024 妊娠バレ

 神様に言われておりますので、わたくしは妊娠を確信しておりますが、周囲には神様に啓示を受けたことは黙っておりましたので、恐らく妊娠している扱いの状態でございました。

 けれども、毎月診に来ていただいておりましたが、三月になり、典医に診ていただいた際に、トラウベという道具を使ってお腹の子供の心音を聞いていただき、妊娠している事が確実になったと言われました。

 しかも、心音が二つ聞こえるので、双子だと言われ、お父様とお母様が喜んだのは言うまでもありません。

 少しだけお腹も膨らんできましたし、典医に子供が確実にいると診断される前から、トロレイヴ様とハレック様は寝るときはまずわたくしのお腹を撫でてから寝るのが習慣になっております。

 典医からは、まだ安定期に入ったわけではないので、性行為は続けて控えるように言われました。

 続く禁欲生活に、申し訳ないとお二人に申しましたら、自己処理はしているので問題ないと言われてしまいました。

 禁欲を強いてる身ではありますが、それはそれでどうなのでしょうか? 浮気されるよりは数倍ましですけれども、自己処理だけで満足なさっているのでしょうか?

 ちょっと心配ですわね、やはりわたくしが手や口で奉仕すべきなのでしょうか? うーん、上手くできる自信がございませんわね。

 わたくしは丁度部屋に様子を見に来てくれたお母様に尋ねてみることにいたしました。


「お母様、殿方に手や口で奉仕するのを上手くする方法は何かないでしょうか?」

「実践あるのみですわ。なんです? トロレイヴ様やハレック様が禁欲生活に不満でも訴えていらっしゃったのですか?」

「いえ、わたくしが勝手にお二人にこのまま禁欲生活を強いてよいのかと考えているだけですわ」

「そうですか。まあ、お二人も自己処理はなさっているのでしょう? とはいえ、若い性欲を持て余すのも事実。そこの所は三人で良く話して行動するのがよろしいのではないかしら?」

「そうですか。昨晩お二人に聞いた時は、自己処理をしているから、わたくしは子供の事に専念するようにと言われてしまいましたの」

「なら、それでよろしいのではないでしょうか。発散できなかった分は、騎士の訓練などで発散なさっているでしょう」


 これは、薔薇世界の気配!?

 わたくしは思わず目が輝いてしまいます。

 ああ、騎士訓練場に見学に行くことが出来れば、訓練なさっているお二人の姿を写真機で収めることが出来ますのに、一応部外者は立ち入り禁止なのですよね。

 残念ですわ。

 そういえば、パズルの方ですが、ティスタン様にお願い致しましたら、すぐにパズルの型を作ってくださいまして、ミルクパズルが完成いたしました。

 画家にそのミルクパズルを崩す前に、水彩画を描いて頂き、乾いてからパズルを崩し、組み立てるという物を試作品としてまず作っていただきました。

 お茶会で、令嬢や貴婦人に紹介したところ、いたく気に入られまして、早速購入の申し込みが来ておりますのよ。

 やはり、一点ものという事と、自分で作り上げる楽しさというのがポイントが高いようですわね。

 わたくしは、水彩画でトロレイヴ様とハレック様を描いて頂きまして、それを組み立てるのに熱中しておりますわ。

 毎日コツコツとやっているのですが、だんだんとお二人の仲の良いお姿が完成していくのを見るのはとても楽しゅうございます。

 けれども、ミルクパズルの上に水彩画を描くというのは、プロの画家でもなかなか難しいそうで、試作品以外は水彩画を描いてから型でパズルの形に切り取ると言う感じになっております。

 ティスタン様は、パズルの紙といいますか、硬めの厚紙を作ることの方が難しかったと仰っておりました。

 確かに、前世のパズルほどピースの厚みはございませんわね。


「ところでグリニャック、お腹に子供がいることはきちんと判明いたしましたが、周囲への周知はいつ頃するつもりですか? お茶会などにはたまに出向いているようですが、理由もなく今までのように夜会のお誘いを断り続けていては、いらぬ憶測を呼びますわよ」

