第24話 魔女の覚醒

 「どうした?固まってないで何か言ったらどうだ?」


 ベッドで上半身を起こして自分を見つめるミルディアにヴェルモットが妖艶な笑みを浮かべる。ミルディアの前に立つヴェルモットは全裸だった。肌理細やかな白い肌と艶のある美しい黒髪。豊かな胸の膨らみと見事なプロポーションが目を引き付けて離さない。普通なら理性が吹き飛ぶほど興奮しそうなものだが、今のミルディアにはその美しい肢体に見とれるだけの余裕がなかった。


 「ヴェルモットさん、本当にいいんでしょうか?こんな形でその……」


 ミルディアが悩みながら言う。二人がいるこの「黄昏の廃城」の一室にはミルディアが時間操作の魔法をかけてある。この室内では外に比べて数十倍のスピードで時が流れている。二人がゆっくり行為に及んでも外ではわずかな時間しか経たないはずだ。


 「往生際の悪い奴だな。これしか方法がないと言われたのだろう?世界を救う気があるなら迷っている場合ではあるまい」


 それは分かっている。これが必要なことであることは。だが自分がこの役目に選ばれたことを含め、やはりまだ納得しきれないところがミルディアの心の中にはあった。自分も全裸でベッドに入っているのに、今一つ興奮出来ない。


 「そんな顔をするな。それではこちらもどういう顔をすればよいか分からん。私は納得しているのだ。お前にならこの身を預けてもよいとな」


 「ヴェルモットさん……」


 「使命感で女を抱いても楽しくあるまい?今この瞬間だけは素直に感情に身を任せてはどうだ?」


 「分かりました。嫌々抱くように思われたらあなたにも失礼ですしね。今だけは素直に喜びます」


 「そうしろ」


 ヴェルモットがベッドに腰かけ、ミルディアに顔を近づける。唇を重ね、そのまま倒れこむ。


 「好きにしろ」


 その言葉でミルディアに残っていた理性は雲散霧消した。



 「はあ……」


 ミレイは一人廊下に座り込みため息を吐いた。すぐ隣にあるドアの向こうではミルディアとヴェルモットが体を重ねている。ミルディアから先ほど聞かされた話は普通ならとても信じられない常軌を逸した内容だった。だがミレイはミルディアがおかしくなったとは思えなかった。それにヴェルモットをもってしても使えない神話級魔法をミルディアが発動させたのは事実だ。ならば信じるしかない。


 「だからこれは必要な事。世界のために……」


 無意識のうちに言葉が漏れる。世界を救うためには六人の魔女を見つけて協力を依頼し、その真の力を覚醒させなければならない。だから今ミルディアとヴェルモットが体を重ねているのは世界のため。そう言い聞かせる。しかし……


 『何なんだ、この気持ちは……』


 胸がもやもやする。心が落ち着かない。まさかこれは嫉妬なのか?ミルディアに対する気持ちは忠義や尊敬の念と言うべきもののはずだ。それが一度ベッドを共にしただけで恋愛感情に変わったとでもいうのか。自分でも理解できず、ミレイはがしがしと髪を掻きまわした。


 「そんなはずは……そんなことが許されるわけが」


 ふらふらと立ち上がり、ミルディアたちがいる向かいの部屋のドアを開ける。ミレイは恋愛体験がなかった。幼いころ好きな男の子はいたが、それは恋愛というにはあまりにも子供じみた好意に過ぎなかった。だから正直今自分の心を占めているこの感情が果たして恋と呼ぶべきものなのか自分でも分かっていなかった。


 「ふ……」


 部屋の中には全身が映る大きさの姿見があった。ミレイはほとんど無意識にその姿見の前で服を脱いだ。大きな乳房がまろび出る。ミレイはこの胸がコンプレックスだった。他の女性はみな羨ましがるが、胸が大きくなってきてからというもの、他人に話題にされるのはそのことばかりだった。男は無遠慮な視線を送り、女は嫉妬を込めて陰口をたたく。次第に自分の存在価値はこの胸にしかないのかと思い悩むようになった。


