玲奈ルート

第12話

ここからは玲奈ルートに入ります。

のちに桜ルートもやり、マルチエンド形式を取りたいと思います、ご了承ください。


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 そういうことか、俺は玲奈にいつの間にか恋に落ちてしまっていたんだな。

 肉体関係だけではもう無理なくらいに、俺は玲奈を好きになってしまっていたんだ。


「俺は玲奈が好きだ」


 もう心が玲奈を思うだけで張り裂けそうだ。


「……は?」


 ──いやだ


 俺は石川の両肩をシワができるほど強く掴む。


 ──玲奈の中に


「頼む……」


 ──俺以外の


「どうか、まだ玲奈とヤらないでくれ……」


 ──やつを


「頼むよ……」


 ──挿れられるのが。


 想像するだけで、心臓が壊れてしまいそうだ。

 玲奈が取られたら俺は多分、潰れてしまいそうだ。


 石川は俺を見ながら困った表情をする。


「待った、一旦落ち着けって」


 ……玲奈から石川を離さなければ。

 じゃなければ、玲奈だけではなく俺まで壊れてしまいそうだ。


「……」

「はあ、いきなりどうしたんだ。なあ、梓木?」

「石川、お前は明日玲奈とするのか……?」


 そんなことあってはダメだ。


 石川は頬をカリカリとかき。


「そ、そのつもりだったけどよ……なんか、今の梓木を見たらそんな欲求消えたわ。なあ、梓木?」

「……」

「一つ約束でもしないか?」


 よかった、ただただそれだけしか考えられない。

 少しでも力を抜いたら倒れてしまいそうなほどに今はホッとしている。

 

「……なんだよ?」

「俺、決めたわ。まだ玲奈とヤらねーってよ」


 石川……こいつは案外いいやつなのかもしれない。

 玲奈をアクセサリーとしか見ていないのは事実である、だがいいやつだ。


「その代わりだ、一ヶ月後!」と俺にピンと伸ばした人差し指を見せる。

「なんだよ?」

「梓木、お前、玲奈に告白しろ」

「……何言ってんだよ?」

「その結果次第で決めよう。まあ、俺と付き合ってるっていうのに梓木の告白を断らないなんてことしないと思うし、少しせこいかもしんないけど我慢してくれ。あとは……もし仮に梓木が振られたらその日の夜にヤる。もちろん、感想は教えてやるから安心しろ!」


 なんでだ、なんでこいつは俺のためにこんなことをしてくれるんだ。

 わからない、石川が何を考えているのか全くわからない。


「いいのか?」

「ああ、いい。じゃあ、指切りだ!」


 小指を絡めて、指切った、とお互い声を揃えて言う。


 石川と玲奈を別れさせるなんてそもそもできっこなかった。

 ずっと石川にはマイナスイメージしかというか、関わってない人間にはマイナスイメージしか持たないで生きていたのだ、そもそも相手がどんなやつか知らなすぎた。


「じゃあ、俺はこれで……」と石川は去っていった。

「ああ、ありがとう」


 石川が見えなくなったところで、俺はその場に両膝をつける。


「はあ……はあ……よかった、これであとは玲奈と俺が付き合うだけだ……これからは玲奈と付き合う方法も見つけなければ……」


 玲奈を考えれば考えるほど、どんどんと胸が苦しくなる。


「くっ……」と胸を押さえる。


 やばい、完全に恋ってやつだなこれ。

 一体、いつ俺は玲奈に恋をしたんだ?

 そうか、俺はきっと初めて出会ったあの日から恋におちていたんだ。


 橙色に染まる夕焼けの空を見ながら、俺は玲奈と出会ったあの日を思い出すことにした。

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