010 襲撃 その1
「え、お姉様は今年も長期休暇は領地で過ごすんですか?」
「ええ、トロレイヴ様とハレック様と一緒に行く予定ですわ。プリエマはどうします?」
「行きたいですけど、王族教育と淑女教育とか、エドワルド様の接待があるからいけないですね」
「そうですか、残念ですわね」
長期休暇に入る二週間前、わたくしはプリエマのクラスを訪れ、長期休暇の予定を確認いたしました。
薄々そうだとは思っておりましたが、やはり今年もプリエマは王都で過ごす事になるのですね。
「お爺様とお婆様、お会いした記憶がないので、どんな方なのか興味があります」
「お優しい方々ですよ。プリエマってば、学園に入る前もお父様が領地に行く際に一緒に行かないかと誘ったのに、行かないって言うんですもの、お会いした記憶がなくても仕方がありませんわ」
「だって、あの頃は家から離れたくなかったんですもの」
「そうでしたわねえ」
セルジルから離れるのが嫌で屋敷にお母様と残ったのでしたものね。
「プリエマが聖女になった事は、きっとお爺様とお婆様もお喜びでしょう、何か伝えることがありますか?」
「えっと、特にないです」
「そうですか」
何かあるでしょう、と突っ込みたいですけれども、エドワルド様もウォレイブ様も見ておりますし、出来ませんわね。
「グリニャック様は、いつ領地に向かわれるんですか?」
「長期休暇に入った翌日に出立する予定になっておりますわ、アルエノ様」
「そうですか。朝に出立なさるんですか?」
「ええ、そうですわね。朝から出立する予定になっておりますわ」
何でしょう、妙に探りを入れられているような感じですわね。
「エヴリアル公爵領は人材も資材も豊富ですばらしい領地だったね」
「え? エドワルド様、うちの領地に行った事があるんですか?」
「ええ、王宮に滞在することになる前に、一度訪問したことがあるんだ」
「そうなんですか、ちっとも知りませんでした。ね、お姉様」
「そうですわねえ」
神様に言われて知っておりましたが、言えませんわよね、表向きわたくしは神様とは無縁の人生を送っているのですもの。
「お姉様、エドワルド様って本当に物知りなんですよ。この国の事もよくご存じで、私の方が勉強になることも多いんです」
「そうなのですか」
いや、それって駄目でしょう、ってツッコミを入れるのは駄目なのでしょうねえ。
他国の方に自国の事を教えられるって、講義をサボっている事がバレてしまいますわよ、プリエマ。
「そういえば、お姉様」
「なんでしょう?」
「今度、ランシーヌ様のお茶会に呼ばれているのですってね」
「ええ、そうですわね」
「いいなあ、私も参加したいです」
「では、ランシーヌ様にお願いしてみてはどうです?」
「お願いしたけど、重要なお茶会だから駄目だって言われたんです。私、聖女なのに邪険にされるとか、ありえないですよね」
「そうだったのですか」
行きたくありませんわねえ。
聖女であるプリエマの参加希望を断るようなお茶会ってどういう物なのでしょうか?
少なくとも、楽しくお茶を飲んで終わり、とはいきそうにありませんわね。
このまま何事もなく二学年を終わり、長期休暇に入って領地に向かいたいのですけれども、何か起こりそうな感じで嫌ですわね。
「では、わたくしはそろそろクラスに戻りますわ」
「お姉様」
「なんでしょう?」
「また遊びに来てくださいね」
「機会がありましたたらね」
うふふ、こんなウォレイブ様やエドワルド様が居るようなクラスにそう簡単に来たくないですわね。
わたくしはカーテシーをしてウォレイブ様達の前から立ち去ると、速足で自分のクラスに戻りました。
数日後、ランシーヌ様に呼ばれたお茶会に参加するために、わたくしは王宮の中にある離宮に訪れているのですが、なんでしょう、デュドナ様はともかくとして、なぜ宰相や各大臣、そして騎士団長に神官長まで参加しているのでしょうか。
そして、わたくし以外の令嬢が居ないのは何故でしょうか?