 「私は……」


 そっと胸を持ち上げ、ため息を吐く。だから努力をした。剣の才能があると言われ必死に修行を重ねた。騎士団に入団出来たときは本当にうれしかった。男だらけの騎士団の中で相変わらず胸にばかり注目されたが、アッシュ団長だけは公正に自分の働きを見てくれた。中隊長に任命された時は初めて自分が認められたと思い、涙した。口さがない連中の中傷もあったが、アッシュは一度として体を要求するような卑劣な真似などしなかった。だからあの駐屯兵の言葉はどうしても許せなかった。


 『ああ、そうか』


 ミレイははっとして鏡に映る自分を見つめた。この気持ちは……このやるせない思いの正体は、やはり嫉妬だ。女としてではない。ミルディアの力になれない自分が、世界を救う力になるヴェルモットに対しての嫉妬。自分の不甲斐なさに対する自己嫌悪なのだ。


 「くっ……」


 知らぬ間に涙が零れる。自分なりに必死に務めてきたつもりだった。中隊長になり、アッシュの力になれると思っていた。グランツやミルディアのために働けると思っていた。それが部下の大半に裏切られ、ミルディアを危険に晒した。ミルディアを助けるどころか逆に二度も救われてしまった。何と情けない女、いや、情けない騎士だ。


 「何だ、こんなところにいたのか」


 いきなりドアが開けられ、ミレイははっとして振り向いた。全裸のままのヴェルモットがそこに立っていた。


 「何だその恰好は。お前もしたくなったのか?」


 「い、いえ!そういうわけでは!」


 「ごめんミレイ。お待たせ……って、わあっ!」


 下半身にタオルを巻いたミルディアがヴェルモットの後ろから顔を出し、ミレイを見て叫び声を上げる。


 「ど、どうしたのミレイ!?」


 全裸の、というより涙で頬を濡らしているミレイを見てミルディアが心配そうに尋ねる。まともに顔を見れないので今ひとつ格好がつかないが。


 「お恥ずかしいところをお見せしました」


 服を拾い、そそくさと部屋を出ようとするミレイだったが、その腕をヴェルモットが掴んで引き留める。


 「な、何か?」


 「ふん、嫉妬で泣いているわけではなさそうだな。……おい、ミルディア。慰めてやれ」


 ヴェルモットが反対の手でミルディアの腕を掴み、ミレイの前に引き出す。


 「え、ええ?な、慰めるといっても」


 「抱いてやれという意味ではないぞ」


 「わ、分かってますよ。そんなこと」


 「ミルディア様……」


 ミレイが視線を泳がせ、いたたまれないような顔で呟く。その表情にドキリとし、ミルディアは何か声を掛けねばと焦るが、うまく言葉が出てこない。


 「情けない奴だな。まあ女心を分かれという方がまだ無理か」


 ヴェルモットが呆れたように言ったその時、


 『見ちゃいらんねえな。ちょっくら代われ』


 ミルディアの心の中で声がした。待て、と言う間もなく、髪の色が変わりもう一人の自分が表に出てくる。


 「ミルディア……様?」


 「ほう、それがもう一人のお前か。中々興味深いな」


 両者の反応をよそに、もう一人のミルディアは膝をついたミレイの顎に手をかけ、自分の方に持ち上げる。


 「全く。どうせあれだろ?選ばれし魔女のヴェルモットに対して自分は何の力にもなれないとかうじうじ考えてやがったんだろ?」


 「あ、は……はい」


 普段とはまるで違う野性味あふれる表情で自分を見つめるミルディアに、ミレイは思わず言葉を失って見とれてしまう。


 「俺を守るべき騎士団の癖に逆に助けられるなんて情けないとか思ってんのか?バカにするなよ。俺、いやはな、そんなこと全く思っちゃいねえんだよ。我ながら呆れるほどのお人よしだからな、このバカは」