「そうですわね、典医によりますと、安定期まであと一ヶ月ほどだそうですし、安定期に入りましたら周知しようかと思っておりますわ」

「そうですか。出席したお茶会で貴婦人方に気が付かれているということはないのですね?」

「恐らくないと思いますわ。ドレスもお腹が目立たないようなエンパイアスタイルの物を着用しておりましたし」

「そうですか。けれども、貴婦人の目と言うのは侮れませんからね、安定期に入るまでは注意するのですよ」

「わかりましたわ、お母様」

「グリニャックの子供の乳母は恐らくドミニエルの妻とリリアーヌになるでしょう」

「そうですわね」


 ドミニエルの奥さんとリリアーヌがわたくしの子供の乳母をしてくれるのなら、これほど頼もしい事はございませんわね。

 リリアーヌは産休中になってしまいますが、乳母をしたいと言ってくれていましたし、話せば承諾してくれると思いますわ。


「それにしても、グリニャック。双子を妊娠しているというのに、食事量が以前とあまり変わっておりませんわね。もう少し食べなければ、子供に栄養がいきわたりませんわよ」

「分かっておりますわ。確かに、朝昼晩は以前と変わらない量を頂いておりますが、その分、間食を頂くようにしておりますので、大丈夫だと思います」

「そうですか? 確かにシェフからグリニャック用の間食について相談を受けておりますが、もう少し食べても良いのではないでしょうか?」

「これ以上食べては胃が受け付けませんわ」

「でしたら仕方がありませんわね。無理に食べるのも良くありませんから。まあ、グリニャックとお腹の子供が健やかであってくれればそれでよろしいのですわ」

「ありがとうございます。食事など、今後も気を付けていきたいと思いますわ」

「そのようになさいませ」


 これでも食べている方だと思うのですが、これ以上食べるとなると、少し辛いですわね。

 シェフも栄養価を考えて献立を立ててくれているようですし、無理をしてまで食事量を増やす必要はないと思うのですよね。


「そういえば、今日は王妃様主催のお茶会に呼ばれているのでしたね」

「はい、これから準備をして向かう予定になっておりますわ」

「そうですか、馬車で十分の距離とはいえ、何があるかわかりません。十分に注意するのですよ」

「わかっておりますわ」


 お母様はわたくしの返事を聞くと私室を出て行きました。


「コレット、着替えますわ。支度を手伝っていただける?」

「かしこまりました、若奥様。本日はどのドレスにいたしますか?」

「エンパイアスタイルの、そうですわね……セージグリーン色のレースのドレスがございましたでしょう? それに致しましょう」

「かしこまりました」


 コレットは衣裳部屋に入って、わたくしが指定したドレスを探し始めます。


「そういえば若奥様。先日いらしたアナトマさんに、妊娠しているんじゃないかって言われていましたよね」

「そう言えばそうですわね」


 あの時は流石アナトマさんだと思いましたわ。

 まだ確定ではないので他言しないようにお願いはしておりますけれども、これからお腹が大きくなっていって、ドレスもどんどんサイズ違いの物を発注しなければならなくなるでしょうし、アナトマさんには早めにお知らせしておいた方がいいかもしれませんわね。

 とはいえ、この先一ヶ月は夜会に行くわけでもございませんので、ドレスを特別に発注すると言う予定もないので、やはりお伝えするのは他の方と同じ、安定期に入ってからになりますでしょうか?


