な存在であった。まるでいつも通り、にこやかに帰ってきていい状況ではない。

 銀の鳳はまさしく不死身の存在であった。


「お前には度々驚かされてきたことだ。もはや不可能という言葉はないのかもしれんな」

「そのようなことはございません。今回の遠征でも非常に多くの方々の助けを得て、ようやく帰り着けた次第です」

「うむ、銀鳳騎士団であるな。少々無謀ではあったが……あれらはお前の無事を確信して森へ向かったのだ。まったく、素晴らしい信頼であることだな」


 出がけの啖呵を思い出し、リオタムスはほろ苦い笑みを浮かべた。

 エルネスティとともに無事に帰還するという大業を成し遂げはすれど、相応の対価を支払ってもらわねばなるまい。

 さてここからどうするかと、物思いに沈みかけた時のことである。


「それに関係することなのですが。是非、陛下にお目通りをいただきたい者たちがおります」

「む。騎士団の者たちか? その話は後でゆっくりと……」

「いいえ、陛下。畏れながら騎士団員“だけ”ではありません」


 ふと、エルの笑みに恐ろしいものが混ざる。

 魔の森に向かって、銀鳳騎士団以外の何ものの手を借りるというのか。これ以上を聞いてしまったらもう引き返せなくなるような、そんな言い知れぬ不穏な気配が漂ってくる。

 思わず、リオタムスは制止の言葉を告げようとして。無情にもエルは言葉を続けていた。


「お目通りをいただきたいのは……ボキューズ大森海の住人たち。銀鳳騎士団ではありません、旅の途中で友誼を結んだ者たちにございます」


 国王のみならず騎士から侍従の一人に至るまで、全員が己の耳と正気を疑ったのだった。




「なん……だ。この者たちは!?」


 場所は変わって、カンカネン郊外にある幻晶騎士のための訓練場。

 国王リオタムスと近衛騎士団は、不穏極まりないエルの言葉に導かれてここまでやってきた。


 訓練場の上空には旗艦イズモをはじめ、飛空船団がずらりとそろっている。ここは広さがあるので、船の荷下ろしをやっているようだった。


 そのなかに、飛空船より降り立った“客人”たちの姿もあった。

 いや、ソレらを客人などと表現してよいものか。客人を下ろすのにこのような広い場所が必要であったのは、ソレらがひどく“巨大”であったからだ。

 国王たちは高台に作られているはずの観覧席にいるというのに、ソレらと目が合う。何しろそこにいたのは――幻晶騎士とほぼ同等の背丈を持つ、巨大な人であったのだから。


 “巨人族アストラガリ”。エルネスティは、彼らをそう紹介した。

 国王も、騎士たちも、そろって口を開いたままの間抜けな表情を見せている。巨大な人、それは幻晶騎士に似た部分もありながら、まったく異質な存在であった。

 まずそれが機械仕掛けではないことは一目でわかる。まばたきをし、顔の表情を動かし、口を開いて喋る幻晶騎士などこの世に存在しないのだから。


「巨……人!? ボキューズ大森海には、このような者たちが、いたというのか……っ!?」


 国王リオタムスは、己のうちから湧き起こってくる感情を抑えるのに必死であった。

 決闘級魔獣のようでいて、決定的に違う巨大な人という存在。巨人は首を巡らし、しかも三つや五つ、多数の眼を動かして彼らを見つめる。


 驚きと緊張、恐怖を混ぜて立ちすくむ国王たちを尻目に、エルはごく平然と巨人と向かい合った。


「皆さん! こちらにあらせられるのが僕たちの氏族……これを国といいますが、国の長であるリオタムス陛下です」

「うむ。なるほどここには“小人族ヒューマン”が多くあるのだな」


 エルが紹介すると、巨人たちは身を乗り出してリオタムスたちを見つめてくる。彼は悲鳴を上げずにいるだけで精一杯であった。

 そんな国王たちの様子もいざ知らず、巨人たちは好き勝手に話し出す。


「ここが師匠マギステルたちの国か。船の進みから見るに相当に広いのだな」

「ふうむ、これはなんだ? 小人族の住処と聞いていたが、なかなかの広さがある」

「ちょうどよい、我らの住処を作るか」

「それは良いな! ならば狩りに向かい、今日の糧を得るとしよう」

「虹の勇者よ。このあたりに獲物のある森はあるか?」

「ありますが、勝手に狩りにいってはだめですよ」

「そうなのか……」


