第五章『審判』
作戦会議-Final-
それは、僕がまだ幼いときのことだ。
僕は、光魔法を発現したところ、大佐に拾われ、軍に引き取られた。
軍の教育機関で、剣を振って修行する。
「今日も修行か、ルード。いい心がけだ」
「あっ、大佐。今日も稽古つけてくれるんですか」
僕は、定期的に大佐と模擬戦をしていた。
「先に攻撃していいぞ」
「そうですか、では遠慮なく」
木刀を振り、大佐に打ち込むが、ことごとくを拳で弾かれる。
「くっ......!」
そして、大佐は、強く右腕で拳を突き出した。
それを躱して、突き出された右腕を踏んで飛び上がる。
すかさず、左腕の拳で僕を狙い、風を切って打ち込んでくる。
身を翻し、その左腕を蹴って、両足を開いて地面に着地する。
そして、剣を思い切り振って、胴を斬ろうとした。
だが、大佐が右腕の拳を繰り出す方が早かった。
拳は、風を切って僕の胴に直撃した。
「ぐっ......!」
直撃を喰らい、その場に倒れ込む。
「今日はここまでだ。次はもっと強くなれ」
そう言って大佐は去る。
僕は、模擬戦闘で一度も大佐に勝ったことはなかった。
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ー帝都 某所ー
帝都の隅で、ゴミ箱を漁りながら、昔のことを思い出す。
バルタザール大佐。いつか、僕が倒すべき相手だ。
ゴミ箱から、捨てられたパンを取り出し、食す。
人類の敵となった僕が、公に出るのはまずいからな。
だが、栄養を取らないわけにもいかない。
だからこうして、適当にゴミ箱を漁って食事を得ている。
別に味なんてどうでもいい。
そうして、ゴミ箱を漁って歩いていると、誰かにぶつかった。
それは、酔っぱらった男だった。どうやら前が見えていないらしい。
そのまま、その男は僕の横を素通りしようとする。
「痛いな。何するんだよ」
そう言って、男を呼び止める。
「謝罪もできないのか。正しくないな」
「うるせぇ! こっちはな、どっかのガキのせいで、軍をクビになったんだよっ! お前にはわからねえよな。あの、光を出したガキさえいなけりゃ!」
「五月蠅いな、喚き散らすな」
気分を害したので、光を込める。
「塵も残さず消え失せろ」
「うわあああああ!」
光と共に、男は消滅した。
まったく、これだから神に背く愚か者は駄目なんだ。
神の代行者である僕に、まるで礼儀がなってない。
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ー軍本部 作戦会議室ー
そこにいるのは三人。
大佐が、最奥の席で指揮を執る。
「作戦会議を始める前に、一つ。ローゼマリー中佐が戦死した。死因は、ゴルゴーンと交戦時の自爆だろう」
「それで、今回の作戦は」
ブリュンヒルト中佐が言う。
「今回の作戦名を『魔王城最終攻略作戦』とする。作戦場所は、人類の元王城、魔王城。討伐対象は、人類最後の敵、最終討伐目標、呼称『魔王』だ」
大佐が作戦名を言う。
「そして、今回の作戦では、上位個体『悪魔』が出現する可能性が高い。ギレイス攻城戦にて発見されていないことから、今回出てくるだろう、ということだ。また、調査隊が得た情報は、城の位置と、それまでのルートのみだ。数少ない貴重な戦力を失うわけにはいかなかったのでな」
そして、締めに入る。
「今回が最後だ。全戦力を用いて、我らが人類の宿敵を打倒する!」
その一言で、最後の作戦会議は終了した。
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ー魔王城 玉座ー
(宮殿の屋上で、何か光が見えた。無事かな、メルシゲェテ)
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ー帝都 某所ー
(さて、今回が最後の戦いだ。全て、僕が終わらせる)
Next......
Final battle ,attack the demon castle............
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