第7話
「ごめん! ちょっと用事があるからっ!」
はあ、本当に人間関係ってめんどくさいなあ。
放課後、一人になった教室でスマホを開く。
『すまん、少し用事ができた』
なるほど、さきほど後輩の女子とどこかへ行ったときにアイコンタクトを取ってきたのはこのことなんだ。
はあ……後で後輩と何を話してたのか聞くとして今は──。
「好きです、付き合ってください!」と目の前で頭を下げる、女子の間でかなり人気な男子
これで一週間連続、本当にめんどくさいなあ。
あなたみたいな顔だけの人間は私は無理なんだけどなあ。
「ごめんなさい、無理です」
「なんでだよお! 頼むぜ……ほら、俺みたいなイケメンと美少女! もう最高のコンビじゃん!」
そっか、やっぱりこの人も私を人間としてではなくアクセサリーとして見てるんだ。
梓くんだけだよ、私を人間として見てくれるのは。
「ごめんなさい、無理です」
ああ、梓くんのせいだよ、私がこんなにわがままになっちゃったのは。
「じゃあ、私はこれで──」と先を立ち上がり、教室をさる。
「えっ、ちょっ!」
梓くん……まだかな。
スマホでメッセージアプリを開き。
『先に梓くんの家に行ってます!』と送り、一人先に梓くんの家へと向かった。
○
教室に戻ると、すでに玲奈はいなかった。
スマホを開くと。
『先に梓くんの家に行ってます!』
……そういうことか。
こういう時のために合鍵を渡しておいてよかった。
さてと、俺も帰るとするか。
と、その時背後から。
「先輩っ」
またか……。
春風の声がした。
めんどくさいなあ、春風のことは何一つと知らないのに、なぜこう声をかけてくるのかなあ。
この先多分、一生春風を好きになることもないだろう。
玲奈がいる限り、他の女の子に興味なんてわかない。
俺には玲奈で十分だ、玲奈とエッチ……。
「って、その手は」
春風の右手の甲からぽたぽたと血が垂れている。
一体何があったんだ。
慌てて彼女に近づき、ポケットから絆創膏を取り出す。
「ほら、これ……」
何故か春風の目は何が映っているのか知りたくなるほど死んでいた。
「ありがとうございます……」と受け取り、絆創膏を傷口に貼る。
「こんなの応急処置だ、保健室で消毒して来た方がいい。それで、これだけってわけじゃないよな? どうしたんだ、話しかけて来て」
「先輩は……なんであの日に二箱もコンドームをそもそも誰とヤったんですか? それが知りたいんです」
告白の次はその話か。
本当、一切の関わりがないのに何故そこまで俺を知りたいと思うのか。
めんどくさいやつだ。
「あれだ、誰ともヤってない、お守り代わりに持ってる可哀想なやつだ」
「それ、嘘ですよね。先輩……那月玲奈先輩とヤったんですよね?」
「な……っ」
なんでだ、何故こいつは俺が玲奈とヤるために買ったことを。
「ほら、ビンゴですね♡。今はそれだけで十分です、全部っ、絆創膏……ありがとうございます」
俺に向かって可愛らしくウインクを決めると春風は教室を去っていった。
……なんで春風、あいつは俺と玲奈がヤったことを知ってるんだ。
って、時間!
とりあえずだ、春風は偏見だがこういう話を広める感じのやつではない。
また明日、春風と話すとしよう。
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