第7話 父と子と

 「監守か職員の中に盗賊団に通じている者がいるなんて……」


 「実を言うと獣人族ワービーストの自治領で子供が攫われるというのは今回が初めてではない。通報を受けて近隣の村に駐屯させた兵にも警戒させていたのだ。だがその裏をかくように襲撃が行われていた。兵の中に内通者がいたのだとすればそれも納得できる」


 「初耳です」


 「お前の耳に入れる事でもないと思ったのでな」


 「ですがこのままにしては置けません。何とか内通者を見つけないと」


 「うむ。だが今回のことは奴らにとっても下策だったな」


 「え?」


 「少なくとも収監所で盗賊を殺した奴は絞り込める」


 「確かに収監所には限られたものしか出入り出来ませんからね」


 「それだけでなく監守が犯人である可能性はかなり低い」


 「何故ですか?」


 「監獄を見回る監守はリミステア兵が当番制で行っている」


 「ああ、そうか」


 「昨日、盗賊が捕えられ収監所に運ばれることを事前に知る術はない。たまたま昨日当番であった監守が内通者だったという偶然は考えにくいだろう」


 「ということは常に収監所に勤めている職員が……」


 「そういうことだ。以前からこういう時のために収監所に潜り込んでいたか、職員を仲間に引き入れたかしたのだろう。となれば対象者は限られる」


 「じゃあ早速捜査を」


 「うむ、それなのだがこの件はミルディア、お前に任せたい」


 「え?」


 「内通者を洗い出し、盗賊団を壊滅させる。裏にいる奴隷商人までたどり着ければいいが、そこは慎重にならねばならんぞ」


 「ちょ、ちょっと待ってください。いきなりそんなことを言われても。父上ご自身かアッシュにお任せを……」


 「アッシュに限って心配はいらんと思うが、リミステアの中に内通者がいると分かった以上、下手な人間に任せるわけにはいかん。お前に儂の権限を一時的に委譲する。人員の選抜を始め全ての決定事項を委ねるということだ」


 「何故そんな急に?父上が陣頭指揮を取られた方がスムーズに行くと思います」


 「儂は明後日、ここを離れる」


 「え?」


 「フローゼ様にはもうお会いになったのか?」


 「は、はい、昨日屋敷で」


 「ではフローゼ様の縁談の話も聞いたであろう」


 「はい」


 「どう思った?」


 「失礼ながら、侯爵様らしくないかと」


 「儂も同意見だ。と思っていたら当の侯爵様から親書が届いてな」


 フローゼが届けに来たものだ。


 「こんなことならもっと早くお前を婿によこせと言っておくんだった、と愚痴が書いてあった」


 「ええ!?」


 ということはやはりオブライエン侯爵は今回の縁談は不本意なのだ。


 「お前も勘付いているだろう?この話には……」


 「何者かの圧力が」


 「おそらくな。親書にはそこまではっきりと書かれてはおらんが、それとなくほのめかす記述があった。オブライエン侯爵ほどの方に圧力をかけられるものなど国内ではごく僅かしかおらん。それがハーゼンなどという成り上がり者と繋がっているとなると、由々しき事態だ」


 「はい」


 辺境伯とはその名の通り中央から離れた地方に領土を持ち、他国と接する地域を管轄することが多い。ハーゼン伯の領地も西の大国、アーシア教主国と接している。


 「最近王都でのきな臭い噂を耳にする。アーシア教主国の大神官が頻繁に王都を訪れているらしい」


 「アーシア教主国と言えば確かネブロ神教を国教にしてから飛躍的に国力を増強したんですよね?」


 「そうだ。それまで国を治めていた王家をネブロ神教の教主率いる宗徒兵が追放し、ネブロ教会が事実上国の実権を握った。建前上の元首はいるが、実際は教主であるブローネンが最高権力者だな」