 巨人たちは巨人たちで、初めて見たフレメヴィーラ王国の様子に興奮していた。口々に感想をいいあい騒ぐ様は、ただのお上りさんである。


 そうしている間に、ようやく国王たちも落ち着きを取り戻していた。引きつった表情は隠しきれないものの、勢いこんでエルに詰め寄る。


「……え、エルネスティよ! これはいったいどうしたことだ!? 巨人だと!? 何を持ち帰ってくるのだ!?」

「はい。説明をすると大変に長くなってしまうのですが」

「手短にせよ!」

「森で出会って仲良くなりました」

「わからぬ!」


 エルはいつも通りにこやかに答えているが、どう考えても内容が穏やかではない。誰もつっこみ役がいないために、場はひたすらに混沌の度合いを深めてゆく。


「それと陛下。もうひとつお伝えしておかねばならないことがあります。これはある意味で、巨人よりも重大なことかもしれません」

「ま、まだあるというのか……」


 巨人との遭遇だけで精神力の尽きたリオタムスは、疲労困憊といった様子で顔を上げる。


「森で出会い戦ったのは巨人だけではありません。第一次森伐遠征軍の生き残りが国を作っておりまして。そして魔獣を操って襲いかかってきたので倒してきました」


 次の言葉を聞いた途端、国王は白目を剥いてすっ倒れた。




 後日。

 あまりにもその場で収拾がつかなかったため、仕切り直しで会合が開かれることになった。


 場所はそのまま、カンカネン郊外の訓練場である。幻晶騎士を動かすための場所だけあって広さに余裕があるし、ここならば巨人の存在についても露見しない。

 そう、彼らの存在は未だ秘匿されたままであった。


「くくく……ふは、ふっはっはっはっはっは!! またこれは、とてつもない土産を持って帰るものだなエルネスティ!! いや痛快であることよ! ハハハハ!」

「父上、何一つとして笑い事ではありませぬ……」


 先王アンブロシウスは呵々大笑し、隣のリオタムスを呆れさせる。

 先王の大笑いを見つめて、小魔導師パールヴァ・マーガが首をかしげた。それを見たアンブロシウスがさらに大笑いをあげる。よほどつぼに入ったようだった。


「……フフ、ふう。うむ、まぁなんだ。ボキューズの森は魔獣によって支配された地、しかし奥にあるは獣ばかりではないと。よもや巨人などというものがおろうとは、まったく世界は驚きに満ちているな。これはうかうかと隠居などしておれぬものよ」


 国王リオタムスはもはや一人では太刀打ちできぬと考えて先王に助けを求めたのだったが。若干、その判断を後悔しつつあった。

 さておき。


 国王と先王を前にして、エルネスティは再び森で起こった出来事を詳しく説明してゆく。

 ――飛空船団を逃がした後、森に取り残されたこと。そこで巨人族の一氏族であるカエルレウス氏族と出会い、戦い、ともに過ごしたこと。

 巨人族に起こった大規模な戦い、賢人の問いの様子と小鬼族ゴブリンの関わりについて――。


 全てが明らかになる頃には、リオタムスの額にはっきりと疲労のしわが刻まれていたのだった。


「……森に取り残されたお前を見つけ出すのは、至難であろうと考えていた。しかしそれは大きな間違いであったようだ。それ以上に、お前は大人しくしておれんのか」

「森からの脱出を願い、方策を探したゆえのことです。大人しくしていては生き残ることすら困難でした」

「だからといって、一気にことを起こしすぎだ……!」


 しれっと言ってのけるエルに、リオタムスはもはや隠しもせずに特大のため息を漏らす。


「くくく、リオタムスよ。何しろこのやんちゃ坊主を森に向かわせたのだ、相応のことをしでかして当然であろう」

「父上……そういう問題では。ともかくだ! 我らは、これからのことを十分に考えねばならぬ」


 リオタムスはようやく落ち着きと威厳を取り戻し、周りを見回した。


「巨人も実に大きな問題であるが……なにより、森伐遠征軍だ。よもや生き残りがいたとはな」

「あれが興り、滅んだが故に我が国は生まれた。誰もが歴史であると思っておったのだ」


 アンブロシウスもまた考え込む。

 異種族である巨人族との遭遇は一大事ではあれども、全てはこれから――未来の話である。しかし森伐遠征軍は、様々な過去を含んでいる。それはフレメヴィーラという国にとって無視しえないものであった。


