愛ある二刀流の俺。
夕日ゆうや
甘い言葉に酔う俺。
「先輩って二刀流ですよね?」
「なんだ? 急に」
赤ワインを飲み、チョコを食べる。
俺は性的にどっちもいけるって口じゃないぞ。一般的な女の子が好きだ。
「それですよ。酒も甘いものも両方好きなことって、 goo国語辞書にも書いてありました」
びっくりさせるなよ。俺は性的な意味合いと勘違いしたじゃないか。
「ほう。これが二刀流なのか」
ワインとチョコ。
酒と甘いもの。でもワインならチョコも合うと思う。他の人がどうだかは分からないが、俺にはこの組み合わせが最高だと思う。
「しかし、後輩くんはあまり飲まんな」
「俺、甘党でして、あまり酒の方は……」
「そうか。なら今度から甘いもの巡りでもしようか?」
「はい。ありがとうございます!」
敬礼をして見せる後輩くん。
なんだかんだ言ってこの後輩くんとは懇意にさせてもらっている。
どこか抜けた彼女は可愛らしく、お酒に弱い。普段はキリッとした表情を見せているが、俺と二人でいるときは柔らかく女の子らしい顔を見せる。
可愛いな、と思うのは俺だけかもしれない。
だが、それでいい。俺にだけ見せる顔。それがたまらなく嬉しい。
次の日。
彼女が好きというスイーツのお店にきていた。
「助かるよ。男の俺ひとりだと、入りづらくてな」
「あー。私のことをいいように使ったってことですか!?」
「いや、そういう意味じゃない」
慌てて否定し、後輩くんと一緒にこれて嬉しいことを告げる。
しかし、まあ。最近のサツマイモのモンブランなど、果たしておいしいのか。
サツマイモは石焼き芋にするのが通例だった俺にとっては珍しいのだ。
どかっと大きな皿にのったサツマイモのモンブラン。モンブランの中身は、スポンジ、マロンクリーム、メレンゲ、生クリームで、スポンジのしっとりとした食感や、あられ、メレンゲのザクザク食感が、さつまいもペーストの味わいをより引き立ててくれる。
もちろん映えも意識しているのか、後輩くんは食べる前に写真を撮っていた。
食べ終えると、俺は後輩くんを夜景の見える高台に連れて行く。
「
「……」
目を丸くする優。
「ふふ。私はてっきりもう付き合っているかと思いましたよ」
「え? じゃあ!」
「いいですよ。先輩」
甘い言葉に酔い、俺の人生に彩りを与えてくれた。
これが二刀流ってやつか。
愛ある二刀流の俺。 夕日ゆうや @PT03wing
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