 『我は元々『五種の太祖フィフス・オリジン』など信奉していないし、ネブロ神教などという怪しげな奴らの仲間でもない』


 「黄昏の廃城」でヴェルモットが言った言葉を思い出す。この世界は五つの種族の始祖、いわゆる「五種の太祖フィフス・オリジン」が創造したというのが伝説として定着している。創造神デウル、大神竜ウルブアス、始まりの巨人グアリテ、獣の王クラーケス、そして魔王ルシエールである。今世界に存在している生物はこのいずれかの末裔であるとされる。だが唯一の例外とされる種族がいた。


 巨人の末裔であるタイタニア族は人間は自分たちと同じグアリテを始祖とすると主張している。タイタニア族は巨人族の末裔だけあって平均身長が2mを超える亜人だが、外見上は最も人間に近い。だがそれを正式に認めている国はなく、信じている人間もほとんどいなかった。

 

 「五種の太祖フィフス・オリジン」の末裔たちはそれぞれの始祖を神としてあがめている。エルフ族は創造神デウルとその眷属である十大天使を、竜人族ドラゴニュートはウルブアスを、タイタニア族はグアリテ、獣人族ワービーストはクラーケス、そして魔族は魔王ルシエールを信奉しているのだ。そんな中にあって数百年前に発生したのがネブロ神教である。


 ネブロ神教の教義は世界を創造したのが「五種の太祖フィフス・オリジン」ではなく、それらを含めた全てを偉大なる絶対神ネブロが創ったとするもので、その中でも人間はネブロが自らを模して創った直属の末裔であると説くものだった。この教えは当然他の種族からは反発されたが、人間が事実上支配しているこの世界では多くの人に受け入れられ、その版図を拡大していった。先のアーシア教主国の革命はその最たるものである。


 「実は一週間後、王都で御前会議が開かれることになった。そして儂もそれに参加するよう通達が来ている」


 「御前会議?それに父上が?」


 御前会議とは国内の重要な事柄を決める際、王都に各地の有力貴族を集めて行われる王国の最重要会議である。数年に一度不定期で行われるが、ミルディアの知る限り父グランツがその場に呼ばれたことは一度もない。


 「今まで一度も声が掛からなかったのに今回はどうしても参加せよというのだ。先のフローゼ様の件や教主国のことなど、どうもおかしな気がしてな」


 「参加されるのですか?」


 「行かねば反逆罪に問われかねん。そもそも御前会議に出席するのは名誉なことだがな」


 「父上、私は何か嫌な予感が致します。参加するのは仕方ないとしても十分にお気を付けて」


 「うむ。それで王都へ向かう前にオブライエン侯爵の所に寄るつもりだ。親書にもそれを望む旨が書いてあった。御前会議に臨む前に腹を割って話し合おうとな」


 侯爵も今回の御前会議で何か起こると考えているのだ。ミルディアの不安はますます大きくなった。


 「そこで万一の場合を考えてお前に領主の権限を委譲するのだ。盗賊団のことだけでなく、有事の際は自分の判断で動け。王国軍との折衝はアッシュを頼るがよい」


 「父上……」


 「さっきの話だが、奴隷商人のことには気を付けろ。帝国に半獣人ハーフビーストを連れ出して売買しているとなると、そいつは帝国の人間である可能性もある。帝国の人間を無暗に捕らえ処断したとあっては奴らに侵攻の口実を与えかねん」


 「ですが放置しておけば新たな盗賊を雇ってさらなる誘拐を目論む恐れも」


 「だから盗賊は根絶やしにせよ。そして重要なのは誘拐した子供を帝国に連れ出すルートの発見とそれを潰すことだ。非合法に帝国に抜ける道を探しだし、封鎖するのだ。必要とあれば守備兵を置け」