「今日は来てくださってありがとうございます、グリニャック様」
「こちらこそ、ご招待ありがとうございます、ランシーヌ様。なんだか随分変わった雰囲気のお茶会になりそうですけれども、何かございましたの?」
「実は、お茶会と言うのは口実で、今後のこの国の行く末を考える会議をしようとデュドナ様が仰ってね、才女と有名なグリニャック様のご意見も参考にしたいと仰られたので、お茶会という事でお呼びいたしましたのよ」
「そう、ですか……」
ええ、わたくしはただの公爵令嬢ですのに、なんで意見を参考にしたいとか言われるのでしょうか。
とりあえず席に着くように言われましたので、長テーブルに用意された椅子に座ります。
完全に会議様式ではありませんか。
「お茶会と言う形を取ってはいるが、今回皆に集まって貰ったのは他でもない、今後のこの国の行く末についての話し合いを行うためだ。この国を守護する結界も張られ、他国から攻め入られることが無くなった今、騎士団長には悪いと思うが、軍事費を削り、内政に力を入れるべきだと私は思っている」
「俺は賛成ですよ。それに軍事費に今まで国費をかけすぎていたのも事実ですしね。縮小されるのは仕方がないでしょう」
「そう言って貰えるとありがたい。そこで、まず内政に関してだが、今年の雨期も各地で出た被害をまとめた資料をまずは読んでくれ。毎年のこととはいえ、我が国の雨期は長く、被害も毎年少なくない量出ている。その対策として…………………………」
そこから先は、お茶を楽しむ時間など無く、本気の会議が続きました。
次期国王とはいえ、まだ国王陛下が健在の内にこのような会議を開いてよろしいのでしょうか?
「グリニャック嬢はどう思う?」
「……そうですわね、先ほどデュドナ様が仰った治水工事についてですが、王都内はともかく、各領地に通達するのは難しいのではないでしょうか? 我が国では、領地経営は各領主に任せるのが主流ですし、予算を与えると言っても、着服されないとも限りません。監督官を派遣するぐらいの気概がなければ実現は難しいのではないでしょうか? その場合の人材確保も、選出期間を考えますと、すぐに実行すると言うのは難しいと思います。それと、この国の人口の減少を食い止めるという話ですが、いくら我が国が豊かとはいえ、平民の中には飢えに苦しむ者もいます。生活に困ったものは孤児院に生まれた子供を置き去りにすることが多いと聞きますし、まずは、子供を産みやすい環境を整えるのが先なのではございませんか?」
「ふむ。具体的にはどのような策があると思う?」
「そうですわね、子供を産んだ家に祝い金を出すと言うのは如何でしょうか? 軍事費を削るのですから、国庫に余裕が出るはずですし、そこから捻出すると言うのは如何です? もっとも、産むだけ産んで祝い金を貰ったら孤児院に放り出すと言う家も増えて来るでしょうし、毎年子供の成長に合わせて一定の給付金を出すと言う制度を作ってみてはどうでしょうか?」
「なるほど。確かに、年々孤児院に預けられる子供の数も増えている事だし、その対策は急務かもしれないな」
デュドナ様の返事に、わたくしはすっかり冷めてしまった紅茶を飲んで心の中でため息を吐き出します。
わたくし、場違いですのに意見を求められても困るのですよね。
「デュドナ様、今更ですが一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なにかな?」
「プリエマが今回のお茶会に参加したいといっても、ランシーヌ様に拒否されたと言っておりました。プリエマは聖女でございます、国政を考えるのでしたら、わたくしよりもプリエマをこの席に呼ぶべきではございませんか?」
「いや、プリエマ嬢ではこの話についてはこれないだろう。講義もよくサボっていると言うし、大公妃としてはそこそこ務まるかもしれないが、国政に関わるとなると、物足りない」
プリエマ、講義をサボっている事がバレておりますわよ。
「だからと言って、わたくしを呼び出さなくてもよろしいのではございませんか?」
「グリニャック嬢には期待している。遠慮なく意見を言って欲しいと思って呼び出したのだ」
いい迷惑ですわね。
その後もお茶会は数時間続き、お茶会と言う名の御前会議が終わった時にはすっかりくたびれてしまいましたわ。
屋敷に戻った頃には夕食の時間になっておりましたので、急いでドレスを着替えて食堂に参りますと、お父様とお母様が待っていてくださいました。
「お待たせして申し訳ありません」
「ランシーヌ様のお茶会が随分長引いたようだが、なにかあったのか?」
「いえ、話が盛り上がってしまいまして、時間が経つのを忘れてしまいましたの」
デュドナ様がですけれどもね。
「そうか。将来の王妃様と懇意にすることは悪い事ではないが、今回のように長時間のお茶会になるようなら、先に言っておいてくれ、待っているこちらが心配になってしまう」
「申し訳ありません、以後気を付けますわ」
デュドナ様に言ってくださいませ、デュドナ様に!
