シーン(6-2)

【サンタになる!】

レイチェルとジョージは一晩だけ遊ぶ。

そのうち、ジョージはレイチェルに心を開き、悩みを語る


◯(レイチェルの回想)ジョージの部屋(リビング)(夜・くもり)


BGM 大人びた子供のような曲(ピアノ)


レイチェル[あたしとジョージは一晩中遊んだ]

レイチェル[正確にはジョージが眠るまでだけど……]


レイチェル「またまた勝利! お姉さんの勝ち!」

ジョージ「……負けてばっかりでごめんなさい……!」

レイチェル「え、なんで謝るの?」

ジョージ「だって、つまんないでしょ……? ぼくが弱くって、それで……」

ジョージ「何もできないから……。ごめんなさい」

レイチェル「ジョージが何もできないのってあたしの人生に何の関係があるの?」

レイチェル「あたし、知らない」

レイチェル「別の遊びしようよ。負けてばっかもつまんないでしょ」

ジョージ「うん、いいよ」

ジョージ「……お姉さん、ぬいぐるみで遊ぶのって嫌い?」

レイチェル「ぬいぐるみ、好きなの?」

ジョージ「男の子らしくないって言われるんだけど……」

レイチェル「いいじゃん、ぬいぐるみ。好きなら好きでいいと思うよ」

ジョージ「ぼく、可愛いのが好きなんだ」

ジョージ「男の子が好きなんじゃなくて……」

ジョージ「それで、その、えっと…………」

レイチェル「可愛いのが好きなんでしょ。だったらそれでいいじゃん」

レイチェル「そうだ! 可愛いのが好きだったら……」


レイチェルがジョージの部屋にあったテディベアにリボンを結ぶ


レイチェル「あたし、不器用だからこういうのしかできないんだけど……」

レイチェル「それにリボンはラッピング用のリボンの余りだし」

レイチェル「大事なぬいぐるみにこんなことしてごめんね?」

レイチェル「あ、嫌だったら外すから!」

ジョージ「ううん、これでいい。これがいい」

ジョージ「お姉さんがくれた、世界で一つのプレゼントだもん」

ジョージ「これがいい」

レイチェル「お姉さんはサンタさんとしては見習いだけど、それでもいいの?」

ジョージ「サンタさんじゃなくって、お姉さんがくれたから」

ジョージ「大人になったら、ぼくもお姉さんみたいなサンタさんになりたい!」

ジョージ「それでいろんな子たちを幸せにするんだ」

レイチェル「――たぶん、無理だと思うよ」

ジョージ「なんで?」

レイチェル「お姉さんはサンタさんになれない」

レイチェル「女の人がサンタさんになるのは難しいって言われててね」

レイチェル「だから――」

ジョージ「お姉さんだったらなれるよ! 絶対!」

レイチェル「そう?」

ジョージ「うん、絶対。お姉さんはサンタさんになれる!」


レイチェル[こどもが言った叶うはずもない絵空事]

レイチェル[でも、それであたしはサンタサービスに就職することに決めたんだ]

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