 「かしこまりました」


 「今回のことでお前は獣人族ワービーストと信頼関係を築けた。帝国ににらみを利かせるためにも彼らの協力を得られれば大きな助けとなろう」


 「はい」


 「まずは内通者の炙り出しだな。それから盗賊団のアジトを見つけ出し、これを殲滅するのだ。やり方は任せる」


 「私に務まるでしょうか?」


 「務まるかどうかなどと考えている時ではない。やるのだ。自分が領主であるという自覚を持て」


 「はっ!全身全霊をかけて父上の名代を務めさせていただきます」


 「頼んだぞ。儂は出立に向けて準備を整えねばならん。お前と話せる機会ももうなかろう。言いたいことがあればこの場で言っておけ」


 「は、はい」


 ミルディアはヴェルモットのことを切り出そうかとしばし逡巡した。今を逃せばしばらく父と話す機会はないだろう。


 「『黒衣の魔女』についてか?」


 父にそう言われ、ミルディアは肝が潰れるのではないかと思うほど驚いた。しばらく絶句したのち、乾いた声で尋ねる。


 「ど、どうしてそれを?」


 「お前が森に飛ばされた、というのが事実として、どうしてそれが転移魔法だと思えたのか気になってな。転移魔法は儂でも一度しか見たことがない非常に珍しい上級魔法だ。お前も名前は聞いたことがあっても実際に見たことはあるまい?まして自分にそんなものが発動するなど夢にも思わなかったはずだ。だがお前ははっきりと断言した。転移魔法で飛ばされた、とな。ならそう断言した何者かがいたのではないかと思ってな。それに転移魔法を使える者がこのリミステアにはほとんどいない、と言ったとき、お前は『やはりそうですか』と答えた。それを知る誰かから聞いたのだろう?」


 ミルディアは父の言葉に唸った。さすがの観察眼だ。


 「さらに気になったのは先の盗賊団の件だ。昨日の朝、村に獣人族ワービーストが誘拐された子供の救助を頼みに来た際、お前のことを報告しなかったのが腑に落ちん。前の晩に保護したのならその時お前のことも伝えて然るべきだろう?領主の息子が森に迷い込んだとなればいくらなんでも真っ先に知らせるはずだ」


 「い、いや、あの時はまだ自分の身分を明かしておりませんでしたし」


 これは事実だ。実際、変貌して盗賊団と戦い村に運ばれるまでフレキとゲリには名前も伝えていなかった。


 「それにしても子供の誘拐を伝えに来て、年若い人間が迷ってきたことを言わないとは不自然だろう。だからお前が獣人族ワービーストに保護されたというのは嘘だと確信した。ならお前は二日前の晩どこにいたのか?森に飛ばされたというのは確かだろうから、そうなると思い当たるのは『黄昏の廃城』しかない。丸腰で森を一晩中さ迷い歩いていたら無事でいられる可能性は低いからな」


 「ご明察です。あそこで一晩過ごさせてもらいました」


 「あの魔女の話を聞いたのか?」


 「はい。お爺様があそこにヴェルモットさんを閉じ込めた経緯を」


 「ひどい話だと思ったか?」


 「……はい」


 ミルディアは正直に答えた。グランツは微かに笑い、息を吐く。


 「本人が望んだことだ、と言ってもお前は納得せんだろうな。儂もそうだった」


 「え?」


 「儂もお前くらいの時にな。父上にあの『黒衣の魔女』の話を聞き、憤慨したものだ。強大な魔力を持つというだけであんなところに永遠に隔離するなど非人道的な行いだとな。まだ若かった儂はあの女がどれだけの孤独と絶望を抱えて長い時間を過ごしてきたのかを察することが出来なかった。あやつは本当に自分から望んであそこに引き籠っておるのだ。それに気づくまで長いことかかった」


 「ですが!」


 「まあ聞け。当時の自分に分からなかったものをお前に分かれというのも酷な話だがな。儂は一度だけあの『黄昏の廃城』に行き、ヴェルモットに会ったことがある。当時はまだ『黄昏城』と呼ばれていたがな」