その後、夕食を頂きました。
私室に戻りますと、湯あみの準備をしたリリアーヌがわたくしの顔を覗き込んできます。
「グリニャックお嬢様、大分お疲れのようですね、湯あみの際にマッサージを致しましょうか?」
「お願いしますわ」
疲れた体を癒やすためにいつもよりも時間をかけて湯あみをして、寝着に着替えますと疲れた足取りで寝室に一人で入りました。
はあ、本日は本当に疲れてしまいましたわ。
トロレイヴ様とハレック様の写真を見て癒されましょう。
そう思うと早速ドレッサーの一番上の引き出しを開け、アルバムを取り出しますと、仲睦まじいトロレイヴ様とハレック様のお姿を堪能致します。
はあ、この真剣な顔をしての格闘シーンなんて、思わず涎が出てしまいそうなほどですわね。
来週からは、領地に一緒に行くので今よりもずっと長い時間一緒居ることが出来ますけれども、やはり、こうして写真を眺めるのは別腹ですわ。
お二人の写真を堪能して、わたくしはベッドに入りますと、目を閉じて夢の世界に旅立ちました。
学園が長期休暇に入った翌日の朝、わたくしとトロレイヴ様、ハレック様は我が家の紋が入った馬車に乗り込み、エヴリアル家の領地に向かいました。
「一年ぶりになりますわね、お爺様とお婆様、お元気でしょうか?」
「僕達は自衛団長にまた稽古をつけて貰えるのが楽しみだな」
「そうだな、自分達でも拘束具を付けた訓練はしてきたが、教え手がいるかいないかでは大分変わるからな」
「そうなのですか」
ふう、それにしても私服姿のお二人、素敵ですわねぇ。
帯剣しているのがまたいいですわ。
今回は御者席に御者とドミニエルが座っておりますので、わたくしの隣にはリリアーヌが座っております。
わたくし達が仲良くおしゃべりを楽しんでおりますと、急に馬車が止まり、ガクンと揺れてしまい、わたくしは思わず隣に座っているリリアーヌにしがみつきました。
「何事だ!」
「賊です、グリニャックお嬢様は中でお待ちください」
「え!」
「賊? ハレック、僕達も出よう」
「ああ、わかった」
「私も参ります。グリニャックお嬢様、くれぐれも馬車の外に出ないで下さいね」
「分かりましたわ。皆様、気を付けて」
そういうと、トロレイヴ様とハレック様、そしてリリアーヌが馬車の中から出て行きました。
残されたわたくしは、耳を澄ませまして外の様子を伺います。
剣がぶつかり合う音が聞こえて来て、ドサリ、と人が倒れる音がいたします。
わたくしは心臓がドキドキしながら馬車の中で一人、皆様の無事を祈っております。
戦う音は三十分ほど続き、周囲が静かになると、しばらくして馬車の扉が開けられ、トロレイヴ様とハレック様が傷を負った状態で戻ってまいりました。
「トロレイヴ様、ハレック様! 傷がっ」
「はは、僕達もまだまだだね」
「リリアーヌとドミニエルは傷ひとつ負っていないのに、情けないな」
「傷の手当てをしませんと」
わたくしはオロオロとしながら、立ち上がり、馬車の椅子になっているクッション付きの台座を持ち上げて、その中から医療用品を取り出しました。
その時、リリアーヌが馬車の中に入ってきましたので、様子を確認しますと、ハレック様の仰ったように傷は無いようですが、メイド服が汚れてしまっております。
「グリニャックお嬢様、お二人の手当てを致しますので、その道具をお貸しください。それと、賊がこのような物を持っておりましたので、予定を変更して一度屋敷に戻ることにいたしましょう」
「…………これは、エルヴィエ侯爵家の紋、ですね」
「はい」
賊が持っていたと言う剣には確かにエルヴィエ家の紋が刻まれておりました。
