第11話 セーブポイント
午後六時過ぎ、石川が制服に着替えてサッカー部の部室から出てきた。
「……って、えーっと?」
「梓木だ、ちょっと場所を変えて話したい」
「ん? なんでだよ?」
はあ、なぜ俺はこんなやつと話さなければならないのか。
「いいから、場所を変えよう」
「んあ、まあわかったよ」
○
場所を変えて、体育館裏へとやってきた。
ここなら多分誰も来ないはずだ。
こいつがいなければ、俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺はこいつと離さないで済んだ。
「単刀直入に言うけど、玲……那月さんと別れてくれ」
これでうまくいったらいいのに、そんなはずはない。
「はっ!? なんなんだいきなり、俺は今日付き合ったばかりだぞ? まだ別れるなんてよ?」
さて、どうすればいいんだ俺は。
石川はニヤリと微笑み。
「待て、わかったぞ〜お前、もしかして玲奈のこと好きなのか!? いや〜だって、玲奈は可愛いしおっぱいだってあるしな〜尻もか! 男なら誰しもが好きになる女だろ〜」
あきれた、結局こいつも玲奈を外面だけで見ているのか。
終わっている、石川、こいつはもう終わっている。
「まあ、穴なら二つあるとか言いたいけど……流石にきもいよな。とりあえず、無理だ。俺と玲奈が別れることはまずない、だって考えてみろ? 周りがそうさせてくれないだろ。この学年一のイケメンと学年一の美少女、今日だって話題が絶えないんだぜ?」
俺は拳を作る。
……こいつ。
「玲奈もさ〜少し自分の気持ちを言えない子じゃん? だから、空気に負けて別れたくても別れれないんだよね〜」
……玲奈を苦しめやがって、お前のせいでどれだけ玲奈が苦しんでいるのか。
わかっているのか?
「それでだけど、次は俺が質問してもいいか?」
「うん」
「梓木くんは玲奈のこと好きなのか?」
一瞬、言葉を失った。
どう返せばいいのかわからなくなったからだ。
俺が玲奈のことを好き?
ただ身体の関係なだけなのに?
わからない、俺は一体玲奈を……好きなのか?
「わからない、俺が那月さんのことが好きだとかそんなことわからない」
「そっか、やっぱりそういう中途半端な人間なんだな。もういいか? 俺、明日の放課後玲奈の家に行く予定があるんだ。コンドームのはめ方くらい練習しておかなきゃな。さすがに俺が童貞ってバレたら恥ずいだろ」
「待ってくれ」
「んだよ」
あれ、俺はなんで玲奈のためにこんなに必死になってるんだ?
玲奈が好きだから?
でも、玲奈には嫌われたくないのは本当だ。
そんなことで俺は必死になってるのか?
「早くしろ、帰るぞ」
「あと少し待ってくれ」
ドクンドクンと心臓の鼓動が速くなる。
はあはあと過呼吸になる。
胸が熱い、玲奈を考えると胸が燃えるように熱い。
「まじで早くしてくれ」
「たのむ、あと少しだけ」
いやだ、俺は玲奈に嫌われたくない。
玲奈とこれからもずっとにいたい。
ああ──そうか、俺こそが群れて生きたい生き物なんだ。
「……ああ、決まったよ」
「ん? 何がだよ?」
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次の選択で玲奈ルートか桜ルートに分岐します。
『俺は玲奈が好きだ』
or
『頼む、玲奈と別れてくれ』
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