 「あ、あの……」


 「こいつが言っただろ。裏切りもんのバカ野郎どもが多い中でお前は俺や親父に忠義を尽くしぬいてる。アッシュがお前を抜擢したのは間違いじゃねえってな。俺らはアッシュを信頼してる。そのアッシュがお前を信頼して中隊長にしたんだ。だから俺らはお前を信頼してるってわけだ。分かるな?」


 「ミルディア様……」


 「お前は無力なんかじゃねえ。魔女の力を持ってなくったって力になってもらわなきゃ困るんだよ。味方は一人でも多い方がいいからな」


 「は、はい」


 「分かったらしけた顔してないで着替えてこい。俺としちゃそのままの方がいいが、こいつが目のやり場に困ってるみたいなんでな」


 「す、すいません!すぐ」


 顔を赤らめ、ミレイが部屋を出ていく。それを見送り、ヴェルモットがふん、と鼻を鳴らす。


 「何だ、凶暴な性格というからどんなヤバい男かと思ったらとんだ甘ちゃんだな」


 「けっ!俺だってこんな甘ったるいセリフは言いたくねえんだよ。こいつのおかげですっかり牙を抜かれちまった気分だぜ」


 「ふふ、のお前に抱かれてみるのも面白かったかもしれんな」


 「お望みならいくらでも抱いてやるぜ。今から二回戦としゃれこむか?」


 『そんなことしてる場合じゃないでしょ!早く代わって!』


 心の中でもう一人のミルディアが叫ぶ。


 「ちっ、お前だけ楽しみやがってよ」


 『同一人物なんだから感覚は共有してるだろ!』


 「はいよ。仕方ねえな」


 そう言うとミルディアの髪の色が元に戻り、人格が入れ替わる。

 

 「他の魔女を口説くならそっちの性格の方がいいんじゃないか?今のお前じゃまともに話も出来まい」


 ヴェルモットがいつもの黒衣に袖を通しながら皮肉っぽく言う。


 「それは責任を放棄するような気がして嫌ですね。もう一人の自分に丸投げなんて出来ません」


 「真面目過ぎるのも時には障害になるぞ。感情に身を任せて行動することが必要な時もある」


 「ヴェ、ヴェルモットさん!」


 先ほどの交わりを思い出してミルディアが真っ赤になって叫ぶ。


 「そ、それでどうです?何か変化がありますか?」


 話題をそらすようにミルディアが尋ねる。ヴェルモットは腕を伸ばしたり拳を握ったり様々な動きをし、ふむ、と呟く。


 「何か今までにない力が体の中に宿っている感覚は確かにあるな。だがそれが表に出てこないようなもどかしさも感じる」


 「もしかしたらこの『黄昏の廃城』に張られている結界のせいかもしれませんね。ちょっと試してみたいんですが」


 「うん?」


 ヴェルモットが怪訝な顔をしたとき、着替えてきたミレイが部屋に戻ってきた。


 「お待たせしました」


 ほのかに顔を赤くしたミレイが頭を下げる。


 「丁度よかった。ミレイ、手を貸して」


 「は、はい」


 ミルディアはミレイの手を取り、反対側の手をヴェルモットに差し出す。


 「ヴェルモットさんも手を」


 「うむ」


 二人の手を握ったミルディアは目をつぶり、意識を集中する。


 「うお?」


 一瞬、目の前が暗くなったと思うと、次の瞬間、ミルディアたち三人は森の中に佇んでいた。すぐそばに「黄昏の廃城」が見える。廃城の敷地のすぐ外のようだ。


 「驚いたな。こうもあっさり敷地外に出られるとは」


 黄昏の廃城を見上げ、ヴェルモットがあっけにとられたように呟く。ミレイも何が起きたか分からないといった風でポカンとしている。


 「この距離で自分の住んでいる館を見たのは最初に入った時以来かもしれんな。やはりお前の魔力は常軌を逸しているようだ」


 「で、どうですか?何か変化は?」


 「うむ、感じる。何かが体の内から……」


 ヴェルモットがそう言うと、その体から黒い霧のようなものが立ち上る。ミルディアとミレイが驚いて見ていると、その黒い霧は徐々に一か所に集まり、やがて塊となって形を整えていく。


