第2話 森カレー
「そもそも、ウチの団で『夜食はカレー』になったのは、何がキッカケだっけ?」
回復士のモリーの問いに、僕は弓の機嫌を確かめ終えて答えた。
「野営で『香りの強い物は厳禁』って言われることが多いけど、リーダーが…」
『刺激玉ってあるだろ?食事の香りで魔物も寄って来ないんじゃないか?』
リーダーの
「減った訳でもないんじゃない、かな?」
「それでもミリーはカレーを作ってくれる!」
乱入者のリーダーは肉だけで良いという食事、野菜中心の僕に少食なモリー。
食事を担当してくれるミリーも大変だっただろうに。けど、「カレーでひとまとめって、結構楽。」と言ってくれている。
今日のカレーライスは肉だ。お願いしたのはリーダーのみ。
食材は豊富でツマミも多く持っているけど、流石に酒は飲めない。だから食事も楽しみの一つ。
この男は肉で生きている。
朝、昼は携帯食で夕食と夜食。
カレーが作られるようになって夕食は食べているが、夜食をしっかり食べるようになった。
「その分リーダーには動いてもらおうね!」
「今日の成果、肉分は働いているから食べる権利あるな。」
ミリーも僕も見るだけでご馳走様なカレーが出来上がった。味見に少し食べると香辛料が効いている。
「私は重いのでちょっと」
モリーの胃袋は、夜食を受け付ける量はない。興味はあるようだけど、確かにこの量と脂っこさは、ね。
「野菜カレーでも作ろうか。」
冷え込んできた夜に、ホットミルクと蜂蜜だけでは寂しい。
僕が用意したのは、白米とは違った輝きの“ライスがわり”に。具も溶けてしまったルーをかける。
「お米じゃないの?」
「カロフラワー。野菜だよ。」
「エルフ風なのね。」
「森の恵みと妖精の蜜カレー」
「肉男には物足りないのわね。」
「いや、俺も食べてみたい!」
味見用に食べさせてみる。
「エルフの恵み、具のなくなったカレー。」
リーダーはそれに、卵にチーズ。肉まで焼いて乗せて。全部、食べていた。
「未だに育ってるのかしら?」
「胃袋がマジックバックなのかもね。」
ミリーには野菜のスムージーを飲む。寝る前の美肌効果。
「美肌美容のベジカレー」
「肉も野菜も森盛りカレー」
「もはや、リーダーの案はベジカレーの感じがない。」
「静かな森の優しいカレーではどうでしょう?」
少し話した後、見張り以外は眠った。こんな時間を楽しめるのがウチが良い成果を上げている一因だろうかと思って、寝た。
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