これは、確かに暢気に領地に向かうと言う雰囲気ではございませんわね、屋敷に戻りましてお父様に報告をしなければなりませんわ。
馬車がUターンするのを感じながら、わたくしはリリアーヌがトロレイヴ様とハレック様の傷の手当てをしているのを見つめていました。
屋敷を出てさほど時間が経っていなかったため、戻る際もさほど時間はかかりませんでした。
戻ってきたわたくし達を、セルジルは驚いたような顔で出迎えてくれましたが、わたくし達の様子を見てすぐにいつもの無表情に戻ると、お父様を呼ぶので、応接室で待っているようにと言われました。
応接室で待っていると、慌てた様子でお父様がいらっしゃいました。
「グリニャック、何があった!」
「実は、馬車が賊に襲撃を受けまして、その賊がこの剣を持っておりました」
わたくしはお父様にエルヴィエ侯爵家の紋が入った剣をお渡しします。
「これは……、まさか宰相であるエルヴィエ侯爵が襲撃を首謀したとは考えにくいな。となると、その家族の者が計画を? ……グリニャック、領地に行くのはしばし延期だ。事の首謀者が判明するまで家で大人しくしているように。トロレイヴ君とハレック君も、申し訳ないがしばらくの間我が家に滞在してくれ」
「「わかりました」」
お二人の返事を聞くと、お父様は剣を持って応接室を出て行きました。
「至急、トロレイヴ様とハレック様用のお部屋をご用意いたします。それまでグリニャックお嬢様のお部屋で過ごされてはいかがですか?」
「え!」
「グリニャック様の部屋で? 僕達が入ってもいいのかい?」
「構いませんが、なんだか恥ずかしいですわね」
「私達も、グリニャック様の部屋に入ると言うのは少々緊張してしまうな」
わたくしはとりあえず、と言った感じに応接室を出ると、トロレイヴ様とハレック様を私室に案内いたしました。
私室に着きますと、お二人はキョロキョロと部屋の中を見渡していらっしゃいます。
特別な物は置いてないと思うのですけれども。
「グリニャックお嬢様、私とドミニエルは汚れた衣装を着替えてまいりますので、しばし席を離れさせていただきます。直ぐに戻ってまいりますので」
「わかりましたわ」
リリアーヌとドミニエルはそう言って部屋を出ていき、部屋にはわたくしとトロレイヴ様、ハレック様の三人きりになってしまいました。
「部屋の準備をしてもらったら、僕達も着替えないとね」
「そうだな、ソファーに座っておいてなんだが、服に泥が付いてしまっているしな」
「どうぞお気になさらずに」
そう言うと、わたくし達の間に一瞬沈黙が流れます。
な、なんだか妙に緊張しますわね、今まで三人で行動するときも、必ずリリアーヌかドミニエルが一緒でございましたので、本当の三人きりと言うのは初めてではないでしょうか?
何か会話を続けなくてはいけませんわね。
そうですわ!
「あの、お父様に言われていたのですが、そろそろ堅苦しい呼び方を変えて、愛称呼びにしてはどうかと言われましたの」
「愛称呼び? 僕は構わないけど」
「私も構わない」
「では、愛称を決めなければなりませんわね」
「そうだね、うーん、グリニャック様はなんだろう? ニャック?」
「安直だな。もっと短くニアと言うのはどうだ?」
「ニア、ですか?」
「嫌か?」
「いいえ、気に入りましたわ」
ニア、前世でわたくしが使っていたハンドルネームですわね、なんだか懐かしいですわ。
あの頃は、様々な方とネットを介しておしゃべりをしましたわよね。
エマさん、ルネさん、トールさん、ティーさん、ガエルさん、アンさん、ティアさん、ルトさん、途中でいきなりいなくなった方もいましたが、皆様お元気で過ごしていらっしゃるでしょうか?