 「な!?」


 目を丸くするミルディアたちの前でそれは黒猫の姿になり、ヴェルモットの肩に乗る。ビロードのような艶やかな毛並みのさほど大きくない黒猫だ。


 「可愛い……」


 ミレイが思わず呟く。ヴェルモットの肩の上に佇む黒猫は金色の目を細めミルディアたちを見つめる。


 「ヴェルモットさん、これは……」


 「我にも分からん。だがただの猫でないことは確かだな。おそらくこれは……」


 「ご主人様の考えている通りニャ」


 「しゃ、しゃべった!?」


 黒猫がいきなり口を聞き、ミルディアとミレイが驚いて後ずさる。品のある女性の声だ。黒猫はそんな二人を冷ややかな目で見やり、


 「そっちの女はともかく私を覚醒させたのはお前なんだからそんなに驚くなニャ」

 

 とミルディアに文句を言う。

 

 「覚醒させた?じゃあお前はヴェルモットさんの……」


 「そう、ご主人様の『使い魔ファミリア』ニャ。ご主人様の持つ魔女の能力が具現化した物と考えればよいニャ」


 「やはりそうか。しかし語尾がニャとはあまりにも安直だな」

 

 ヴェルモットが自分の肩に乗る黒猫を撫でながら言う。


 「分かりやすさは重要ニャ。私が話していることがすぐに分かるようにわざわざベタな口癖を付けてるニャ」


 「癇に障るからやめてくれ」


 「ご主人様がそう言うなら仕方ないですね」


 「使い魔ファミリア」の黒猫はあっさり言う事を聞き、普通の喋り方になる。


 「で、我の力とは何だ?」


 「ご主人様ももう自分で分かってるのではなくて?」


 「ふむ。確かにな。長年感じなかったこの波動……天啓が聞こえてくるようだ」


 「天啓が?本当ですか、ヴェルモットさん!?」


 ミルディアが勢い込んで尋ねる。


 「そう。ご主人様の能力は『全知』。この世界で起こっているあらゆる出来事の情報を知ることが出来るのです」


 黒猫が顔を手で撫でながら得意そうに言う。


 「全ての情報を!?信じられません」


 ミレイが驚いて叫ぶ。


 「ならもしかして世界の崩壊を企むというの情報についても?」


 ミルディアが尋ねると、黒猫は目を細め、ばつが悪そうに顔を伏せる。


 「それが管理人と同程度の力を持つ者のことまでは読めないのです。あなたのいうと、そいつが操っているものの情報は。他の魔女についてもおおよその見当をつける程度で正確な居場所までは特定できません。面目ないです」