「あ、ありましたよ、若奥様。これでよろしいですか?」

「ええ、そちらのドレスで合っておりますわ」


 コレットも大分わたくし付きのメイドの仕事に慣れてきたとはいえ、衣裳部屋にあるドレスを全部把握してはいないようで、毎回探し出すのに苦労しているようです。

 これでも、もうサイズ的に小さくなってしまったドレスは、別の部屋に纏めて仕舞ってあるのですけれどもね。

 衣裳部屋だけでも、十畳はございますし、そこにかけられているドレスの中から目的の物を探し出すのは、確かに相当慣れていないと難しいかもしれませんわね。

 今回選んだドレスは、セージグリーン色のレースをふんだんに使用したドレスで、胸元全体には白の花のレース刺繍が施されており、先ずはそちらに目が向くようになっているデザインになっております。

 わたくしはコレットに着付けをしてもらうと、大鏡の前でお腹が目立たないことを確認して、衣裳部屋を出ました。

 衣裳部屋を出ると、階段を慎重に降りて、馬車まで向かいます。


「では、行ってまいります。コレット、リリアーヌ。留守を頼みましたよ」

「「かしこまりました、行ってらっしゃいませ」」


 最近の随行者は万が一の事を考えドミニエルに頼んでおります。

 リリアーヌの妊娠が判明するまでは、リリアーヌに頼んでいたのですが、世間にはリリアーヌに大事を撮って貰っているという事になっております。

 馬車で十分ほど揺られますが、馬車の中も様変わり致しました。

 クッションが沢山置かれ、腰に負担がかからないように、馬車の椅子に綿が今まで以上に入れられ、随分と柔らかいものになっております。

 王宮に到着いたしますと、お茶会の会場となる中庭に案内されます。

 その際、ドミニエルは随行人の控室で待機することになっておりますので、途中で一旦別れることになっております。


「ご機嫌よう王妃様。本日はお招きいただきありがとうございます」

「よくいらっしゃいました、グリニャック様。最近はエンパイアスタイルのドレスがお気に召しているのですか?」

「ええ、暑くなってくる時期ですので」

「そうですか。まあ、席にお座りになって下さい」

「はい」


 わたくしは空いている席に座ります。

 今回も宰相や各大臣、騎士団長、そして国王陛下も出席したお茶会と称した御前会議のようですわね。


「では、皆が集まったところで開始しようと思う。各々、飲食をしながらで良いので聞いてくれ、まずは、今年の雨期への対策だが……………………」


 お茶会と称した御前会議は三時間ほど続きました。

 昨年も、雨期に対しては対策を講じてはいたのですが、王都はともかく、地方の領地ではその政策が行き届かず、被害が出てしまったところも多かったため、国王陛下も力を入れているようでした。

 他にも、冬季を迎える前に、手入れの入っていない孤児院の再建などが話し合われました。

 お茶会が終わり、王妃様とまったりお話をしておりますと、そう言えば、と王妃様が口を開きました。


「グリニャック様、貴方もしかして妊娠していらっしゃるのではございませんか?」


 何故ばれたのですか!


「いえ、間違っていたらごめんなさいね。女の勘というものなのですけれども、少しお腹が膨れてきているように感じますし、行動がお腹を守るような動きになっておりましたので、そうなのではないかと思いましたのよ」


 す、鋭い! 流石王妃様、鋭いですわ!


「え、ええ。実は、数か月前から妊娠しているかもしれないと典医に言われておりましたが、先日正式に妊娠していると診断を受けたのでございます。けれども、まだ安定期に入っては居りませんので、他言しないようにしていただけますか?」

「まあ、やはり妊娠なさっていたのですね。ですからここ数か月は夜会のお誘いも断っていらっしゃったのですか。わかりましたわ、他言は致しませんし、国王陛下のお耳に入れることもしないように致しましょう」

「ありがとうございます」

「それにしても、グリニャック様が妊娠なさったと聞いたら、国王陛下もさぞお喜びになるでしょうね」

「そうでしょうか?」

「ええ、グリニャック様の次の後継者が生まれるとなれば、これ以上ない慶事でございますし、国王陛下はグリニャック様を宰相にしたいと今でもお考えのご様子で、断乳時期になりましたら、王宮で働いてほしいなどと誘いをかけるのではないでしょうか?」

「まあ……」


 まだ諦めてなかったのですかっ!

 わたくしはただの女公爵で一生を終えるつもりですのにっ!