「じゃあ、僕は?」
「ラヴィと言うのは如何でしょうか?」
「いいね! ハレックはレック?」
「安直だな。ネーミングセンスがない」
「では、レクではいかがですか?」
「先ほどよりはましだろう。それでいい」
「ふふ、ではラヴィ、レク。今後ともよろしくお願いいたします」
「「こちらこそ、ニア」」
前世で散々使っていたハンドルネームですので、呼ばれ慣れているはずですのに、トロレイヴ様とハレック様に呼ばれますとなんだか顔が赤くなってしまいますわね。
そうしますと、着替えを終わったリリアーヌとドミニエルが部屋に入って来て、もう少しで客室の準備が整うと知らせてくれました。
アイスレモンティーもついでに持ってきてくれていて、わたくし達に渡してくれます。
一口飲んで、「ふう」と心の中で息を吐き出します。
自分では気が付いていませんでしたが、やはり馬車が襲撃されたことで緊張していたのでしょう、飲み物を飲んだことで少し一息付けた感じですわね。
「襲撃の件につきましては今、旦那様が調べている所でございます。十中八九エルヴィエ侯爵家の者が手引きをしたと思われますが、誰が手引きをしたのかという事と、万が一偽装工作でないかを確認しているようでございます」
「そうですか」
『オラドの秘密』のグリニャックは、修道院に行く途中に襲撃されて死んでしまうのですよね、そのイベントが早まったのでしょうか?
犯人は、エルヴィエ家の紋の入った剣を持っている者がいたという事は、アルエノ様が主犯でしょうか?
けれども一体なぜ?
わたくしを襲撃して、アルエノ様になんのメリットがあると言うのでしょうか?
そういえば、アルエノ様、わたくしの出立の日にちや時刻などを聞いて来ておりましたわよね。
襲撃してわたくしを亡き者にしようとあの時から考えていたという事でしょうか?
そんな事を考えながら、トロレイヴ様とハレック様と襲撃犯が判明したあとに、予定よりも遅れてしまいますが、領地に行ったらしたい事などを話しておりますと、客室の準備が整ったと知らせが入り、メイド長がお二人を客室に案内すると言うので、わたくしもついていく事にいたしました。
案内された客室は、家族用の客室になっておりまして、三部屋がベランダで繋がっている客室になっております。
そう、ベランダで繋がっているのですわ!
生憎わたくしの私室からは遠いので、領地の時のように会話を盗み聞きするという事が出来ませんけれども、この部屋を用意したメイド長、グッジョブですわ!
夜にベランダで交わされる、お二人の親密な会話、そうして親密な絡み合い。
はあ、見たいですわねえ、あわよくば写真に収めたいですわねえ。
お二人が客室に入って行くのを見てから、わたくしは私室に戻ることにいたしました。
領地に行く準備を終えているため、ドレス等はあらかたトランクに詰め込んでしまっておりますので、リリアーヌとドミニエルがとりあえずと言った感じに一つのトランクを開きドレス等を取り出しております。
外出用のドレスから、部屋着に着替えまして、昼食時間まで私室でくつろいでおります。
その間に、同じく部屋着に着替えたトロレイヴ様とハレック様もいらっしゃって、昼食の時間まで楽しくおしゃべりをして、昼食をとるために食堂に行きましたが、お父様の姿はなく、お母様曰く王宮に出向いたとの事でございました。
なんだか大事になっている予感がしますわ。
昼食を頂きまして、わたくしとトロレイヴ様、ハレック様はわたくしの私室に戻りました。
話していると、セルジルがやって来まして、王宮に三人で出向くようにと言われましたので、わたくし達三人は、念のためリリアーヌとドミニエルも一緒に王宮に行くことにいたしました。
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