 「いや、それでも世界中の情報が知れるというのは凄い力だよ。アドジャスターさんのことまで知ってるんだね」


 「あなたが知っていることなら私も知っています。ご主人様があなたと交わったのでね」


 「成るほど。元々我にあった天啓を聞く力が最高レベルに強化された、というところか。この『使い魔ファミリア』の顕現がその証ということだな」


 黒猫を肩から下ろし、胸の前で抱きかかえながらヴェルモットが言う。


 「ご主人様、いつまでも『使い魔ファミリア』」と呼ばれるのは味気なくていけません。出来れば名前を付けていただきたいのですが」


 「名前か。さて、どうしたものか。クロというのも芸がないしな。何かいいアイディアがあるか?」


 「アーテルというのはどうでしょう?」


 ミルディアがぽつりと呟く。


 「アーテルか。悪くないかもしれん。どうだ?」


 ヴェルモットが黒猫に訊く。


 「ラテン語で『黒』という意味ですね。まんまといえばまんまですが、クロよりはいいでしょう」


 「ラテン語?」


 ミレイが首をかしげる。


 「ミルディア殿の前世の世界の言語のひとつです」


 「ラテン語は知ってるけど、ちょっと待って。何で……」


 違和感を覚えたミルディアが黒猫に話しかける。が、その途端、意識がふっと途切れ次の言葉が出なくなる。


 「どうした?ミルディア」


 ヴェルモットが怪訝な顔でミルディアを見つめる。


 「い、いえ。何でもないです」


 何を言おうとしていたのか、ミルディアは忘れてしまっていた。気になったことがあったはずなのだが、それが思い出せない。


 「じゃあこの子の名前はアーテルで決まりですね」


 ミレイがアーテルの喉に手をやって目を細める。猫が可愛くて仕方ないらしい。


 「と、とにかくリミステアの町がどうなっているか気になる。アーテル、城の様子が分かる?」


 気になることはあるが、今はとにかく町やグランツたちのことが気がかりだ。ミルディアは靄のかかったような頭の中の疑問を振りほどき、アーテルに尋ねる。


 「任せて。……リミステア城は王国軍の攻撃を受けているようですね」


 しばしじっと目を細めて静止していたアーテルがぼそりと呟く。


 「何だって!?」


 ミルディアが驚いて叫ぶ。なぜ王国軍がリミステア城を攻撃するのだ?嫌な考えが浮かび、冷や汗が流れる。


 「まさか王国軍は……」


 「帝国軍と通じてるようですね。リミステアに駐屯している部隊だけだけど」


 あっさりとアーテルが言う。ミレイが顔を紅潮させ、近くの木に拳を当てる。


 「盗賊団だけでなく帝国とも通じているとは!なんと恥知らずな!!」


 「アーテル、僕の家、子爵邸はどうなってる?」


 「……こっちにも王国軍が来ているわね」


 「父上は!?フローゼはどこにいる?」


 「……見えないわ。行方も分からない。これはまずいわね」


 「どういうことだ!?」


 ミルディアが興奮して叫ぶ。


 「落ち着け、ミルディア。アーテル、お前は世界のことが全て見通せるのだろう?それがグランツたちの行方が分からないということは……」


 ヴェルモットが厳しい顔でアーテルを見る。


 「ええ。おそらくの手の者に拉致された、と考えるべきでしょう」


 「くそっ!」


 ミルディアは歯噛みして叫ぶ。と、その体が光に包まれた。


 「待て!どうするつもりだ?」


 「町に戻ります。父上やフローゼを探さないと!」


 「落ち着け。無暗に動いても敵の思う壺だ。とにかく城と屋敷から王国軍を追い払うのが先だろう。我も手を貸してやる」


 「ですが!」


 「頭を冷やせ。まだ魔女は我一人しかいないのだぞ。敵もこの時点でそう簡単に人質には手を出すまい。グランツたちをさらった敵の手の者が現れるまで慎重に行動すんだ」


 ヴェルモットに諭され、ミルディアは深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


 「すいません、取り乱して」


 「気持ちは分かる。だが焦れば敵に付け入られるぞ」


 「ミルディア様、私もお力になりとうございます。一緒に連れて行ってください」


 ミレイが真剣な顔で頼み込む。


 「ありがとう。とりあえず装備を整えたいね。この格好じゃどうにも始まらない」


 ミルディアとミレイはヴェルモットから借りた普段着を着ている。武器もない。

 

 「村に行きましょう。あそこには制服の予備も武器もあります。アーテルがいれば駐屯兵の誰が味方で誰が敵かがすぐに分かりますし」


 ミレイが言い、ミルディアが同意する。


 「その必要はないみたいよ」


 だがアーテルはしばし目を細めると、ため息を吐くようにそう言った。


 

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