セルコー討伐戦①

【ブリュンヒルト中佐視点】

「無事か?」


 雪崩に巻き込まれ、人類軍は大きな損害を被った。


「ああ、なんとか」


 何人かが起き上がり、戦闘態勢に入る。


 シュニィドラゴンとかいうやつは、とっくに臨戦態勢だ。


「そうだ、爆弾は無事ですか!?」


「問題ありません」


 あのとき、咄嗟に氷魔法で守った。


 しかし、まだ戦える人数は少ない。

 無事な奴が起き上がって戦闘態勢が整うまでの間、時間を稼がないと。


===========BOSS BATTLE ~Schnee Dragon~ ============



 白き竜はこちらを見つめ、翼を大きく広げた。


 空気が流れる‘‘音‘‘が聞こえる。


 なるほど、突風で攻撃する気かな。


 それなら......


 目を閉じ、想像力を加速させる。


「『愛し狂うは白雪桜(Icicle Brake)』 」


 思った通り、竜は翼を振って風を起こす。


 一面に咲く氷が、狂風を遮った。


 なら、次はこっちが攻撃する......!


 氷を氷柱にして、敵に目掛けて飛ばしてやる。


「『凍て付き穿つは粗目雪(Freeze Burst)』 」


 竜はそれを、体を翻して躱した。


 なかなか器用だね。


 このままだと耐えきれない。

 せめて一発、攻撃を食らわせないと。


 人類の体勢が整うまで、何とか。


 竜は、痺れを切らしたのか、こちらへ突進してきた。


 翼に風を纏っており、周囲に居たらまず死ぬ。


 そんなものが、私に目掛けて飛んできている。


 もう、かなり迫ってきている。


 今更避けても、周囲の風で死ぬ。



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「お姉ちゃん、これ作ったの!」


 花畑の中心で、色鮮やかな冠を被り、楽しそうに微笑む妹の様子を、思い出した。


「へー、すごいね!」


 ー貴方だけは、必ず守るよ。


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 竜は、もう、すぐそこまで来ていた。


 これを喰らえば、確実に死ぬ。


 このまま竜を引き付けて、兵が復活すれば、人類に勝機は生まれる。

 そうなったら、妹は平穏に暮らせるかもしれない。


 ーそうなったらいいな。




 そして、これ以上ないくらい、竜がここまで迫ったのを、しっかりと


 即座に宙を舞って、風の弱い部分を通り抜ける。


「あなたが風を起こしてくれたおかげですよ」


 さっきの突風で目が擦れて、目が潤んだ。

 それがレンズの代わりになって、一時的に目が良くなったのだ。


 竜は、そのまま、勢いを止められず、真っすぐ進んで行った。


「今だ、ぶっ飛ばせ!」


 竜が突っ込んでいったのは、樽型爆弾の山だ。


 そのまま爆発に巻き込まれていく。


 直撃。よしっ!


 でも、流石に四天王といったところで、これでも致命傷には足りないらしい。


 ダメージを負った竜は、一時避難するように、空高く上がった。


 これで人類が立ち直る時間は稼げたんじゃないかな。



「すみません! 少し手間取りました」


 アルフレート少佐が、どこかから来て言う。


「健闘、感謝する」


 バルタザール大佐が後ろから現れて言った。


 ふう、これで体勢は整ったかな。


 それにしても、まさか竜と一騎打ちになるとは思わなかったよ。


 なかなか頑張ったね、私。




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【勇者視点】


 そろそろ頃合いか。


 雪崩に巻き込まれ、動けないふりをして時間を稼いでいたが、多くが立ち上がってきている。


 状況を見ると、主力三人と、多くの兵が竜と交戦していて、ローゼマリー中佐と少数の兵が寄ってくる魔族の牽制をしていた。


 ここは、魔族の牽制に混ざっておくのがやりやすいだろう。


 今回の僕の作戦は終了した。あとは、できるだけ何もせずに見守るだけだ。



「ローゼマリー中佐、加勢します」



「ああ、そっちは任せるぞ!」



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 ーセルコー雪原 魔王城側ー


(人類を始末しろって言われたけど、どうしようかな。やっぱり、外側から攻めるのがいいよね。あそこの、周りの魔族と戦ってる奴らから始末しよっと)





The darkness falls down............

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