「王妃様の弟君が宰相補佐として活躍なさっていると聞きますし、わたくしの出番などございませんでしょうに、困ったものですわね」

「グリニャック様は才女でいらっしゃいますから、国王陛下もその能力を手放したくないのでしょうね」


 思わず目が遠くなってしまいます。


「話しは変わりますが、噂に聞く写真機と言うのは素晴らしいですわね。量産されてしまえば、画家の仕事が減ってしまうのではないでしょうか?」

「それに関しては、わたくしが考案致しました新事業の、パズルというものに水彩画を描いて頂くという事で、幾分解消されると思いますわ。すでに幾人かの貴婦人にお売りしているのですが、専用の用紙に水彩画を描いて頂きまして、型でそれをバラバラにして、再度組み立て直すという物ですわ」

「そのようなものを開発なさいましたの? それもグリニャック様お抱えの錬金術師の作品ですか?」

「ええ、提案したのはわたくしですけれども、パズルの型を造って下さったのはお抱えの錬金術師のティスタン様になります」

「写真機の開発といい、そのパズルというものの開発といい、他にも痛み止めや軟膏の開発も行っていると聞きます。伯爵家の次男だと聞きましたが、今までの発明だけでも十分に授爵できるのではないでしょうか?」

「それは、わたくしも思ってはいるのですが、授爵してしまうと、公務が発生いたしますでしょう? それが面倒だと仰っておりましたわ」

「そうなのですか、勿体ないですわね」

「ティスタン様は研究熱心でございますので」

「早くカラー写真というものが撮れるようになって、写真機が量産されるのが楽しみですわ」

「ティスタン様も頑張っていらっしゃいますわ」


 感光性化学薬品、でしたかしら? どういう仕組みになっているのか、どうして前世のわたくしは調べなかったのでしょうね。

 悔やんでも悔やみきれませんわ。

 まあ、ティスタン様曰く、赤・緑・青の内、赤は開発に成功しそうだと仰っておりましたので、あと数年もしないうちに完成するかもしれませんわね。

 そういえば、我が公爵家では職場内結婚が多いので、屋敷で出産子育てをするメイドがほとんどですけれども、やはり、お父様が良き相手を紹介しているのでしょうか?

 だとしたら、わたくしも相性のよさそうな使用人をめぐり合わせたり、既に付き合っている使用人同士の結婚を許可したりしなくてはいけなくなるのでしょうね。


「王妃様、そろそろわたくしは失礼いたしますわ」

「そうですか。安定期に入るまで、後どのぐらいですの?」

「あと一ヶ月ほどでしょうか」

「では、それまで今日のようなお茶会は控えるように、国王陛下にそれとなく進言しておきますわ。十分ほどの距離とはいえ、馬車に揺られるのはつらいでしょう?」

「いえ、わたくし用の馬車も大分改良されておりまして、そんなに苦労はないのですけれども、そうですわね、王妃様がそのようにお考えいただけるのでしたら、そうしていただければと思いますわ」

「体を大事になさいませね」

「はい。では失礼致します」


 わたくしは礼をしてから王妃様の傍から離れていきます。

 途中、ドミニエルと合流して馬車に乗って屋敷に帰りますと、いつものようにセルジルが迎えてくれました。

 そのまま私室に戻り、ソファーに座りますと、ドミニエルが一旦部屋から出て行って、しばらくしてレモンティーを持って入ってきました。

 あまり体を冷やすのは良くないという事ですので、冷えた物ではなく、常温までぬるくしたレモンティーになります。

 レモンティーを飲みながら、わたくしは半分ほど完成したパズルを見ます。

 トロレイヴ様とハレック様のお顔の部分から完成していっているのは、愛ゆえなのでしょうか?