 「父上が?」


 『ここに人が入ったのはいつ以来だろうな』


 ヴェルモットの言葉が脳裏をよぎる。もしかしたらあれは父のことだったのか。


 「ここから出たくはないのか、と意気込んて尋ねると、ヴェルモットは寂しそうに首を振った。安息の地という言葉の意味が儂には理解できなかった。こうして領地を統治し、民の暮らしを守る立場になってようやくその言葉の意味が分かるようになったがな。ヴェルモットにとって静かに暮らせるということがどれほどの幸せであるのか。彼女が長い時間過ごしてきた放浪の旅がどのようなものだったか。想像もつかんほどの苦しみがあったのだろう。今でも完全に理解など出来ん。だがあそこで暮らすことが少しでもそれまでよりもましなのなら、そのままにしてやるしかないと思うようになった」


 「でもそれじゃ……希望がないじゃないですか。今よりもいいことが何もないって分かってるのに」


 「だから儂はもうあそこへは行かなかった。ヴェルモットを救ってやることが出来ぬ自分が、自分の無力さが嫌になってな」


 「ヴェルモットは父上が自分を鬱陶しく思っていると言っていました」


 「そう思われても仕方あるまい。別れ際にまた来る、などと言っておいて結局二度と会いに行かなかったのだからな」


 「もしかして父上がヴェルモットさんのことを話すのを禁じたのは……」


 「お前やベルゴールが興味を持って彼女に会い、儂と同じ無力感を味わうのを見たくなかったからだ。儂に出来るのは村の者に食料を運ばせるくらいだったからな」


 ミルディアは自分の考えを恥じた。父がヴェルモットに食料を運ばせていたのは祖父の遺言に従って渋々行っていると思っていたのだ。しかし父は自分と同じようにヴェルモットの境遇を憂い、自分の無力感にさいなまれていたのである。


 「父上申し訳ございません。僕、いえ、私は……」


 「ふ、謝る必要はない。お前が儂のことをどう思っていたか想像はつく。ヴェルモットに会ったならな。実際儂は彼女に何も出来ずあの廃城に置き去りにしただけの無力な男だ」


 「いえ、そのような……」


 「だが運命とは皮肉なものだな。まさかお前が稀有な転移魔法を発動し、彼女と邂逅するとは。お前はあそこの近くに飛ばされ、廃城までたどり着いたわけか」


 「いえ、それが……」


 ミルディアは意を決し、直接「黄昏の廃城」に飛ばされたことを告白した。それを聞いたグランツが眉根を寄せる。


 「何だと?しかし確かあそこは……」


 「はい。ヴェルモットさん以外の魔法は中に干渉できないと。ですから彼女も不思議がっていました。私に興味をもたれたようで」


 「ふむ、転移魔法といい、お前には何か特別な魔力が備わっているのやもしれんな。貴族学校では何か変わったことはなかったのか?」


 「はい。基礎術式を習っていた時は何も。初級魔法を使っていた時もこのようなことは」


 「先日は精霊魔法の実地だったか。メルタの講義は」

 

 「はい。中級の火の攻撃魔法の詠唱を。屋敷内なので発動はしませんでしたが」


 「確かに不可解だな。無自覚での転移魔法の発動。しかもあの『黄昏の廃城』へ、か……」


 「実は父上、もう一つお話ししなければならないことが……」


 ここまで来たらもう全てを話そうと決意し、ミルディアは自分に起きた変貌のことを話した。さっきにも増してグランツの顔が険しくなる。


 「お前が盗賊を何人も殺したと聞いた時は俄かに信じられなかったが、まさかそのようなことが……。その凶暴な人格になっていた時も記憶はあるのだな?」


 「はい、どこか別の所から自分の動きを見ているような感覚でしたが、自分がしたことははっきりと覚えています」


 「ううむ」


 「父上、正直言って私は怖いのです。先ほど父上の名代を全力で務めると申しましたが、またあのような変貌を遂げたら、と思うと」


 「だがお前は変貌した後も盗賊のみに刃を向け、半獣人ハーフビーストの子供や月狼族には手を出さなかったのであろう?」


 「は、はい。それは勿論」


 「ならお前の根本的な精神は変わっていないのでないか?自分が守るべきもの、何が正で何が邪か、それが分かっているのであれば大きな問題ではないのかもしれん。だがもし本当に無差別に暴力を働くようならあらかじめアッシュに命じておけ。自分を殺してでも止めよ、とな」