「彼の地の人々は小鬼族ゴブリンと呼ばれ、自らの由来を知りませんでした。全てを知っていたのは、あの地で小王オベロンを名乗っていたエルフの王と、貴族階級にあった者たちだけです」


 リオタムスは腕を組んで考える。


「してもエルフであるか。なぜそのようなものが遠征軍に含まれていたのか。第一次遠征についてはもはや、記録にも多くは残っておらぬ。建国当時は大きな混乱の中にあったゆえな」


 生き残りがいたとはいえ、彼らは分断された存在である。フレメヴィーラ王国から見れば、森伐遠征軍が壊滅したという認識にさほどの変わりはない。


「その、“魔王”……であったか。中枢に入っていたエルフたちを連れ戻ったと。ならばいずれ里に向かい、大老エルダーと話をせねばならんな。あれならば当時を直接知っておるやもしれん」


 エルフ族の寿命を考えればあり得ないことではない。大老キトリーは少なくとも、建国の当時から生きていることは確かであるのだ。


「それで、森に残った者たちの国というのは、どのようになっておる?」

「はい。今のところは国というほどの規模はなく。巨人族と小人族が共に暮らす街ができています。ですが小人族の勢力は弱いもの、また指導者を失った直後でもあり、いつまで安定しているかは」

「難しいところであろうな。何しろ相手は決闘級の巨人である」


 言葉は通じ、共にいることもできる。だが巨人は人間とは根本から異なる存在なのだ。それを併せて暮らすのがいかに困難なことか想像に難くない。


「それに、お前が連れ帰ってきた“客”のこともある」

「ふむ、エルネスティよ。あの大きな客人たちは我が国までやってきて、いったいなにを望んでいるのだ」


 アンブロシウスの問いかけに、エルは少し考えて。


「元々は僕たち銀鳳騎士団の活躍を見て、小人族自体に興味を抱いたということです。そこで僕たちが帰る先にある小人族の国、フレメヴィーラ王国を見ておかねばならないと思ったと」

「ならばあれらも我々に脅威を見ておるということか」

「御意。であれば、どれほどの勢力があるかを知らしめておいた方が良いでしょう」

「ふうむ」


 巨人たちが暴れ出した場合に備えて、訓練場には近衛騎士団のカルディトーレが並べられている。巨人たちは幻晶騎士の部隊というものに興味を引かれるらしく、しきりに「ひとつ百眼に問うてはみないか」と誘っていたが、騎士たちには意味がわからないので放っておかれていた。

 ちなみに、奥の船にマガツイカルガとアディが待機しているのでいざとなればすぐに鎮圧が可能である。


 リオタムスは訓練場で思い思いに過ごす巨人たちを見回す。


「客人の扱いをどうするか。それは今後の我が国が向かう先にも関わってくるだろう。一朝一夕で決められることではない。ならばエルネスティよ。その間、お前が責任をもって客人をもてなすのだ。というか、お前たち以外に相手をできるものがおらん」

「確かに。承知いたしました」


 人目につかないよう振る舞う必要はあるが、エルには考えがあった。おそらくは銀鳳騎士団に、不格好な幻晶騎士が増えることになるだろう。

 あっさりと頷いた彼に、リオタムスはすっかりと疲れてしまった様子で首を振っている。


「最後に、もうひとつ重要な話がある」


 リオタムスは気を取り直し、表情を引き締めるとエルを見つめる。言い出すまでに、わずかな躊躇いを挟んでから。


「お前と……銀鳳騎士団の、今後についてだ」


 その言葉を聞いたエルは、頷いて姿勢を正したのだった。

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