 そういえば、王妃様に妊娠している事がバレてしまったという報告は、夕食の時で良いでしょうか? 他言なさらないと言ってくださいましたし、心配はないと思うのですけれどもね。


「若奥様、そろそろ室内用のドレスに着替えませんか?」

「そうですわね、コレット」


 わたくしはレモンティーの最後の一口を飲み終えるとソファーから立ち上がり、衣裳部屋に入り、外出用のドレスから室内用のシュミーズドレスに着替えました。

 ショールを羽織って、部屋に戻りますと、再びソファーに座ります。

 それにしても最近、運動らしい運動をしておりませんわね。

 安定期に入ったら、軽いストレッチをするのもいいかもしれませんわ。

 前世のテレビで見たことがありますが、猫のポーズや、股関節をほぐすストレッチがございましたわよね。

 そういえば、妊娠時期は腰痛になりやすいと聞きますし、骨盤ベルトも用意したほうが良いでしょうか? そうなりますと、ティスタン様に開発していただくことになりますわよね。

 通常の妊婦は、腹帯のような物は使用していると聞きますわ。

 それを改良しましたら、骨盤ベルトが出来ますでしょうか? ティスタン様と相談して見なくてはいけませんわね。

 わたくしは、自然とお腹に手を当てながら考えていきます。

 前世の世界は、やはりいろいろと便利なものが揃っていたのですね、この世界でそれを全て求めるのは厳しいとわかっては居りますが、目標は高く持ちませんとね。


「コレット、ティスタン様に、お手すきの時間に顔を出してもらうように伝えていただけるかしら」

「かしこまりました」


 コレットはそう言って、部屋を出て行きました。

コレットが帰って来るのを待っていると、私室の扉がノックされ、入室を許可いたしますと、コレットとティスタン様が入っていらっしゃいました。


「まあ、ティスタン様。研究はよろしいのですか?」

「丁度一段落ついたところでしたので。お呼びとのことですが、何でしょうか?」

「ええ、この国には腹帯というものがございますでしょう? それを改良いたしまして、骨盤ベルトを開発していただけないでしょうか?」

「骨盤ベルト、ですか? 名前だけを聞きますと、腹帯とそう変わらないように思えますが」

「腹帯よりも、骨盤を支えるのをメインにしたベルトになりますわ。ボーンを入れて、硬めにしたものですわね」

「ふむ、なんとなくイメージは湧きましたので、早速試作品を作ってみます。若奥様用にお作り致しますので、後日骨盤周りのサイズの計測に参りますね」

「わかりましたわ」

「では、早速研究に入りたいと思いますので、これで失礼いたします」

「ええ、よろしくお願いいたします」


 ティスタン様はそう言って部屋を出ていきました。


「ティスタン様って素敵ですよね」

「まあ、コレットはティスタン様のような研究馬鹿がお好きですの?」

「何かに一生懸命になっている人って、好感が持てますもの」

「それはなんとなくわかりますが、何故よりにもよって研究馬鹿のティスタン様に……、他にも一生懸命になっている方はおりますでしょう?」

「ティスタン様以上に一つの事に熱心になっている人なんていませんよ」

「まあ、それはそうかもしれませんが。コレットはティスタン様とお付き合いをしたいのかしら?」

「私みたいな平民出身のメイドが、伯爵次男のティスタン様とお付き合いをするなんて、滅相もございません」

「ティスタン様は、そのような事は気になさらないと思いますし、今は家を出て、平民と同じ立場でわたくしに雇用されておりますもの、立場的に変わりはないと思いますわよ?」

「そうでしょうか?」


 コレットはそう言って首を傾げます。

 ティスタン様とコレットは年齢もそれほど離れているわけではございませんし、ティスタン様さえ了承なさってくださるのなら、引き合わせるのも悪くないかもしれませんわね。


「時間がある時に、ティスタン様に結婚する気があるのか聞いてみますわ。もし、結婚する気があるようでしたら、コレットを推薦しようかしら?」

「私をですか? よろしいのでしょうか?」

「まあ、ティスタン様次第ですので、あまり期待はなさらないでくださいね。なんといってもティスタン様は研究馬鹿ですもの」

「わかりました」


 うーん、職場内恋愛というのは前世でもよく聞く話ではございましたが、確かにこの国には仕事を始めますと休暇という意識はほとんどなく、月に一日か二日休暇がもらえればよい方と言う感じですものね。

 職場環境の改善も考えなくてはいけませんわね。

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