 「父上……」


 「領主になるということはそれだけの覚悟がいるぞ、ミルディア」


 「肝に銘じます。しかし私自身のことも含めて世界に何か大きな異変が起きているような気がして不安なのです。父上、王都でもくれぐれもご用心を」


 「うむ。しかしこのような時にお前に異変が起こったのは偶然ではないのかもしれんな」


 「え?」


 「かつて世界は何度か大きな混乱に包まれたと聞く」


 「英雄伝説ですか」


 「そうだ。『十三武聖じゅうさんぶせい』はそのような時に現れ世界を救ったという。今世界がまた混乱に包まれようとしているなら、もしかしたらお前がそれを救うのやもしれん」


 「父上、お戯れを」


 「戯言だ。少しは本気だがな。何せお前は『魔女』と出会ったのだからな。親バカと笑ってもよい。まあ他言はするな。正気を疑われる」


 「言えるはずがありませんよ」


 「だがお前に期待しているのは本当だ。儂の留守を頼むぞ」


 「ご期待に沿えるよう全力を尽くすことをお誓い申し上げます」


 ミルディアは立ち上がり、胸に手を当てて目を閉じた。敬意をもって相手に宣誓をする王国の所作だ。


 「うむ。ではさっそく盗賊団の掃討に当たれ。カーライルを始め主要な家臣には権限移譲のことは話してある。人員は好きに使え」


 「ありがとうございます。父上、くれぐれもお気をつけて」


 深々と一礼し、ミルディアは執務室を後にした。廊下に出て大きく深呼吸し、頬をパン、とはたいて気合を入れる。


 「よし、まずは内通者を洗いだすか」


 階段を下り玄関ホールに入ると、フローゼの姿が見えた。ミルディアに気付くととたとたと駆け寄って来る。


 「ミディ!叔父様とのお話は終わった?」


 「うん。フローゼはいつまでこっちに?」


 「御前会議のことは聞いた?」


 「うん。フローゼも知ってたんだね」


 「叔父様が王都に行く前にうちに寄るって言ってたでしょ?だから一緒にここを出ることにしたの」


 「父上が話したの?」


 「爺やを締め上げたのよ。ここに来る前のお父様の様子がおかしかったから」


 ゼラスさんも気の毒に。しかしフローゼの縁談の話を書いた親書を本人に届けさせたということは侯爵様も彼女が自分に迫ることまで予想していたのかもしれない。フローゼは強引に使者を代わったと言っていたが、それも計算通りだったのではないか。それで本当に既成事実を作らせる気だったのではないか?いや、さすがに都合よく考えすぎか。

 

 「父上が留守の間、領主の権限を一時的に委譲されることになったんだ。もしかしたらフローゼも同じように侯爵様から権限を任せられるかもしれないね」


 「なら今のうちに盟約を結んでおきましょ。どんなことがあっても我がオブライエン家とフォートクライン家は協力関係であるってね」


 「正式な約定は無理だけど、僕は勿論そのつもりだよ」


 「じゃあ肉体的にも盟約を」


 「だからそれはダメだって!」


 「ふんだ。ねえ、これからお話しできる?」


 「ごめん、これから取りかからなくちゃいけないことがあって」


 「何よ、領主代行になったら早速お仕事?」


 「まあね。夜は屋敷に帰るつもりだから。その時話そう」


 「仕方ないわね。じゃあお屋敷で待ってるわ」


 ふくれ面のフローゼに手を振り、城を出たミルディアはもう一度気を引き締め、門の前に立つ兵士に声を掛けた。


 「アッシュを呼んでくれ」

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