ガイネス戦役②

 僕の破壊工作によって前線が混乱に包まれている。


「おい、何の音だ!? 爆発か!?」


「前線中央の一部で事故が起こったようです」


 焦る兵士達。しかし魔族は侵攻を止めはしない。



「被害状況は?」


「約二割です! しかしそこから魔族が入り込んでおり、被害は拡大する一方です」



「中央は一時放棄する! 各員、周辺の魔族の迎撃に当たれ」



「了解、行くぞ!」



 命令に従って中央は放棄され、それぞれ小隊規模に分かれて魔族との交戦を開始した。


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 よし。とりあえず戦線を崩すことには成功した。なら、あとは適当に潜伏するだけだ。


 そして僕は目の前にいた部隊と合流することにした。


 とにかくここからは、できるだけ光魔法を隠しつつ、魔族の攻撃に耐えることになる。そのためにも、僕が今いる部隊にはほどほどに頑張って貰いたい。


 部隊は、周囲に散らばる魔族との交戦を開始した。



 Topic!!: 魔族について

 魔族には種類が三つある。

 歩行型→単純故の物量が厄介だ。うまく位置取って倒せ!

 魔法型→遠距離からの攻撃には注意が必要。できるだけ早く倒したい。

 飛行型→上空からの奇襲は強力だ。炎魔法を活用して倒せ!



「来たぞ、構えろ!」


 まず最初に交戦したのは、魔族歩行型だ。

 数が多く、物量戦では厄介だ。


 その数およそ十数体。


「撃ち込め!」


 部隊から炎魔法が発射される。


 いくつか命中したが、その数はほとんど減らない。


「よし、取り囲め!」


 炎魔法によって誘導された歩行型の群れは、氷の壁の内側に閉じ込められた。


 なるほど、歩行型は地面に体を付けて進むから、滑る氷の壁は乗り越えられない、ということか。よく考えたじゃないか、上出来だ。


 閉じ込められた歩行型の群れは、そのまま成す術なく全滅した。


 よし、とりあえずは初戦を突破した。この調子で、持ち堪えてくれよ。



「上だ!」


 空を向いて一人が叫ぶ。


 次の相手は魔族飛行型か。

 こいつらは空を飛べる、というだけのものだ。


「気をつけろ。防壁を突破してくるぞ」


 こいつらは空中を移動する。つまり、防壁の効果はほぼないわけだ。


「近づけさせるな」


「無理です、止められません!」


 本来、飛行型は翼を使って飛ぶため、風魔法で妨害するのが効果的だが、この部隊に風魔法を使える者はいないらしい。


「仕方ない、一旦引き付ける」


 飛行型が部隊へ突撃を仕掛けてくる。


「止まれ!」


 即座に発動した氷の壁がその攻撃を阻んだ。

 氷の防御が通用する範囲まで引き付けて攻撃するというわけか。だが、それは少し危険じゃないか?


「ぐっ......!」


 思っていた通り、次々に部隊員は負傷していき、人数も減って行った。


 そのとき、僕の背後から迫ってくる影があった。


 咄嗟に躱したが、危うく当たるところだった。


 危ないな。怪我したらどうするんだよ。


 そうして、部隊は多大な犠牲を出しながらも、なんとか飛行型の群れを倒すことに成功した。


 これで一通り片付いたか?



 その途端、部隊を守る氷の壁が遠くから発射された光線によって破壊された。


「何だ!?」


 防壁が破壊されれば無防備な状態になる。

 群れは倒したが、周囲に歩行型はまだ散らばっている。


 今攻撃してきたのは魔族魔法型だろう。あいつらは闇魔法により遠距離から光線を放つ。


 まったく、面倒なことになったな。こう遠くから攻撃されていると、まともに戦えない。僕の力を晒すことだけはしたくないな。


 ー僕の目的の為に、あいつらは邪魔だ。


「このままでは全滅します。あなた方は魔法型までの道の敵を倒して道を開けてください。あいつらは、僕が全て潰します」


 魔法は使わない。手に持つ剣だけで殺す。


「……ああ、わかった。頼んだぞ」


「いくぞ!」


 そう言って、一時的に火力を集中させ、僕の目の前に道が開かれる。


 僕はその道を走って、魔法型の前まで辿り着き、剣を振り抜いた。


「この一振りで十分だ。僕が、どれだけお前らを殺したと思っている」


 一撃で急所を破壊し、魔法型の群れを無力化した。


 近寄れば大したことはないな。手間取らせやがって。


 ふと振り返ると、辺りの魔族はすっかり倒されきっていた。


 来た道を戻ってみると、僕がさっきまでいた部隊の奴らは全滅していた。


「感謝するよ、僕の為の生贄となってくれて」


 一時であるが、僕の目的通りに動いてくれたことに対する謝辞を述べ、その場を後にする。


 すると、


「これより、敵首魁を叩く突撃作戦を開始する」


 既に兵は一箇所に集められ、最後の作戦が始まろうとしていた。


 四天王、呼称デッドライダーか。まあ、軽く期待してるよ。


 さあてと、それじゃあ僕は後ろの方に付いて行って観戦でもするとしようか。


 敵同士で戦ってくれるのはまったくありがたい。せいぜい潰し合ってくれよ。


 どうせ最後には全て僕が滅ぼすんだ。これは終末の前の余興ってところだ。



 そして人類軍は、小さく、されど甚大な歪みを抱えたまま、作戦を開始した。





 The onslaught missiion is started...... Will you follow?

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